勇者ライフ!

わかばひいらぎ

文字の大きさ
上 下
43 / 133
日常編(単発)

リアンの初恋大作戦【前編】

しおりを挟む
 ある日、フーリの部屋に珍しくマルセル以外の訪問者がやって来た。
「やぁフーリ、久しぶり。ちょっとお時間いいかな?」
「おー!リアンじゃん。いきなりどうした?」
「ちょっと相談っていうか恋バナっていうか……。まぁそんな感じ」
「そういう事か。なら安心しろ!なんせ僕は勇者だからな」
「勇者と恋バナって関係あるの?」
「あるかも知れねぇだろ!」
「何怒ってるの」
「じゃあとりあえず膝の上にでも座ってくれ」
「なんでだよ。まだ間あるだろ」

「で、恋バナ兼相談ってなんだ?」
「そんな大層なものじゃないけど……。簡単に言うとね、その……好きな人というか、話しかけたい人がいるんだ」
「じゃあ話しかけりゃいいじゃん。そうすれば万事解決だろ」
「それが出来ないから相談に乗ってもらってるんだよ」
「話しかけ方ねぇ……。穴掘って足元から奇襲をかけるとか?」
「別に奇襲をかける必要は無いんだよ」
「それじゃあここは勇者の力を存分に発揮して手伝ってやる!」
「ほんと?ありがとう!」
「おうよ。だから、数日時間をくれ。少し話し合うからな」
「分かった。決まったら連絡頂戴」

~翌日~
in勇者団本部
「……ってわけで、今日の会議を開いたわけだ」
「フーリお前なぁ……、国の最高機関をなんのために使ってるんだよ」
「クライブはリアンがどうなってもいいってのかよ!」
「どうなってもいいって言うか……そもそも会ったことも無い相手だぞ」
「まぁまぁ別にいいじゃない」
「リーダーはいいかもだけどさ」
「今日は五月蝿い秘書も俺の代わりに仕事に行ってくれてるし、ほんと最高だわ」
「あとで秘書さんに言っとくわ」
「……クライブ、何が欲しい」
「口止めする気満々じゃん」
 議論は関係のない所で白熱した。
「それじゃあとりあえず作戦、計画?でも練るか」
「まずは話しかける子のある程度の情報は欲しいな」
「え~と……、リアンによるとその子は日曜の夕方にいつも市民テニスコートにいるらしいぞ」
「え?テニスコートって、あのおんぼろの?あそこ誰も使ってないと思ってた」
「そうそう、だからいつも一人なんだって」
「一人か……たしかに、その子一人だけなら話しかけるハードルってちょっと上がるよな。雰囲気的に」
「だから話しかけるための助けをするんだよ。とりあえず、作戦会議始めだ!だからリーダーとマルセルは紅茶の表面張力で遊んでないでこっち来て」
「作戦ねぇ、そうだな……」
 こうして、リアンの恋愛大作戦が火蓋を切った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。

白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?  *6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」 *外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉

Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」  華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。  彼女の名はサブリーナ。  エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。  そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。  然もである。  公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。    一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。  趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。  そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。 「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。  ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。  拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。    

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

処理中です...