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日常編(単発)
リーダーのお出かけ
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『リーダー。それは言わずと知れた各勇者団のトップの役職である。とくにデープ国のリーダーはイケメンで仕事もできると評判で……』
「なんですか?この記事は……」
今日、リーダーと秘書さんは地方の仕事で出かけており、目的地までのバスに乗っているところだ。今、リーダーは隣の秘書さんにスマホの画面を自慢げに見せている。
「この記事か?タイトル見てみろよ。″仕事もできてイケメンのデープ国リーダーの正体とは!?″だってよ」
「まぁイケメンは百歩譲って分かりますけど、仕事って八割型私がやってますからね」
「お前ほんとに仕事好きだな」
「あんたが仕事押し付けてくるんじゃないですか」
秘書さんは隈のある目を手で覆い隠すようにして眉間を抑えた。そして、その手を額を撫でるようにして上にスライドさせた。
「後はなぁ……あれさえあれば俺は完璧になれるんだよなぁ……」
「これ以上何を望むって言うんですか」
「美女の秘書だったらなぁ……」
「男で悪かったですね」
「……お前性転換とか興味ない?」
「残念ながら」
こんな話をしている間も、バスは目的地へ向かって進んで行……
「ちょっと待て」
「なに語り手の邪魔してるんですか」
「バス停めていい?」
「ダメですよ。タダでさえ時間カツカツなんですから」
「リーダー権限で遅れても許されね?」
「そんな邪道な思想のためにリーダーを利用しないでください」
「そんなことよりさ、次のバス停のすぐ真ん前にラーメン屋があるんだよ。いや~行きたいな~そこ」
「あなた、自分の財布の中身をどんだけラーメンに注ぎ込んだんですか」
「給料の半分以上は貢いだな」
「なんか、逆に尊敬します。人に仕事押し付けておいてよくラーメン屋に……」
「でもほら、仕事してる時お前満更でもない顔してるだろ?」
「リーダー。あなたがリーダーの職を辞した時は背後にお気お付け下さい」
「おお怖」
あまりにも生産性の無い会話をしていたことに気付き、秘書さんはため息をつきながら背もたれに背中全てを倒れ込むように預けた。
「スキありー!」
そして、秘書さんが脱力した瞬間に、リーダーが降車ボタンを押した。
『次、バスが停ります』
「あー!てめぇ押しやがったな!」
「おめぇが隙すきを晒したのが悪い。じゃあな秘書!そして今行くぞ!とんこつラーメン!」
こうして、リーダーはラーメン屋に勢いよく飛び込んだ。そして案の定仕事に大遅刻した。
「なんですか?この記事は……」
今日、リーダーと秘書さんは地方の仕事で出かけており、目的地までのバスに乗っているところだ。今、リーダーは隣の秘書さんにスマホの画面を自慢げに見せている。
「この記事か?タイトル見てみろよ。″仕事もできてイケメンのデープ国リーダーの正体とは!?″だってよ」
「まぁイケメンは百歩譲って分かりますけど、仕事って八割型私がやってますからね」
「お前ほんとに仕事好きだな」
「あんたが仕事押し付けてくるんじゃないですか」
秘書さんは隈のある目を手で覆い隠すようにして眉間を抑えた。そして、その手を額を撫でるようにして上にスライドさせた。
「後はなぁ……あれさえあれば俺は完璧になれるんだよなぁ……」
「これ以上何を望むって言うんですか」
「美女の秘書だったらなぁ……」
「男で悪かったですね」
「……お前性転換とか興味ない?」
「残念ながら」
こんな話をしている間も、バスは目的地へ向かって進んで行……
「ちょっと待て」
「なに語り手の邪魔してるんですか」
「バス停めていい?」
「ダメですよ。タダでさえ時間カツカツなんですから」
「リーダー権限で遅れても許されね?」
「そんな邪道な思想のためにリーダーを利用しないでください」
「そんなことよりさ、次のバス停のすぐ真ん前にラーメン屋があるんだよ。いや~行きたいな~そこ」
「あなた、自分の財布の中身をどんだけラーメンに注ぎ込んだんですか」
「給料の半分以上は貢いだな」
「なんか、逆に尊敬します。人に仕事押し付けておいてよくラーメン屋に……」
「でもほら、仕事してる時お前満更でもない顔してるだろ?」
「リーダー。あなたがリーダーの職を辞した時は背後にお気お付け下さい」
「おお怖」
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そして、秘書さんが脱力した瞬間に、リーダーが降車ボタンを押した。
『次、バスが停ります』
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「おめぇが隙すきを晒したのが悪い。じゃあな秘書!そして今行くぞ!とんこつラーメン!」
こうして、リーダーはラーメン屋に勢いよく飛び込んだ。そして案の定仕事に大遅刻した。
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