14 / 15
悪役令嬢、抱きしめられる
しおりを挟む
「あの…私思うのですが、セセリア様は
自己評価が低すぎませんか?」
はて?自己評価?
自分を評価したことなどないので、低い
と言われてもピンとこない。
「突然どうしたの…?」
「突然ではありません。私は常々思って
いたんです。セセリア様は、もう少し
ご自分の魅力を自覚なさるべきです。」
「み、魅力!?」
ゲームのヒロインで、男性から好かれる
ようにキャラ設定されている、魅力の塊
のようなアイリスが私にそれを言う?
セセリアの見た目なんて気にしたことなか
ったけど、悪役令嬢なんだから魅力なんて
備わってないでしょう。
「お菓子作りくらいしか取り柄のない私
に魅力なんて…」
謙遜でもなんでもなく、正直な気持ちを
口にした私を見て、アイリスはため息を
ついた。
「はぁ…。セセリア様はなにもわかって
らっしゃらないんですね。アンセル殿下
が、お昼休みを毎日一緒に過ごしていた
のはなぜだと思います?」
「私が弟のカイン殿下の婚約者だから
じゃないの?」
「虫よけですよ。セセリア様に変な虫が
つかないように、アンセル殿下が威嚇し
ていたんです。」
「え!?虫よけって…なんでそんな…」
「セセリア様がそれだけ魅力的だって
ことです。カイン殿下が留学中の今なら
親しくなれるチャンスだって、隙を狙
っていた生徒が結構いたんですよ。」
まだ信じられないといった表情の私に、
畳みかけるようにアイリスが続けた。
「きっとカイン殿下がアンセル殿下に
頼んだんでしょうね。自分の留学中、
セセリア様を守って欲しいって。でも
アンセル殿下はもうすぐ卒業してしま
う。だからその前に戻ってこられるおつ
もりなんでしょう。」
そ、そうなの…?
アンセル殿下や、その側近、アイリス
だって眩しいくらい美しいから、私だけ
十人並みなんだと思ってたけど、実は
結構美人だったの…?
いや、だとしても、聖女様のアイリスには
負けるでしょ。
私なんてただの引き立て役でしょ。
悪役令嬢という役柄上、どうしても卑下
してしまう。
「ところでセセリア様、カイン殿下って
どんな方なんですか?」
ああ、そうか。
アイリスはまだカイン殿下には会ったこと
なかったのね。
「え~と…お菓子が大好きで、見た目は
クマのぬいぐるみみたいな感じかな。
まぁ、私の作ったお菓子を食べ過ぎて
ぽっちゃり体形になっちゃったんだけど
ね。」
そのせいで、ゲームにはなかった留学なん
ていう余計なイベントが発生しちゃったん
ですよ。
「そうなんですね…。それじゃぁ、あちら
にいる方は殿下ではありませんね。」
「え?」
アイリスに言われて後ろを振り返ると、
こちらに向かって歩いて来る人物がいる。
その艶やかな黒髪と、整った顔立ちには
見覚えがある。
「…カイン殿下!?」
いやでも、そこにいるのは、私が太らせて
しまった殿下とは、とても同一人物とは
思えない、引き締まった体形の人だ。
その人は、目の前までやってくると、思い
きり私を抱きしめた。
「セセリア、会いたかった!」
ああ、間違いない。
これはカイン殿下だ。
私を抱きしめている殿下の肩越しに、冷然
とした表情のアイリスが見えた。
自己評価が低すぎませんか?」
はて?自己評価?
自分を評価したことなどないので、低い
と言われてもピンとこない。
「突然どうしたの…?」
「突然ではありません。私は常々思って
いたんです。セセリア様は、もう少し
ご自分の魅力を自覚なさるべきです。」
「み、魅力!?」
ゲームのヒロインで、男性から好かれる
ようにキャラ設定されている、魅力の塊
のようなアイリスが私にそれを言う?
セセリアの見た目なんて気にしたことなか
ったけど、悪役令嬢なんだから魅力なんて
備わってないでしょう。
「お菓子作りくらいしか取り柄のない私
に魅力なんて…」
謙遜でもなんでもなく、正直な気持ちを
口にした私を見て、アイリスはため息を
ついた。
「はぁ…。セセリア様はなにもわかって
らっしゃらないんですね。アンセル殿下
が、お昼休みを毎日一緒に過ごしていた
のはなぜだと思います?」
「私が弟のカイン殿下の婚約者だから
じゃないの?」
「虫よけですよ。セセリア様に変な虫が
つかないように、アンセル殿下が威嚇し
ていたんです。」
「え!?虫よけって…なんでそんな…」
「セセリア様がそれだけ魅力的だって
ことです。カイン殿下が留学中の今なら
親しくなれるチャンスだって、隙を狙
っていた生徒が結構いたんですよ。」
まだ信じられないといった表情の私に、
畳みかけるようにアイリスが続けた。
「きっとカイン殿下がアンセル殿下に
頼んだんでしょうね。自分の留学中、
セセリア様を守って欲しいって。でも
アンセル殿下はもうすぐ卒業してしま
う。だからその前に戻ってこられるおつ
もりなんでしょう。」
そ、そうなの…?
アンセル殿下や、その側近、アイリス
だって眩しいくらい美しいから、私だけ
十人並みなんだと思ってたけど、実は
結構美人だったの…?
いや、だとしても、聖女様のアイリスには
負けるでしょ。
私なんてただの引き立て役でしょ。
悪役令嬢という役柄上、どうしても卑下
してしまう。
「ところでセセリア様、カイン殿下って
どんな方なんですか?」
ああ、そうか。
アイリスはまだカイン殿下には会ったこと
なかったのね。
「え~と…お菓子が大好きで、見た目は
クマのぬいぐるみみたいな感じかな。
まぁ、私の作ったお菓子を食べ過ぎて
ぽっちゃり体形になっちゃったんだけど
ね。」
そのせいで、ゲームにはなかった留学なん
ていう余計なイベントが発生しちゃったん
ですよ。
「そうなんですね…。それじゃぁ、あちら
にいる方は殿下ではありませんね。」
「え?」
アイリスに言われて後ろを振り返ると、
こちらに向かって歩いて来る人物がいる。
その艶やかな黒髪と、整った顔立ちには
見覚えがある。
「…カイン殿下!?」
いやでも、そこにいるのは、私が太らせて
しまった殿下とは、とても同一人物とは
思えない、引き締まった体形の人だ。
その人は、目の前までやってくると、思い
きり私を抱きしめた。
「セセリア、会いたかった!」
ああ、間違いない。
これはカイン殿下だ。
私を抱きしめている殿下の肩越しに、冷然
とした表情のアイリスが見えた。
2
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
とある侯爵家で出会った令嬢は、まるで前世のとあるホラー映画に出てくる貞◯のような風貌だった。
髪で顔を全て隠し、ゆらりと立つ姿は…
悲鳴を上げないと、逆に失礼では?というほどのホラーっぷり。
そしてこの髪の奥のお顔は…。。。
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドで世界を変えますよ?
**********************
『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』の続編です。
続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。
前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!
転生侍女シリーズ第二弾です。
短編全4話で、投稿予約済みです。
よろしくお願いします。
実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。
ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません
下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。
旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。
ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも?
小説家になろう様でも投稿しています。
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる