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初恋の戦慄き

episode26 黄昏の夕日に包まれて‥

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初めてのコメディ映画は最初は笑うところが分からなくて。
(どうしよ‥どこで笑うんだろ)
って必死で笑うところを探してた。
けど、心配することはなくて後半からは面白くなって自然に笑うことができた。
彼も隣で笑っているのを見て
いつもクールなのにこんな風に無邪気に笑うこともあると知った。

「映画面白かったね。」
彼に話しかけてみる。
「そうだな。結構面白かった。
お前、前半の変なとこで笑ってなかったか?」
(せっかく連れてきてもらって何も笑うところがなかったら悪いと思って笑うところを気を遣って探したとも言えないから‥)
「ん、んーと、そうかも」
と曖昧に返事をしておいた。

夕飯まで時間があるのでウィンドウショッピングをすることになる。
「私、買いたいものがあるの」
「珍しいな。何がほしいんだ?」
「ピアッサーがほしいんだけど、どこに売ってるかな?もらったピアス着けたいけど、穴が開いてないから。」
「穴なら病院で開けてもらえよ。
自分で開けてなにかあったら危ない。」
(心配してくれるんだ‥)
「じゃあ、主治医の先生来た時に開けてもらえるかな?」
「そうだな。一度聞いてみろ。」
「うん。そうする!」
長年、心配してくれる人なんていなかったから新鮮に感じた。

「他に欲しいものは?」
「んー、、、なんだろ。」
ピアッサーはほしいと思っていたけど他にと言われると困ってしまった。
「髪留めでも買うか。
いつも適当に輪ゴムで纏めるだろ?
あれはよくない。」
「あ‥」
「行くぞ。」
と髪留めのフロアに向かっていく。
「あ!待って」
急いで後を追った。

「さてどれにするか‥」
髪留めがたくさん並んでいるフロアに来た。見ているお店はフランスから直輸入している髪留めらしく、上品で美しいものが並んでいた。
さっきから景吾さんは目ぼしいものがあれば私の髪に当てている。
「好きなのないか?」
「んー‥どれも綺麗で迷ってるけど‥」
シンプルなバレッタとパールが付いた髪留めが特に綺麗だと思った2つを指差して
「どっちが良いと思う?」
と聞いてみると
「‥あ?迷ったなら2つ買ってやる。
いつも世話焼いてくれてる礼だ。」
という彼‥
「え!‥自分で買う!今日は全部払ってもらってるもん。本当は私が出さないといけないのに。」
思わず否定するけど聞き入れてくれない。
「じゃあ、せめて1つは自分で買います。」
といえば漸く納得してくれた。
結局、パールの付いた高級な方を彼は買ってくれた。他にも服とかも買われそうな勢いだったので、夕食もあるからと屋敷に帰るように話を持っていき車を回してもらう。

屋敷に帰る途中、
ふと隣の彼を見る。
ーー黄昏の時間独特の夕日が
怪しく彼をを照らしていた。

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