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契約の印紋と真実のお話。2
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それから……これといって何も無く、日々は過ぎ。
毎日登城しても王太子殿下に出会うことも無くーーーー成婚の日は明日となった。
「ようやく王太子殿下が成婚されますね!これでベニカ様の肩の荷も降りますね。」
「リディ王女様……王太子妃様に引き継ぎを、と言われているから……まだなのよ、ディアンナ様。」
「えぇ?!城の人間はまだベニカ様に甘えるのです?本来ならばベニカ様は婚約者では無いのですから、破棄後すぐにでも代理で引き継ぎ、あとは他のものがどうにかするべきでしょう。」
「陛下も王妃様もやっぱり王太子殿下には甘いのよ。どうしても私にリディ王女へ引き継ぎさせたいと言ったそうなのよ。ルー様でも変えれなかったと謝られたわ。ディアンナ様と同じ様に仰ってくださっていたのだけれど。」
「そういえば、きっとベニカ様を引き止める為にそのような手段を取られたのだ、と仰っておりました。早くに印紋をつけていて良かった、とも。」
ルー様が言うには……王太子殿下は私を愛妾にすることを諦めていないから、と。
成婚してもしばらくは気をつけて欲しい、と何度も繰り返していた。
王太子殿下に印紋を付けられるような事にはなっていないけれど……隙あらば狙われていたということなのかしら……。
「兎にも角にも私もお守り致しますし、ルヴァスール殿下も守ってくださいます。安心して明日をお過ごしください。」
「ありがとう、ディアンナ様。頼りにしているわ。」
───────────────────
────────────
───────
王太子殿下の成婚のこの日は雲一つない晴れやかな天気に恵まれ、無事執り行われた。
隣国ベルチェアから来られた、王太子妃になられるリディ王女様は眩いばかりの金髪に大きなブルーの瞳が印象的な可愛らしい方だった。
私に愛妾になれと言ったこと以外は何らおかしなところの無い我が国の王太子殿下と並ぶとお似合い以外の言葉が見当たらなかった。
(……きっとルー様とあんなことがなければ、今こんな気持ちでこの2人を見ることは出来なかった。)
(叶うことの無い想いを抱えながら、2番目として生きていくことを憂いながら……リディ王女様を羨んでいたに違いないわ。)
(ルー様が!印紋《タトゥー》をつけてくれたから……レオナルト様への想いはいつの間にか消えていたし、リディ王女様にはただただこの国を好きになって幸せになって欲しいとしか思わない。)
(……いつの間にか芽生えた、ルー様への気持ちだけが……誤算だわ。)
陛下の隣に凛として座っている第2王子を見る。
こちらに目線を向けて笑うーーーたったそれだけで胸が苦しい。
抱かれて好きになるなんて……我ながら単純過ぎるわ。
ルー様も同じ気持ちならいいのに……そんな気持ちをのせて、笑い返した。
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
アティス国王太子の結婚式が終わり。
今は披露パーティーが執り行われていた。
ディアンナ様は王城警備がある為、別の騎士が護衛につくと言われたけれど……慣れない人だと何だか落ち着かなくて、逃げるようにホールを出てしまった。
今は皆ホールにいるから、こちら側は誰もいない。
警備隊が巡回しているから危険はないだろうけれど、何だかソワソワする。
……誰か私の噂でもしているのかしら。
「……そんな訳ないわね。」
なんて独り言ちる私。
とほぼ同時。
「君は今……一人か?」
今、いるはずのないお方ーーーーー王太子殿下から声をかけられた。
毎日登城しても王太子殿下に出会うことも無くーーーー成婚の日は明日となった。
「ようやく王太子殿下が成婚されますね!これでベニカ様の肩の荷も降りますね。」
「リディ王女様……王太子妃様に引き継ぎを、と言われているから……まだなのよ、ディアンナ様。」
「えぇ?!城の人間はまだベニカ様に甘えるのです?本来ならばベニカ様は婚約者では無いのですから、破棄後すぐにでも代理で引き継ぎ、あとは他のものがどうにかするべきでしょう。」
「陛下も王妃様もやっぱり王太子殿下には甘いのよ。どうしても私にリディ王女へ引き継ぎさせたいと言ったそうなのよ。ルー様でも変えれなかったと謝られたわ。ディアンナ様と同じ様に仰ってくださっていたのだけれど。」
「そういえば、きっとベニカ様を引き止める為にそのような手段を取られたのだ、と仰っておりました。早くに印紋をつけていて良かった、とも。」
ルー様が言うには……王太子殿下は私を愛妾にすることを諦めていないから、と。
成婚してもしばらくは気をつけて欲しい、と何度も繰り返していた。
王太子殿下に印紋を付けられるような事にはなっていないけれど……隙あらば狙われていたということなのかしら……。
「兎にも角にも私もお守り致しますし、ルヴァスール殿下も守ってくださいます。安心して明日をお過ごしください。」
「ありがとう、ディアンナ様。頼りにしているわ。」
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王太子殿下の成婚のこの日は雲一つない晴れやかな天気に恵まれ、無事執り行われた。
隣国ベルチェアから来られた、王太子妃になられるリディ王女様は眩いばかりの金髪に大きなブルーの瞳が印象的な可愛らしい方だった。
私に愛妾になれと言ったこと以外は何らおかしなところの無い我が国の王太子殿下と並ぶとお似合い以外の言葉が見当たらなかった。
(……きっとルー様とあんなことがなければ、今こんな気持ちでこの2人を見ることは出来なかった。)
(叶うことの無い想いを抱えながら、2番目として生きていくことを憂いながら……リディ王女様を羨んでいたに違いないわ。)
(ルー様が!印紋《タトゥー》をつけてくれたから……レオナルト様への想いはいつの間にか消えていたし、リディ王女様にはただただこの国を好きになって幸せになって欲しいとしか思わない。)
(……いつの間にか芽生えた、ルー様への気持ちだけが……誤算だわ。)
陛下の隣に凛として座っている第2王子を見る。
こちらに目線を向けて笑うーーーたったそれだけで胸が苦しい。
抱かれて好きになるなんて……我ながら単純過ぎるわ。
ルー様も同じ気持ちならいいのに……そんな気持ちをのせて、笑い返した。
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アティス国王太子の結婚式が終わり。
今は披露パーティーが執り行われていた。
ディアンナ様は王城警備がある為、別の騎士が護衛につくと言われたけれど……慣れない人だと何だか落ち着かなくて、逃げるようにホールを出てしまった。
今は皆ホールにいるから、こちら側は誰もいない。
警備隊が巡回しているから危険はないだろうけれど、何だかソワソワする。
……誰か私の噂でもしているのかしら。
「……そんな訳ないわね。」
なんて独り言ちる私。
とほぼ同時。
「君は今……一人か?」
今、いるはずのないお方ーーーーー王太子殿下から声をかけられた。
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