草刈りおじさん異世界に転移して最速で魔王を倒して過去に戻される(仮)

試し読みきり、反響ありましたら続編書きます。

　夏の暑い休日、今田ダイチ40歳・独身は栗畑の草刈りをしていた。

　「あちぃー、なぜ休みに肉体労働なんだ！！」

　気温は37℃、体感は軽く40℃を超えていそうな日中に草刈りをしている。草刈り機を背負ってかっているのだが、日陰など見渡す限りなく今にも倒れそうになりながら除草作業をやっている。

　「よし、あそこまで行ったら少し休憩だぁ！！」

　気合いをいれてあと5メートルくらいの場所まで草刈り機を左右に振りながら草を刈っていく。　


　とある異世界の女神はくしゃみをした。

　「へっくしゅーん！！っ」

　そのくしゃみをした事で女神は異世界召喚の魔法儀式を誤発動させてしまった。本来は魔王討伐のために20年もの年月をかけ女神が魔力を貯めて準備していたモノだった。

　異世界召喚儀式の発動により、今田ダイチは異世界に転移させられる事になった。これも偶然に選ばれただけにすぎない。また、くしゃみにより異世界召喚儀式の魔法陣はぐちゃぐちゃになりランダムな場所に出現させられる事になる。


　ウィーン、ウィーン、草刈り機の鉄の円盤型の刃が勢いよく回転している。今田ダイチは最後の気力をふり絞って草をかる。

　「これでラストォー！！」

　どっかで聞いたセリフ！！

　「ヘっくしゅんー！！」

　どこぞの女神のくしゃみが異世界召喚を誤発動させてしまった。

　今田ダイチは異世界に召喚された。


　ウィーン、ウィーン、スパーン！！

　今田大地は草刈り機ごしに不思議な感触を体感した。今田ダイチは、知らない間に草ではなく魔王の首を草刈り機でチョンパしていた。

　なぜ？うん、ランダムで召喚されたところが魔王の前だったのだ、本来ならありえないミス。普通最初から魔王の前に召喚されたから誰も助からない。しかし、偶然にも草刈りをしている人を魔王の正面に召喚してしまった事で魔王を刈り取る事に成功してしまった。流石の魔王も回避できなかったみたいだ。

　「ん？なんか変な感触がある。何を切ったかな？？」

  　辺りを見渡すとゲームの中の魔王が居そうな部屋の中にいた。

　｢｢魔王様がやられたー！｣｣

　ゲームの中の魔王軍らしき物たちが騒ぎ出すが、今田大地の脳内に、女性のアナウンスが聞こえてくる。

　「ゆゆ勇者よ、魔王討伐おめでとう？これでこの世界は救われました。それでぇあなたは、元の世界に戻れます。へっくしゅん！」

　その直後、今田ダイチの視界は暗転していき意識をなくしていった。

　
　《女神視点》

　『どうしたら…大変大変、どうしよう。異世界召喚の儀式中にくしゃみをして、間違って関係ない人を召喚してしまったわ！私の20年間の汗と涙の結晶がぁ！えっ！何故、魔王の前に召喚されるの？？本当に無駄になってしまう。どどどうしましょう？？　』

　そんな事を考えていると、

　「スパーン！！」

　魔王の生首が宙に舞った。

　『えー、魔王を倒したの？嘘でしょぉ？レベル1のおじさんなのにぃ！でもラッキーだったわ、これで元の世界に戻せば問題ないわ！では早速』

　女神は、動揺しながら今田ダイチへの説明をはじめたが、みんなお気づきの駄目女神が発動した。

　『へへへ、へっくしゅん！！あー、しまった戻す年代を間違ったわー、説明もしてない・・・・まぁーいいかぁ。』

　どこまでも駄目な女神だった。


　そして現在、草刈りをしていた今田ダイチは草刈りして居た場所ではない場所で気づいた。

　「ん？ここは何処だ？知っている天井？ん？二段ベッド？」

　短い時間で現状を把握しようとしていると、誰かから声をかけられた。

　「班長、他の班の人たち講堂にあつまりだしてるよ。」

　声の方を見てみると小学5年生の頃の同級生だった。

　『ん？なんでアイツが小学生の頃のままの容姿なんだ？そういえば、さっきまで草刈りしてて変な感触があったような？』

　「班長？おーい。」


　同級生に声をかけられて現実に戻る。

　「ごめんごめん、トイレいってから行くから先に講堂に行っといて。」

　「大丈夫？顔色悪いよ？顔が黒いのはいつもの事だけど、りょーかい。早くきてよ。班長なんだから」

　同級生を先に行かせてトイレに向かう。理由は小便ではなく、自分の容姿を確認するためだった。焦りながらトイレの洗面台の鏡で確認する。

　『ん？やっぱり小5くらいの俺だよどーなってるんだ？草刈りしていたら？ん？そーいえば魔王討伐がどうのこうの言ってたやつがいたな？？まさか、魔王討伐して元の世界に戻すときにくしゃみしやがったから戻す時代まちがったなー！』

　短い時間で、ダイチは理解した。異世界モノの小説を読んでた経験が活きたのだった。

　『なら、ステータスでるのかな？』

　「ステータス」

　そう叫ぶと、眼の前に文字が表示された。

　
　ダイチ・イマダ

　レベル305
　
　HP　　　　  999
　
　MP　　　　  999
　
　ちから　　　199

　かしこさ　　199

　すばやさ　　199

　たいりょく　199

　まりょく　　199

　【スキル】　　　SP　100000

　精神耐性（弱）・毒耐性（弱）・剣術（弱）・痛覚耐性（弱）
　
　
　【称号】
　
　魔王討伐者・異世界からの帰還者・元おじさん・班長（2班）



『やっぱりでたな？ん？レベル305？？強いのかどうなのかよくわからない。多分強いぶるいだろう、スキルはあるのかな？あった、ポイントを振り分けてスキルを取るタイプだな・・・なんの称号だ？？突っ込みどころが複数あるけど、』

　色々確認したいことが、あったが講堂に集まらないといけないので切り上げて向かう。途中で〈鑑定〉〈気配察知〉〈隠密〉のスキルを取得した。それそれSP100と格安だった。

　
　『班長だったからちゃんとしないとなー！ん、今日は少年自然の家での宿泊研修じゃないか！』

　講堂に着いて班ごとにならんでダイチは思いだした。宿泊研修2日目の朝に担任から連帯責任でクラス全員ビンタされるといった珍事件があったのだった。　令和の時代では大問題になる案件だが当時はなんでとしかおもっていなかったが、回避できる事は回避しようと思うダイチだった。

　『連帯責任でビンタとか関係ないよ、軍隊じゃないし！たしか、朝の集合時間に間に合わない奴がいたからが理由だったと思う。自分は5分前行動していたのに意味がなかった。その研修に遅れてくる病み上がりのN君も後から個別にビンタされてたような？駄目じゃないか？？普通？』

　ダイチの脳には痛みと共に記憶されていた。余談だが、授業中に鼻にデコピン通称鼻ピンをされて涙目になった人も複数いた。なんとか回避したいダイチだった。

　講堂での話の間に、ダイチは今後の予定を考えていた。当然、バレないように〈隠密〉を使っている。先生にばれたら、ビンタが待っているから。
〈鑑定〉を使ったら自分のステータスが異常だと気づいた。

　『えー、ちからが、一桁！先生たちでも20ある人いない。力の加減を間違えないようにスキルをとろう。あと、どうやってクラス全員ビンタを回避しようかな？班長会議で各班長に5分前行動厳守と言っておこう。何故って？聞かれたら、遅れたら担任からビンタされるよ。クラス全員連帯責任アピールもやっておこう。PTA会長の息子にも相談してって？副会長は俺の親父だった。』

　たまに関係ないような事を考えながら予定を組んでいく、そのうち班長会議の時間になる。班長の数は5人、班員は各8人。

　｢では、ただいまから1組班長会議を行います。｣

　1班長の班長の号令で会議が始まった。今後の予定などが、担任の先生からあり5分前行動をしつこく言われた。口癖のように連帯責任という言葉を多々聞いた。それで、なんで守れなかったんだと思うダイチだった。ダイチの班も数人遅れて朝礼に参加したため、ダイチも自分を責めていた。

　｢なにか質問がある人？｣

　担任の先生が聞いてきたので、質問してみる事にした。

　｢先生、明日の集合時間に遅れた場合どうなりますか？｣

　｢遅れる？それはありえんでしょ！他のクラスにも迷惑かけるから。時間厳守よ！｣

　ちなみに、担任は女性の先生である。

　｢わかりました、各班長達一人でも遅れたら連帯責任で全員ビンタを左頬に受けることになるから、班員を必ず連れていくんだ。もし遅れたら、、、。恨まれるからな！班員にも帰ったら伝えてくれよ。｣

　各班長達を脅していると終わる時間になり解散となった。自分の部屋に戻ろうとしていると担任が声をかけてきた。

　｢ダイチ！あんたなんで遅れたらあたしがビンタするのわかってるのよ？｣
　
　『そりゃー過去にあなたに打たれたから体が覚えてるのよ。』

　こころの中で思うダイチだった。

　｢短い付き合いですが、先生の事は把握できましたので先生のしそうな事をいったまでですよ。ダメでした？｣

　｢駄目じゃないけどいったらいったで暴力でいうこと聞かせているみたいじゃない｣

　当然、そのとーりと思うダイチだった。笑

　｢連帯責任も大事ですけど先生暴力は駄目だと思いますよ。今は問題視されていませんが、ニュースにとりあげられて教育委員会から言われてもしりませんよ！今後はどうなるか分かりませんし。まー、連帯責任でビンタされたくないのででは、また明日朝礼で！失礼します。｣

　ダイチは自分の班の部屋にかえり、班員たちに明日遅れたら連帯責任ビンタと言うことを伝えた！

　｢班長ー、本当？ビンタ、遅刻したら？｣

　｢本当？嫌だよ。私｣

　｢俺も嫌だ｣

　｢｢ビンタ嫌だ｣｣


　班員達の叫び声が部屋の中で木霊する。


　｢静かに、だから俺も嫌だから今日は早く寝て明日に備えよう。遅れたら卒業いや死ぬまであんたのせいでビンタされたーていわれるから、いいね？｣

　｢｢はーい。｣｣
　
　｢他の班長にもいってるから大丈夫だとおもうけど、打たれたくないから朝から他の班を見に行くから2班のみんなは先にいっておいて。集合場所は下のグランドなんで、よろしく。｣

　『これで明日なんとかなるかな？まだ、何かあったような気がするが、ビンタは回避できそうだ。』

　

　そのとき、ある場所で裸になり廊下を爆走する男子生徒がいたとかいないとか、、、。いました。


　そして消灯、ダイチ達の運命は！過去を変える事は出来るのか！！
　

　
　翌朝、6時に目が覚めたダイチは素早く起き顔を洗い、班員を起こす。

　｢みんなー起きてー5分前行動だから20分までには部屋をでてね。｣

　｢｢ねむい！んー！｣｣

　｢ビンタされたいの？｣

　｢｢いやー！起きる｣｣

　ビンタの言葉でみんな起きて準備を始めだした。

　ダイチは心配になって他の班の部屋にいき様子を見ると他の班の班長たちもビンタを武器に班員をまとめあげていた。

　｢そろそろ俺も向かうかー！｣

　少し大きい独り言をいって外のグランドを目指す。ふと、先生たちの飲み物の中に睡眠薬をいれて寝坊させる手も浮かんだが、笑いながら集合場所に向かう。

　その時、

　｢へくしょん！｣
　
　そして、ダイチは目の前が暗転して意識を無くしていった。ビンタは回避出来たのか？？その後どうなったかダイチはしるすべがなかった？
　　
 　いや、ダイチが気がつくと担任が過去どうように連帯責任でビンタしようとしている光景だった。


　｢打たれたくないから頑張ったのに、なぜ俺だけ打たれる？女神の為業か？｣

　｢ダイチなにいってるの？先生は女神じゃないわ！いくよ！食いしばって！｣

　バチン！！

　1番最初がダイチだったために担任の手骨が粉々になり全員ビンタは回避された。
　
　こうして、前代未聞の連帯責任ビンタは回避された。


　　　　　　　　　　　　一部完