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第1章 ライナ・アセトアルカナ
第2話 予想外
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翌日。運動会当日の日曜日。
両親は朝から普通に仕事で出勤し、拓也も平日と同じ時間に登校した。
ちなみに、拓也の通う中学は、市内の自宅最寄りなので、歩いて15分と近い。
そして、運動会自体は準備の関係で始まるのが10時過ぎと遅く、外来関係者が参加するなら、開始時刻に間に合うように到着すればいい。
「用は足した、ストレッチはした、部屋の温度湿度も問題なし、鍵もかけた。よし、準備おっけー!」
というわけで、土曜日午前恒例の『現実世界でアバター生活』を、今回もお昼を挟んで数時間ほどこなすことにしたわけだ。とにかく便利なのよ。特に、転移とアイテムボックス。今回は張り切って作ったからね、重箱が重いよ!
フルダイブ装置を付け、ベッドに横たわる。
「では、あらためて。受諾せよ、遥かなる大地への旅路を」
ぶおんっ
「よし、ログイン成功。このままマイホームで、外見を『コナミ・サキ』に切り替えて、現実世界の自宅の自室に転移っと。慣れたものよねえ」
ほとんど毎週やっているので、すっかりルーチンワークだ。『フォークロア・コーポレーション』での打合せも含めて。昨日は、早く帰って今日のお昼作りたかったから、超特急で資料に目を通したよ! 緊急クエストが入らなかったのは僥倖である。
ピッピッ
【現実世界の『自宅・自室』に転移します。よろしいですか? 〔はい/いいえ〕】
〔はい〕を、押す。
ひゅんっ
「はい、今日の私の本体もベッドでぐっすり眠ってるね。って、さっさとアイテムボックスにお弁当詰め込まなきゃ」
がちゃっ
たったったった
「よいしょっと…」
ピッピッ
…ふっ
「詰め込み完了っと。そういえば、異世界モノよろしく、このアイテムボックスも時間停止してくれるのよね。どんな原理なんだか…」
ピンポーン
「えっ、こんな時に誰か訪ねてきたの? 早く出かけたいのに…」
ぱたぱた
「はい、どちらさまで…」
「やあ、ミナ」
「ま、前島さん!?」
玄関の扉を開けると、クラスメートの前島優希さんが立っていた。
「えっと、何か御用? 昨日、学校でも言ったけど、私、これから…」
「うん、拓也くんの学校の運動会に参加するんだよね。ボクも行くよ」
「えええっ!?」
なんで?
「「「もちろん、私達も参加するわ!」」」
え、本当に、なんで?
約束もしていない前島さんもそうだけど、前島さんがマスターのギルド『新緑の騎士団』メンバーである三人娘のみなさまがここにいるのは、どうにも理解不能である。
「あのう、もしかして、またストー…」
「ち、違うよ!? そんなのだったら、こうして目の前に出ないでしょ!」
「け、決して、ギルマスの様子が変だったから縛り上げて便乗しようかとか決して」
「そうそう! 重箱が何段重ねか楽しみだなあなんて、そんなことこれっぽっちも!」
うん、とりあえず、なぜ重箱のこと知ってるか、教えてくれないかなあ?
両親は朝から普通に仕事で出勤し、拓也も平日と同じ時間に登校した。
ちなみに、拓也の通う中学は、市内の自宅最寄りなので、歩いて15分と近い。
そして、運動会自体は準備の関係で始まるのが10時過ぎと遅く、外来関係者が参加するなら、開始時刻に間に合うように到着すればいい。
「用は足した、ストレッチはした、部屋の温度湿度も問題なし、鍵もかけた。よし、準備おっけー!」
というわけで、土曜日午前恒例の『現実世界でアバター生活』を、今回もお昼を挟んで数時間ほどこなすことにしたわけだ。とにかく便利なのよ。特に、転移とアイテムボックス。今回は張り切って作ったからね、重箱が重いよ!
フルダイブ装置を付け、ベッドに横たわる。
「では、あらためて。受諾せよ、遥かなる大地への旅路を」
ぶおんっ
「よし、ログイン成功。このままマイホームで、外見を『コナミ・サキ』に切り替えて、現実世界の自宅の自室に転移っと。慣れたものよねえ」
ほとんど毎週やっているので、すっかりルーチンワークだ。『フォークロア・コーポレーション』での打合せも含めて。昨日は、早く帰って今日のお昼作りたかったから、超特急で資料に目を通したよ! 緊急クエストが入らなかったのは僥倖である。
ピッピッ
【現実世界の『自宅・自室』に転移します。よろしいですか? 〔はい/いいえ〕】
〔はい〕を、押す。
ひゅんっ
「はい、今日の私の本体もベッドでぐっすり眠ってるね。って、さっさとアイテムボックスにお弁当詰め込まなきゃ」
がちゃっ
たったったった
「よいしょっと…」
ピッピッ
…ふっ
「詰め込み完了っと。そういえば、異世界モノよろしく、このアイテムボックスも時間停止してくれるのよね。どんな原理なんだか…」
ピンポーン
「えっ、こんな時に誰か訪ねてきたの? 早く出かけたいのに…」
ぱたぱた
「はい、どちらさまで…」
「やあ、ミナ」
「ま、前島さん!?」
玄関の扉を開けると、クラスメートの前島優希さんが立っていた。
「えっと、何か御用? 昨日、学校でも言ったけど、私、これから…」
「うん、拓也くんの学校の運動会に参加するんだよね。ボクも行くよ」
「えええっ!?」
なんで?
「「「もちろん、私達も参加するわ!」」」
え、本当に、なんで?
約束もしていない前島さんもそうだけど、前島さんがマスターのギルド『新緑の騎士団』メンバーである三人娘のみなさまがここにいるのは、どうにも理解不能である。
「あのう、もしかして、またストー…」
「ち、違うよ!? そんなのだったら、こうして目の前に出ないでしょ!」
「け、決して、ギルマスの様子が変だったから縛り上げて便乗しようかとか決して」
「そうそう! 重箱が何段重ねか楽しみだなあなんて、そんなことこれっぽっちも!」
うん、とりあえず、なぜ重箱のこと知ってるか、教えてくれないかなあ?
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