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四章 闇の中
1.遠ざかる月
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「信乃」の容態が落ち着くまでに、数日を要した。肉体だけではない、心の話だ。清吾の顔を見るとひどく怯えて狼狽えるから、その度にお前は悪くないと囁いて、信乃、と呼んでやらなければならない。
痩せた身体が折れるのではないかと恐れながら、それでも暴れる手足が何かしらにぶつかって傷つくのを避けるため、清吾は「信乃」を強く抱きしめる。
「落ち着け、信乃。そんな調子じゃ、良くなるものも悪くなっちまう」
「清吾、でも、あたし……っ」
「構わねえ。こごさいでぐれれば良いから」
故郷の訛りで告げたとしても、この「信乃」には親しみも何もないだろうが。痣を模した刺青を暴いたあの夜は、悪い夢のようなものだったのだ、と伝えているつもりだった。あんなことはなかった。彼は、この女を信乃だと信じ込んでいる。だから女のほうも、彼を幼馴染だと扱って頼って良いのだ。
でも、だって、とぐずってむずかる女をあやしながら見上げる夜空は、いつも暗かった。裏長屋から見える空など狭いものだから、月が見える時間など限られているのだろうが。清吾は胸の裡で、幾度も唐織の言葉を反芻していた。
(みそかには、月は見えない……)
女郎のまことは、末日に月が出るほどにあり得ない。吉原にあって真実とは、それほどに手の届かない幻の輝きなのだ。
『まこととやらを、輝く月と比べる性根が好きいせん。誰も好んで嘘を重ねるのではありいせんのに』
月のない闇を見上げて呟いた唐織の想いが、今の清吾には分かる気がした。
まこととは、何と美しく、そして儚く遠いものだっただろう。信乃のために力を尽くすと誓ったのは偽りのない本心だと信じていたのに、清吾には幼馴染の顔を見分けることもできなかった。腕に抱いているのは赤の他人だと知った上で、切り捨てることもできず、大切な信乃の名で呼びかけている。
人の心の真実など、自分自身にすら分からない。女郎の嘘を卑しむなど勝手なことで、嘘に縋らねば身動き取れない時もあると、清吾は思い知らされてしまった。
「ごめん。ごめんねえ、清吾……」
「うん、良いがら、信乃……」
泣き疲れた末に眠ったらしい「信乃」の夢見は、きっと良いものではないだろう。嘘を清吾に責められることへの恐れ、捨てられて野ざらしの死体と果てることへの怯えは、目を閉じたところで逃がしてはくれないはずだ。寄せられた眉、食いしばった口元から、闇の中を手探りでさまよう悪夢を見ているのではないかと思う。
そして、清吾も。目を開けてはいても、見えるのは闇ばかりだ。嘘を重ねる度に、彼の視界は暗く塗り潰されていく。本物の信乃の面影も、また。
それでも光明を見出そうと目を凝らせば、夜空には月の代わりに美しい女の姿が浮かぶ気がした。それもまた、清吾の勝手な望み、届かぬ憧れでしかないのだろうが。
* * *
清吾と「信乃」を傍から見れば、身体の衰えと共に心も弱っていく女房を、辛抱強く宥めるできた男、になるらしい。だから、長屋の住人が清吾を見る目はいっそう優しく、かえって彼を苛んだ。緩んだ氷の上を渡るような平穏はとうに崩れ落ち、冷たい水に落ちてふたりして溺れかけているのだとは、誰も気付いていないのだ。
(だから──まあ、ひと晩くらいは大丈夫、だろう)
六月も末に近付いたある夜、清吾は眠る「信乃」をおいて、ひとりそっと家を出た。裏長屋の壁など薄いから、もしも「信乃」が目覚めて騒いだら、誰かしら起き出して宥めてくれると思いたかった。
(我ながら薄情なことだが)
だが、正直に告げれば「信乃」はまた我を忘れて泣き叫ぶのだろう。──唐織に、ことの次第を確かめに行くのだ、などと。
月はもう新月に向けて痩せ細り、地上を照らす輝きとしては心もとない。みそかの月などないのだ、と。当然の道理を改めて噛み締めるし、清吾には似合いの闇夜だ、とも思う。何より、密かに錦屋に忍び込むには好都合だった。
(まともに行っても、もう会っちゃくれないだろうからな……)
あの女は、忘れろ、と清吾を突き放したのだから。
あの痣を見せておいて、まったく無理を言う。彼の心をかき乱して、深く鋭く抉ったのは分かるだろうに。信乃の顔を忘れ、見わけもつかなかった愚か者でも──あるいはだからこそ、何も知らないままではいられないのだ。
* * *
仲の町通りの喧騒を避けて、清吾は錦屋の裏手に回った。江戸町一丁目に構える大見世といえど、客はこの辺りまで来ることはない。共用の厠が設えられていることもあり、見世の者や出入りの者の人影はそれなりにあるが──その辺り、清吾は廓の内情もよく知っている。
「喜の字屋だけど、上がらせてもらうよ。台が足りなくてね」
捩じった手拭いを鉢巻きにして、清吾は喜の字屋を装った。台のもの──座敷に出す料理の仕出しを手がける店のことだ。あちこちの店に出入りする商売だから、料理を運ぶだけでなく、注文の入り具合によっては食器の回収に駆け回ることもあるのだ。
「ああ、二階の端に置いてあるよ。持って行っておくれ」
「どうも」
顔を伏せての早口は、急いでいるからと都合よく考えてもらえたらしい。首尾よく見世の二階に上がった清吾は、廊下の曲がり角に身を隠してそっと様子を窺った。
(唐織は──客がいるんだろうな……)
身請けを控えた花魁には、名残を惜しむ客が殺到するものらしい。見世にとっては最後の稼ぎ時でもあり、清吾がいたころのように怠けることは許されないだろう。
(だが、複数の客を渡り歩いているなら、廊下に出ることもあるはず……!)
ある座敷でひとりの客の相手をして、しばらくしたらまた別の座敷に、と。そうでもしなければ、唐織に会おうとする客のすべてを捌くことはできないだろうから。
だから、焦りと緊張に高鳴る胸を抑えて、清吾は人の行き来を注視した。千鳥足で厠に向かう客、本物の喜の字屋、呼ばれた座敷に向かう芸者や幇間から身を隠しながら。もちろん、客の寝所に向かう女郎もいる。彼女らの色とりどりの仕掛をいくつも見送った後──ついに、待っていた姿が現れた。
「主は……!」
目を瞠って喘いだのは、振袖新造のさらさだった。彼女が付き従う唐織のほうは平静なもので、清吾を前にしても婉然と微笑んでいる。
(……俺を待っていたんじゃないだろうな?)
まさか、と思いながらも都合の良いことを考えて、戸惑ったのも一瞬のこと。すぐに肚を括り、清吾は唐織に手を伸ばした。
「話がある。何のことだかは、分かってるだろうが」
見世のただ中で、花魁に対するあるまじき狼藉だ。さらさはますます目を見開き、叫ぶために胸が動いた。が、唐織の流し目が、妹分の喉を縫い留める。
「能勢様にはわちきが癪を起こしたとでも言いなんし。しばし休んだら、必ず参りいす、と」
「そんな、姉さ──」
さらさの反駁を聞いている余裕などなかった。清吾は唐織の腕を取り、手近な布団部屋に引きずり込んだ。
痩せた身体が折れるのではないかと恐れながら、それでも暴れる手足が何かしらにぶつかって傷つくのを避けるため、清吾は「信乃」を強く抱きしめる。
「落ち着け、信乃。そんな調子じゃ、良くなるものも悪くなっちまう」
「清吾、でも、あたし……っ」
「構わねえ。こごさいでぐれれば良いから」
故郷の訛りで告げたとしても、この「信乃」には親しみも何もないだろうが。痣を模した刺青を暴いたあの夜は、悪い夢のようなものだったのだ、と伝えているつもりだった。あんなことはなかった。彼は、この女を信乃だと信じ込んでいる。だから女のほうも、彼を幼馴染だと扱って頼って良いのだ。
でも、だって、とぐずってむずかる女をあやしながら見上げる夜空は、いつも暗かった。裏長屋から見える空など狭いものだから、月が見える時間など限られているのだろうが。清吾は胸の裡で、幾度も唐織の言葉を反芻していた。
(みそかには、月は見えない……)
女郎のまことは、末日に月が出るほどにあり得ない。吉原にあって真実とは、それほどに手の届かない幻の輝きなのだ。
『まこととやらを、輝く月と比べる性根が好きいせん。誰も好んで嘘を重ねるのではありいせんのに』
月のない闇を見上げて呟いた唐織の想いが、今の清吾には分かる気がした。
まこととは、何と美しく、そして儚く遠いものだっただろう。信乃のために力を尽くすと誓ったのは偽りのない本心だと信じていたのに、清吾には幼馴染の顔を見分けることもできなかった。腕に抱いているのは赤の他人だと知った上で、切り捨てることもできず、大切な信乃の名で呼びかけている。
人の心の真実など、自分自身にすら分からない。女郎の嘘を卑しむなど勝手なことで、嘘に縋らねば身動き取れない時もあると、清吾は思い知らされてしまった。
「ごめん。ごめんねえ、清吾……」
「うん、良いがら、信乃……」
泣き疲れた末に眠ったらしい「信乃」の夢見は、きっと良いものではないだろう。嘘を清吾に責められることへの恐れ、捨てられて野ざらしの死体と果てることへの怯えは、目を閉じたところで逃がしてはくれないはずだ。寄せられた眉、食いしばった口元から、闇の中を手探りでさまよう悪夢を見ているのではないかと思う。
そして、清吾も。目を開けてはいても、見えるのは闇ばかりだ。嘘を重ねる度に、彼の視界は暗く塗り潰されていく。本物の信乃の面影も、また。
それでも光明を見出そうと目を凝らせば、夜空には月の代わりに美しい女の姿が浮かぶ気がした。それもまた、清吾の勝手な望み、届かぬ憧れでしかないのだろうが。
* * *
清吾と「信乃」を傍から見れば、身体の衰えと共に心も弱っていく女房を、辛抱強く宥めるできた男、になるらしい。だから、長屋の住人が清吾を見る目はいっそう優しく、かえって彼を苛んだ。緩んだ氷の上を渡るような平穏はとうに崩れ落ち、冷たい水に落ちてふたりして溺れかけているのだとは、誰も気付いていないのだ。
(だから──まあ、ひと晩くらいは大丈夫、だろう)
六月も末に近付いたある夜、清吾は眠る「信乃」をおいて、ひとりそっと家を出た。裏長屋の壁など薄いから、もしも「信乃」が目覚めて騒いだら、誰かしら起き出して宥めてくれると思いたかった。
(我ながら薄情なことだが)
だが、正直に告げれば「信乃」はまた我を忘れて泣き叫ぶのだろう。──唐織に、ことの次第を確かめに行くのだ、などと。
月はもう新月に向けて痩せ細り、地上を照らす輝きとしては心もとない。みそかの月などないのだ、と。当然の道理を改めて噛み締めるし、清吾には似合いの闇夜だ、とも思う。何より、密かに錦屋に忍び込むには好都合だった。
(まともに行っても、もう会っちゃくれないだろうからな……)
あの女は、忘れろ、と清吾を突き放したのだから。
あの痣を見せておいて、まったく無理を言う。彼の心をかき乱して、深く鋭く抉ったのは分かるだろうに。信乃の顔を忘れ、見わけもつかなかった愚か者でも──あるいはだからこそ、何も知らないままではいられないのだ。
* * *
仲の町通りの喧騒を避けて、清吾は錦屋の裏手に回った。江戸町一丁目に構える大見世といえど、客はこの辺りまで来ることはない。共用の厠が設えられていることもあり、見世の者や出入りの者の人影はそれなりにあるが──その辺り、清吾は廓の内情もよく知っている。
「喜の字屋だけど、上がらせてもらうよ。台が足りなくてね」
捩じった手拭いを鉢巻きにして、清吾は喜の字屋を装った。台のもの──座敷に出す料理の仕出しを手がける店のことだ。あちこちの店に出入りする商売だから、料理を運ぶだけでなく、注文の入り具合によっては食器の回収に駆け回ることもあるのだ。
「ああ、二階の端に置いてあるよ。持って行っておくれ」
「どうも」
顔を伏せての早口は、急いでいるからと都合よく考えてもらえたらしい。首尾よく見世の二階に上がった清吾は、廊下の曲がり角に身を隠してそっと様子を窺った。
(唐織は──客がいるんだろうな……)
身請けを控えた花魁には、名残を惜しむ客が殺到するものらしい。見世にとっては最後の稼ぎ時でもあり、清吾がいたころのように怠けることは許されないだろう。
(だが、複数の客を渡り歩いているなら、廊下に出ることもあるはず……!)
ある座敷でひとりの客の相手をして、しばらくしたらまた別の座敷に、と。そうでもしなければ、唐織に会おうとする客のすべてを捌くことはできないだろうから。
だから、焦りと緊張に高鳴る胸を抑えて、清吾は人の行き来を注視した。千鳥足で厠に向かう客、本物の喜の字屋、呼ばれた座敷に向かう芸者や幇間から身を隠しながら。もちろん、客の寝所に向かう女郎もいる。彼女らの色とりどりの仕掛をいくつも見送った後──ついに、待っていた姿が現れた。
「主は……!」
目を瞠って喘いだのは、振袖新造のさらさだった。彼女が付き従う唐織のほうは平静なもので、清吾を前にしても婉然と微笑んでいる。
(……俺を待っていたんじゃないだろうな?)
まさか、と思いながらも都合の良いことを考えて、戸惑ったのも一瞬のこと。すぐに肚を括り、清吾は唐織に手を伸ばした。
「話がある。何のことだかは、分かってるだろうが」
見世のただ中で、花魁に対するあるまじき狼藉だ。さらさはますます目を見開き、叫ぶために胸が動いた。が、唐織の流し目が、妹分の喉を縫い留める。
「能勢様にはわちきが癪を起こしたとでも言いなんし。しばし休んだら、必ず参りいす、と」
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