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第14話 もうひとつの入れ替わり

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 その後の数日の間、碧燿へきようは自室──紫霓しげい殿ではない、ほんらいの住処だ──で休養に務めた。藍熾らんしは医官を送ってくれた。焼き印を白粉おしろいで隠す猶予さえ与えてくれれば、彼女のほうでも傷痕を増やしたい訳ではなかったから、ありがたく治療を受けた。

 医官のほかにも、芳林殿の火災を取り調べる官も、碧燿の部屋を訪れた。出火場所や燃え広がり方が、明らかに不審だったのだろう。記録から推測した説と、きょう充媛じゅうえんの言動を伝えると、官は頭を抱えていた。進御しんぎょの管理のずさんさが露呈した訳で、何らかの対策が取られれば良い、とは思う。各所の記録が別個に保管されているのも、改善の余地があるだろう。彤史とうしとして意見を求められることがあれば、碧燿も喜んで応じよう。

 ちなみに、妃嬪で者を抱いていたと知らされた時の、藍熾の反応も伝え聞いた。

『暗い中で一度見ただけの女の顔を、いちいち覚えていられるか』

 冷淡で残酷で、けれどもっともなことだった。ならばきょう充媛じゅうえんが何もしなければ、身代わりが露見することはなかったのかもしれない。綬帯じゅたいの事件がなければ──桃児とうじの口封じを試みなければ、碧燿だって記録を掘り返そうとは思わなかった。

(桃児さんが殺される必要もなかったのに)

 焼け跡から見つかった無惨な遺体のことを思って、碧燿の胸は沈んだ。宮女きゅうじょの墓など簡素なもの、せめて個人的に供養をしよう、と心に決めてはいる。

 それも、白鷺はくろ貴妃の件が解決して、碧燿が生きていたら、の話だけど。耳に痛い話を聞かせた者を怒りに任せて殺さないかどうか──彼女はまだあの皇帝を信じ切れていないから。

      * * *

 気力体力の回復を認められた碧燿へきよう紫霓しげい殿を訪ねると、藍熾らんし白鷺はくろ貴妃きひに迎えられた。背高く精悍な皇帝と、寄り添う美姫と──共に硬い表情を浮かべているから、物語のように似合いのついだと、言い切ることができないのが切なかった。

 作法通りの礼をした碧燿が席に着くやいなや、白鷺はくろ貴妃はおずおずと切り出した。

「怪我は治ると聞きました。あの、嬉しく……安心、したわ」

 髪もすこし焦げたせいで、今日の碧燿はいつもの男装に戻っている。彼女としては気楽で良いのだけれど、貴妃には痛ましく見えるのか、腫れものに触れるような声音と眼差しだった。気にしていない、と伝えるために、碧燿は微笑を浮かべる。

「もったいない御言葉です。そもそも助かったのも貴妃様のお陰と伺いました。心からお礼を申し上げます」

 この数日の間に、貴妃の頬はさらに痩せたように見えた。藍熾との間にどんなやり取りがあったのかは分からないけれど、判決を待つ罪人の思いだったとしたら哀れだった。

(安心した? 本当に? 私が死んでいれば、この席は実現しなかったのに)

 礼儀正しく微笑を浮かべながら、碧燿は密かに思う。貴妃の優しさは、父のことで彼女に後ろめたさを感じているから、だけではないような気がする。

 この御方は、心から碧燿に会うのを、そして、真実が明かされるのを待っていたのではないだろうか。だって、保身だけを考えるなら、碧燿のことは捨て置けば良かった。罪──と言えるのかどうか、いまだによく分からないけれど──を償うつもりなら、この間に藍熾に打ち明けることもできた。そうしなかったのは──

(ひとりでは打ち明ける勇気を持てない? 誰かに、あばかれる形でなくては……?)

 抱えた思いが大きすぎて重すぎると、身動きがとれなくなるのかもしれない。ならば、解放して差し上げることも碧燿の役目になるだろうか。

淑真しゅくしんは、お前の話を聞きたいと──あれからまた調べたとのことだが」
「はい。私としては得心が行っております」

 ならば、早く楽にして差し上げなければ、と。碧燿は、藍熾の言葉に応じて頷いた。休養中に、気になる記録を部屋に届けてもらっていたのだ。お陰で、推測はより固まったはずだ。

(手短に、端的に。きっとそのほうが良い)

 どこからどう始めるかは悩ましく、碧燿にとっても口を開くのは勇気がいることではあったけれど。自分に言い聞かせて、腹に力を込めて、告げる。

「貴妃様。貴女様は──?」

 目を見開いて息を呑んだのは、藍熾だけだった。白鷺はくろ貴妃の表情は、変わらない。この御方は、すでに覚悟していたのだろう。それによって、碧燿の説が大筋では当たっていることを教えてくれる。

「どうして、そのように?」

 きょう充媛じゅうえんといい、推論の根拠を問うのは、暴かれる側の義務ででもあるかのようだ。立場の異なる美姫たちが似たような反応を見せたことに少しだけ苦笑してから、碧燿は続ける。

「貴妃たる御方が不義を犯す手段を、思いつくことができませんでした。ならば実際不可能だったのではないか、と。そもそもご懐妊を判断した医官がいたのでしょうが、きょう充媛じゅうえんの例からも分かる通り、貴人の顔を知る者はそういないのです。診察の時も、素顔で接するはずはございませんね? 御簾みす越しに手足の脈を診るとか、そのていどでは? 陛下も、臨席された訳ではないかと存じますが」

 途中から、碧燿はほとんど藍熾だけに問いかけていた。彼の眉が次第に寄っていく様子からして、反論の言葉がないのは明らかだった。ううん、どうにか反論したいとは思っているのだろうけれど。

(聞きたいことがあるならご随意に──改めて納得させてご覧にいれますから)

 その名で記録されたからといって、その人物が実際にその場にいたとは限らない──きょう充媛じゅうえん桃児とうじを利用したのと似たようなことが、ここでも起きていたのだろう。

 宦官である医官は、貴妃の顔を直視することも必要以上に近付くことも、はばかるだろう。紫霓しげい殿で、豪奢な衣装を纏った女性と接すれば、貴妃以外の者だと疑うはずもない。
 そして、報告を受けた藍熾も、懐妊の真偽を確かめることはできない。医官が言うなら貴妃は懐妊しているのだと、やはり疑うことはない。閨に召されたことがない白鷺はくろ貴妃にとっては重罪であり醜聞なのだから、偽る理由がないはずなのだから。

「……後宮に、懐妊した女がほかにいたのか? それこそ相手は何者だ? 淑真しゅくしんのために──いや、ためになること、なのか……? ──とにかく。どこで、どのように通じたのだ? そのような、都合の良い女と」

 ややあって藍熾が絞り出した詰問は、碧燿が待ち構えていたものだった。ここぞとばかりに、彼女は持参した巻物を卓に広げる。推論を固めるために、取り寄せてもらっていたものだ。

「貴妃様の姉君様が後宮を訪ねた最近の記録がございました。短い間を空けて、二度。姉君様ご自身かもしれないし、お供の方々のどなたかかも。いずれにしても、身ごもっていた方がいらっしゃったのでしょう」

 日ごろは、貴妃を尋ねた妃嬪ひひんたちをもてなす茶菓が並び、美しい陶器や磁器が彩るであろう卓の上に、そっけない文字だけが記された紙が広がる。その紙面上の日付や人の名を指でなぞって、碧燿はふたりに丁寧に説明する。

「その方をいったん紫霓しげい殿に入れ、こちらの侍女と入れ替わらせて後宮に留める。同時に、貴妃様がご不調とでも言って医官に診察させる。の報が陛下に届けられた後、再度、姉君様がいらっしゃって、身代わりを引き取る。──陛下、此度のことがお耳に入ったのは、この日付の間のことではございませんでしたか?」
「……相違ない」

 藍熾が呻くように頷いたのとほぼ同時に、白鷺はくろ貴妃の唇が静かに動いた。

「姉にやってもらいました。甥か姪が生まれるそうなの。会えるかどうかは分からないけれど」

 それは、明らかなだった。不義を犯していないという点では、潔白の表明でもあるはずなのだけれど。でも、貴妃は皇帝への偽りを認めた。藍熾が戸惑うように首を傾けたのは、信じていた相手に裏切られたからに違いない。

白鷺はくろ家総出でのことだったのか? このようなことをして、何の益がある?」

 今、この瞬間まで、藍熾は貴妃に裏切られたとは思っていなかったのだ。重罪だと理解してもなお、庇おうとしていたのはそのためだ。なぜなら、彼にとって貴妃は妻ではなく家族だから、不義は彼に対する罪ではなかったのだ。そして、肉親が裁かれるのは耐えがたいと思うのは、人の情としては、まああることなのだろう。

(私は、そうしないとは思うけど──)

 普通の人間と感性が違う自覚はあるから、碧燿は余計なことは言わなかった。たぶん、藍熾だってはっきりとは気付いていなかったこと、よく知らない小娘に指摘されるのは不快に思うだろう。

「義兄が申しておりましたが」

 代わりに踏み込むのは、の話だ。白鷺はくろ貴妃が打ち明けることができない心の重石おもしを、けてあげなくては。

「ことを丸く収めるなら、貴妃様を改めてお召しになれば良かったのです。その上で、御子の誕生には至らなかったとすれば記録の上では何ごともなかったことになります」

 藍熾の深い青の目に、はっきりとした嫌悪と困惑が浮かんだ。記録を偽ることに対してでは、もちろんない。家族同然と思っている女性と閨を共にするなんて、考えるだけでもおぞましい類のことなのだろう。碧燿だって、万が一、義兄の珀雅はくがとどうこう、なんて誰かに言われたら、こんな顔をすると思う。

(本当に、きょうだい同然なんだ……)

 貴妃のほうをちらりと見ると、美しくもやつれた顔が、悲しげに俯いていた。藍熾の表情は、彼女を深く傷つけたのだろう。深く思われ大切に守られても、決して喜ぶことはできないのだ。

「……白鷺はくろ家は、陛下のご厚情に賭けたのではないでしょうか。家の権勢も、これまでの忠誠もありますし。姉君同然の御心を受ける貴妃様が死を賜ることはない、と。それどころか──あわよくば、この件を切っ掛けに妃となり、皇后の地位さえ狙えるのではないか、と。そこまで焦っていた、ということでもあると存じますが」
「馬鹿げたことを」

 怒りを湛えた藍熾の目は、その名の通りに激しい火花がおこるようだった。きっ、と碧燿を睨んだその眼差しは、すぐに貴妃のほうへと移る。

「そのような考えでお前を醜聞に陥れ、しかも危険に晒したのか、白鷺はくろ家は!? 淑真しゅくしん、お前はそこらの女とは違う。替えが効かぬ。信頼できるのはお前くらいしかいないのだ。それでもまだ不満なのか……!?」

 彼の怒りの対象は、白鷺はくろ家に対してのものだった。大切な──姉として、だけど──女性を陰謀に巻き込むものは、その実家であろうと許さないと言いたげな、激しい怒り。

 でも、その思いは、本当に大切にしていると言えるだろうか。

きょう充媛じゅうえんは、貴妃様のことを置き物と評していらっしゃいました」

 碧燿が漏らした呟きを聞き咎めて、青く燃える眼差しが彼女を貫いた。

「愚かな女の世迷いごとだ。嫉妬に正気を失った者のひがみに耳を貸す必要はない」
「まことに。けれど、貴妃様は違うようにお考えなのだと思います。ご実家のご意向とも。──私の推論もございますが、このまま申し上げてよろしいでしょうか」

 きょう充媛じゅうえんの狂態を見た碧燿なら、貴妃の想いはあるていど想像がつく。というか、彼女にとっては後宮の女の鬱屈はとても身近なもの。でも、それを他人の口から語られるのは不快だろう。

(どうしますか?)

 目線で問うと、白鷺はくろ貴妃の唇が、微かに微笑んだ。安堵によって緩んだ、とも見えただろうか。

「……ありがとう、巫馬ふば家の姫君。わたくしのことをおもんぱかってくれるのね」

 とにかく──今の彼女は美しかった。やつれて痩せて、傷ついていても。すっと首と背筋を伸ばし、真っ直ぐに藍熾を見つめる、その堂々とした姿は。

「ここまでしてもらえれば、もう十分。ここからは、わたくしがご説明します」

 心を定めた人間というのは、かくも誇り高く気高く見えるのだ。
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