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第4話 鳳凰の正体
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桃児の獄から出ると、初夏の日差しが眩く、空の青が目に染みるようだった。閃きを得た勢いのまま、男装の身軽さに任せて後宮の回廊を突き進む碧燿の後に、相変わらず藍熾と珀雅がついてくる。というか、珀雅については頼みごとがあるから義妹に引き回されている、と言ったほうが良いかもしれない。
目的の場所に辿り着くと、珀雅は頼みごとの詳細を聞いて、再び顔を引き攣らせた。けれど、碧燿のたってのお願いに、折れた。持つべきものは義妹に甘い義兄である。
碧燿のお願いを叶えている真っ最中の珀雅を見上げて、藍熾がぽつりと呟いた。
「珀雅は我が近侍だぞ」
皇帝の側近に一体何をさせているのか、という非難めいた感想に、碧燿は肩を竦める。
ふたりの視線の先では、珀雅が楼閣の外壁に取り付いてよじ登っていた。後宮の建物には手入れが行き届いていないものも多く、けっこう凹凸があるのだ。彼が裾長く袖のゆったりとした袍ではなく、動きやすい胡服を着てくれていて本当に助かった。
「宦官に頼むのもなかなか手間なのです。危険な仕事は嫌がられますし。その点、義兄なら間違いございません」
藍熾が真実に頓着しないのは、如何ようにも握りつぶせる皇帝だから、だろう。一方で、宦官たちが碧燿に協力したがらないのは、彼らの立場の弱さゆえだ。妃嬪の機嫌を損ねれば簡単に命を奪われかねないから、余計なことを掘り起こすな、と時にはっきりと、時に態度で言われるものだ。
(だから、義兄様はいてくれて良かった、んだけど……)
珀雅は、余計なお荷物も連れてきた。その皇帝はいまだ碧燿の隣にいて、しかもなぜかふたりきりになってしまっている。
「……お暇なのですか?」
政務は良いのかよ、の意味を込めて尋ねると、藍熾の口元が少し緩んだ。
「珀雅が鳥に突かれる場面などそうそうない。どうして見逃せようか」
楼閣の、反り返った屋根のすぐ下まで辿り着いた珀雅は、今まさに鴉の羽根と爪と嘴に襲われているところだった。があがあと耳障りな鳴き声が響き、碧燿たちの目の前にも黒い羽根が降り注ぐ。この楼閣の軒先に鴉が巣を作っているのは、春先に記録したことで記憶していた。
(今は雛がいるはずだから、それは怒るでしょうね……)
宮城に住まう鴉を宮鴉、と呼ぶ。市井の者は、たかが鳥でさえ宮城に関わるものは特別に呼び名を与えてありがたがるらしい。とはいえ、後宮に住む者にとってはうるさい上に見た目も良くない邪魔ものでしかない。一部の妃嬪の訴えで巣を撤去させた、という出来事があったのだ。
なお、鴉も生活の懸かったことだから諦めが悪かった。壊された巣を再建してはまた壊され、の攻防が何度かあった後に、今では人間のほうが諦めている。珀雅が戦っているのは、そんな執念深い鳥たちだった。
(頑張ってね、義兄様)
碧燿は、心の中で珀雅に声援を送るのに専念したかった──というか、なるべく藍熾と口を利きたくなかったのだけれど。
「お前の考えもまだ量り切れていないしな」
試す目で問われると、黙っている訳にもいかなかった。何しろ皇帝陛下のご下問だから、渋々ながら口を開く。
「姜充媛の綬帯を盗んだ者がいるとして──自身の住まいまで持ち帰ることはしないでしょう。充媛のものと知られた品ですから、身に着けることはできないし、解体して売り払うにも後宮に閉じ込められていては伝手はない。そもそも、密かに隠し持つにも難儀するでしょう」
分かり切ったことを説明するのは面倒だった。けれど、藍熾はどうも後宮の妃嬪の暮らしに疎いのではないかという気がしてならなかったから、碧燿は懇切丁寧に思考の過程を並べる。
見上げた視線の先では、珀雅が頭を狙う鴉を追い払ったところだった。片手で危なげなく壁に取り付いているのは日ごろの鍛錬の賜物だろう。
「だから、目的は品物ではなく、単に姜充媛を傷心させることだった。……犯人は芳林殿を辞してすぐに、その辺に投げ捨てたのではないでしょうか」
「その辺……」
「といっても、人目につかないような茂みの中とか、多少は土に埋めたりとかしたのかもしれないですが。でも、人でないモノには見つかるような場所だったのでは、と」
鴉は、光る物を集める習性がある。玉を連ねた豪奢な綬帯を見つけて、さぞ喜んだのではないだろうか。翼ある鳥に持ち去られたなら、人の目には消えた、としか言えない事態にもなるだろう。
「……だが、持ち去ったのが鴉とは限るまい。ほかの鳥や獣、後先考えぬ人間かもしれぬ」
もちろん、眉を寄せた藍熾の疑問ももっともなこと。後宮の広大な庭園に生息する鳥獣はけっこう多いし、人もしばしば愚かな理不尽をしでかしてしまうもの。ただ、それに対しても碧燿は一応の答えがあった。
「それは──」
けれど、それを口にする前に、高みから降る眩い輝きが碧燿の目を射った。楼閣の上階にて、鴉に突かれながら、珀雅が誇らしげに片腕を掲げている。そこには、絢爛な光を放つ帯状のものがしっかりと握られていた。
* * *
無事に地上に戻った珀雅が手にしていたのは、桃児が語った通りの綬帯だった。緋色の絹を彩る金銀の刺繍、さらには金鎖銀鎖で青や赤の宝玉や、粒ぞろいの真珠が連なっている。鴉についばまれたのだろう、多少のほつれや、宝玉が欠けたと思しき部分もあるけれど、ともあれ失われたとされた宝物は発見されたのだ。
「鳳凰の正体も、これで知れましたでしょう」
「何……?」
碧燿が改めて呟くと、藍熾が怪訝そうに眉を寄せた。傲慢な男がついて来ていないのを見て取って、彼女の口元は緩む。
「鳳凰を見たとの証言は、紫雲殿や瑞峰殿──姜充媛の芳林殿と、この楼閣を直線で結ぶ線上から出ていたのです。この綬帯を咥えた鴉──遠目の逆光なら、眩い羽根の鳳凰にも見えるのではないでしょうか」
「……愚かなことだが、無知な女ならあり得るのかもしれぬな」
藍熾にとっては、たぶん碧燿も愚かな女のひとりであって、その言い分を認めるのはたいへんに不本意なことのようだった。けれど、日の光のもとで宝玉の輝きを前に、否定することもできないのだろう。これが空にあった時にどれほど眩しく不可思議に見えるか──それこそ特に愚かでなければ、容易に想像できるというものだ。
「些事をこと細かに記録するのにも、それなりに益がございますでしょう」
先に彤史の職務を軽んじられた言葉を借りてあて擦ると、藍熾は不快げかつ獰猛な表情を見せた。深い青の目と、碧玉の目が、またも睨み合おうとしたところで、珀雅が宥めにかかる。
「ま、これでお前も気が済んだのか? 鴉の仕業と分かれば、あの宮女も助かるな?」
鴉の嘴で髪を乱した珀雅は、常の貴公子ぶりも見る影がない、気の毒な姿だった。無茶をねだった義妹としては、丁重に礼をしてねぎらうべきところだろう。──でも、それもすべてが終わってからのことだ。碧燿は頑固に、そしてはっきりと首を振った。
「その点は良かったですが、まだ気は済んでおりません。そもそも綬帯を盗んだ犯人が判明していないではないですか」
* * *
夜伽をしたことがある姜充媛と、藍熾を会わせるわけにはいかない。五体満足な男である珀雅も、むやみと後宮をうろつくべきではない。よって、綬帯を携えた碧燿は、単身で芳林殿に赴いた。獄に踏み入ったことで衣装は多少汚れているものの、彤史に見た目の良さは求められていないから構うまい。それよりも早く報告したかったし、殿舎を訪ねた容疑者について、充媛の証言を得たかった。けれど──
「わたくし、綬帯を窓辺に置きっぱなしにしていたようね。鴉は図々しいもの、忍び込んで咥えていってしまったのでしょう」
美しい容姿を美しく飾り立てた姜充媛は、それこそ玉を触れ合わせたような玲瓏たる声でそう言って、碧燿の眉を顰めさせた。
「絹と真珠は日光に弱いでしょう。大事なお品を、そのような扱いをするものですか?」
「たまたまそういうこともあるでしょう。わたくしの迂闊だったの」
桃児だけでなく、その主も何かを恐れているかのようだった。姜充媛の美貌はなぜか強張り、玉の声もか細く震えているのだから。
「犯人を突き止めれば、相応の罰がございましょう。報復など考えてはその御方の立場がさらに悪くなるだけ。何を躊躇うことがございます?」
姜充媛は、真実を明るみに出すのを恐れているとしか思えなかった。ここで退けば、さらに相手は増長するのだろうに。耐えていても良いことはないと、分かり切っているだろうに。
「私がうるさく聞いたから、ということになさいませ。勝手に調べ回ったのだと。そうすれば遺恨は私に向かいましょう。充媛様は手がかりをくださるだけで──」
「お黙りなさい。彤史ふぜいに何ができるというの。余計な真似はしないでちょうだい」
震えてはいても鋭い声で言い放つと、姜充媛はふいとそっぽを向いてしまった。その青褪めた横顔からは何も聞き出すことはできないと、悟るのに十分な頑なさだった。
目的の場所に辿り着くと、珀雅は頼みごとの詳細を聞いて、再び顔を引き攣らせた。けれど、碧燿のたってのお願いに、折れた。持つべきものは義妹に甘い義兄である。
碧燿のお願いを叶えている真っ最中の珀雅を見上げて、藍熾がぽつりと呟いた。
「珀雅は我が近侍だぞ」
皇帝の側近に一体何をさせているのか、という非難めいた感想に、碧燿は肩を竦める。
ふたりの視線の先では、珀雅が楼閣の外壁に取り付いてよじ登っていた。後宮の建物には手入れが行き届いていないものも多く、けっこう凹凸があるのだ。彼が裾長く袖のゆったりとした袍ではなく、動きやすい胡服を着てくれていて本当に助かった。
「宦官に頼むのもなかなか手間なのです。危険な仕事は嫌がられますし。その点、義兄なら間違いございません」
藍熾が真実に頓着しないのは、如何ようにも握りつぶせる皇帝だから、だろう。一方で、宦官たちが碧燿に協力したがらないのは、彼らの立場の弱さゆえだ。妃嬪の機嫌を損ねれば簡単に命を奪われかねないから、余計なことを掘り起こすな、と時にはっきりと、時に態度で言われるものだ。
(だから、義兄様はいてくれて良かった、んだけど……)
珀雅は、余計なお荷物も連れてきた。その皇帝はいまだ碧燿の隣にいて、しかもなぜかふたりきりになってしまっている。
「……お暇なのですか?」
政務は良いのかよ、の意味を込めて尋ねると、藍熾の口元が少し緩んだ。
「珀雅が鳥に突かれる場面などそうそうない。どうして見逃せようか」
楼閣の、反り返った屋根のすぐ下まで辿り着いた珀雅は、今まさに鴉の羽根と爪と嘴に襲われているところだった。があがあと耳障りな鳴き声が響き、碧燿たちの目の前にも黒い羽根が降り注ぐ。この楼閣の軒先に鴉が巣を作っているのは、春先に記録したことで記憶していた。
(今は雛がいるはずだから、それは怒るでしょうね……)
宮城に住まう鴉を宮鴉、と呼ぶ。市井の者は、たかが鳥でさえ宮城に関わるものは特別に呼び名を与えてありがたがるらしい。とはいえ、後宮に住む者にとってはうるさい上に見た目も良くない邪魔ものでしかない。一部の妃嬪の訴えで巣を撤去させた、という出来事があったのだ。
なお、鴉も生活の懸かったことだから諦めが悪かった。壊された巣を再建してはまた壊され、の攻防が何度かあった後に、今では人間のほうが諦めている。珀雅が戦っているのは、そんな執念深い鳥たちだった。
(頑張ってね、義兄様)
碧燿は、心の中で珀雅に声援を送るのに専念したかった──というか、なるべく藍熾と口を利きたくなかったのだけれど。
「お前の考えもまだ量り切れていないしな」
試す目で問われると、黙っている訳にもいかなかった。何しろ皇帝陛下のご下問だから、渋々ながら口を開く。
「姜充媛の綬帯を盗んだ者がいるとして──自身の住まいまで持ち帰ることはしないでしょう。充媛のものと知られた品ですから、身に着けることはできないし、解体して売り払うにも後宮に閉じ込められていては伝手はない。そもそも、密かに隠し持つにも難儀するでしょう」
分かり切ったことを説明するのは面倒だった。けれど、藍熾はどうも後宮の妃嬪の暮らしに疎いのではないかという気がしてならなかったから、碧燿は懇切丁寧に思考の過程を並べる。
見上げた視線の先では、珀雅が頭を狙う鴉を追い払ったところだった。片手で危なげなく壁に取り付いているのは日ごろの鍛錬の賜物だろう。
「だから、目的は品物ではなく、単に姜充媛を傷心させることだった。……犯人は芳林殿を辞してすぐに、その辺に投げ捨てたのではないでしょうか」
「その辺……」
「といっても、人目につかないような茂みの中とか、多少は土に埋めたりとかしたのかもしれないですが。でも、人でないモノには見つかるような場所だったのでは、と」
鴉は、光る物を集める習性がある。玉を連ねた豪奢な綬帯を見つけて、さぞ喜んだのではないだろうか。翼ある鳥に持ち去られたなら、人の目には消えた、としか言えない事態にもなるだろう。
「……だが、持ち去ったのが鴉とは限るまい。ほかの鳥や獣、後先考えぬ人間かもしれぬ」
もちろん、眉を寄せた藍熾の疑問ももっともなこと。後宮の広大な庭園に生息する鳥獣はけっこう多いし、人もしばしば愚かな理不尽をしでかしてしまうもの。ただ、それに対しても碧燿は一応の答えがあった。
「それは──」
けれど、それを口にする前に、高みから降る眩い輝きが碧燿の目を射った。楼閣の上階にて、鴉に突かれながら、珀雅が誇らしげに片腕を掲げている。そこには、絢爛な光を放つ帯状のものがしっかりと握られていた。
* * *
無事に地上に戻った珀雅が手にしていたのは、桃児が語った通りの綬帯だった。緋色の絹を彩る金銀の刺繍、さらには金鎖銀鎖で青や赤の宝玉や、粒ぞろいの真珠が連なっている。鴉についばまれたのだろう、多少のほつれや、宝玉が欠けたと思しき部分もあるけれど、ともあれ失われたとされた宝物は発見されたのだ。
「鳳凰の正体も、これで知れましたでしょう」
「何……?」
碧燿が改めて呟くと、藍熾が怪訝そうに眉を寄せた。傲慢な男がついて来ていないのを見て取って、彼女の口元は緩む。
「鳳凰を見たとの証言は、紫雲殿や瑞峰殿──姜充媛の芳林殿と、この楼閣を直線で結ぶ線上から出ていたのです。この綬帯を咥えた鴉──遠目の逆光なら、眩い羽根の鳳凰にも見えるのではないでしょうか」
「……愚かなことだが、無知な女ならあり得るのかもしれぬな」
藍熾にとっては、たぶん碧燿も愚かな女のひとりであって、その言い分を認めるのはたいへんに不本意なことのようだった。けれど、日の光のもとで宝玉の輝きを前に、否定することもできないのだろう。これが空にあった時にどれほど眩しく不可思議に見えるか──それこそ特に愚かでなければ、容易に想像できるというものだ。
「些事をこと細かに記録するのにも、それなりに益がございますでしょう」
先に彤史の職務を軽んじられた言葉を借りてあて擦ると、藍熾は不快げかつ獰猛な表情を見せた。深い青の目と、碧玉の目が、またも睨み合おうとしたところで、珀雅が宥めにかかる。
「ま、これでお前も気が済んだのか? 鴉の仕業と分かれば、あの宮女も助かるな?」
鴉の嘴で髪を乱した珀雅は、常の貴公子ぶりも見る影がない、気の毒な姿だった。無茶をねだった義妹としては、丁重に礼をしてねぎらうべきところだろう。──でも、それもすべてが終わってからのことだ。碧燿は頑固に、そしてはっきりと首を振った。
「その点は良かったですが、まだ気は済んでおりません。そもそも綬帯を盗んだ犯人が判明していないではないですか」
* * *
夜伽をしたことがある姜充媛と、藍熾を会わせるわけにはいかない。五体満足な男である珀雅も、むやみと後宮をうろつくべきではない。よって、綬帯を携えた碧燿は、単身で芳林殿に赴いた。獄に踏み入ったことで衣装は多少汚れているものの、彤史に見た目の良さは求められていないから構うまい。それよりも早く報告したかったし、殿舎を訪ねた容疑者について、充媛の証言を得たかった。けれど──
「わたくし、綬帯を窓辺に置きっぱなしにしていたようね。鴉は図々しいもの、忍び込んで咥えていってしまったのでしょう」
美しい容姿を美しく飾り立てた姜充媛は、それこそ玉を触れ合わせたような玲瓏たる声でそう言って、碧燿の眉を顰めさせた。
「絹と真珠は日光に弱いでしょう。大事なお品を、そのような扱いをするものですか?」
「たまたまそういうこともあるでしょう。わたくしの迂闊だったの」
桃児だけでなく、その主も何かを恐れているかのようだった。姜充媛の美貌はなぜか強張り、玉の声もか細く震えているのだから。
「犯人を突き止めれば、相応の罰がございましょう。報復など考えてはその御方の立場がさらに悪くなるだけ。何を躊躇うことがございます?」
姜充媛は、真実を明るみに出すのを恐れているとしか思えなかった。ここで退けば、さらに相手は増長するのだろうに。耐えていても良いことはないと、分かり切っているだろうに。
「私がうるさく聞いたから、ということになさいませ。勝手に調べ回ったのだと。そうすれば遺恨は私に向かいましょう。充媛様は手がかりをくださるだけで──」
「お黙りなさい。彤史ふぜいに何ができるというの。余計な真似はしないでちょうだい」
震えてはいても鋭い声で言い放つと、姜充媛はふいとそっぽを向いてしまった。その青褪めた横顔からは何も聞き出すことはできないと、悟るのに十分な頑なさだった。
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