42 / 49
九章 佳燕の真意
2.仕切り直し
しおりを挟む
戸惑いに朱華が眉を顰めたのでさえ、佳燕を怯えさせたのかもしれない。儚げな佳人は、俯いて膝の上で指を弄いながら、囁く声で呟いた。
「その……私などに目を留めていただいたのは、大変嬉しいことだと思います。この上なくもったいないことだと……」
「そのようなことは、繍栄からも聞きました。そして、よく知らない世の者が考えそうなことでもあります。佳燕様ご自身は、本当にそのようにお考えなのですか……?」
「雪莉様、そんな……」
佳燕は、朱華がひどい無理難題を申し付けたとでも言いたげに目を見開き、助けを求めてか繍栄の方に視線をさまよわせた。けれど、もちろん臆病な侍女に妃同士の会話に口を挟む勇気はないだろう。何より、佳燕本人に答えてもらわないと意味がないのだ。
「四の君様のことはお気になさらず。佳燕様をお探しした時点で、三の君様のご依頼は果たすことができていますから。ただ──できることなら、佳燕様もご納得の上でお戻りいただいた方が、皓華宮の御方も喜ばれるのではないかというだけで……」
佳燕の目が炎俊も窺ったのを見て取って、朱華は付け足した。炎俊自身は、佳燕の意思を問わずに翰鷹皇子に対する手札にする気満々だ。だから、少なからず嘘を吐いたことになってしまうのだけど。でも、炎俊は物言いたげに口元をわずかに動かしただけで、何も言わないでいてくれた。まだ、朱華に付き合ってくれるつもりはあるということだ。とはいえ、佳燕が煮え切らない態度を続けていたらどうなるか分からない。
「雪莉様……。あの、私などのために、ありがとうございます……!」
祈るように見つめた朱華の想いが、届いたのだろうか。佳燕の目が潤み、唇からは震える声と深いため息が漏れた。落ち着きなく互いに絡まり合っていた指が、しっかりと握られて──そして、佳燕の細い声にもわずかながら力が宿った。
「もしも、正直に申し上げても良いのなら……その、図々しいとは思うのですけれど。私の長春君様を……お慕い、しておりますわ」
「はい」
「片隅に控えていた私のことを、見つけ出してくださいました。何の役にも立たない身ですのに、優しくしてくださいました」
「はい」
「雪莉様にはお分かりにはならないかもしれませんが、そして、雪莉様は違うのでしょうが。侍女や婢女の類の者は、いちいち顔や名前を覚えてもらえるとは限りません。ことに、《力》があっても《力》がないも同然の、私のような者は」
朱華は本来は婢女でさえない。でも、佳燕の立場を知らないというのは事実だし、彼女自身とはまた違った苦労があるのだろうとは想像がつく。何より、せっかく佳燕が胸の内を明かしてくれたのだ。だから朱華はひたすら相槌を打つに留めた。
(優しい方、ね……間違いでは、ないんでしょうけど……)
実際に会った翰鷹皇子を思い出すと、もっと違う形容が先に出るのではないかと思えてならないけれど。炎俊も、茶器を口に運びながら、少し首を傾げているけれど。
「ですから、私だけを見て、私だけを求めていただけたのは……夢のようなことでした」
言い終えた時には、佳燕の頬は愛らしく赤く染まっていた。その表情で、信じられないけれど分かってしまう。佳燕は、本心から夫君を慕っているのだ。
「あの、でも、この繍栄からはお困りのご様子だったと……それに、それならどうしてあのようなことを……?」
「だって、私では皓華宮の妃に相応しくないのですもの……!」
疑問に耐えきれずに朱華が問うと、佳燕は声高く叫ぶなり両手で顔を覆った。
「翰鷹様にお仕えできるのは幸せなことです。でも、私ひとりではあのお方を支えることなど叶わないのです。皓華宮まで得た方の重石になることなど望まないのに……だから、他の方をと何度もお願いしたのに……」
白く細い指の間から、深く長い嘆息が漏れる。切々と、心を揺さぶるような震える声が、怨じるように訴える。今回の騒動に一方的に巻き込まれ、翰鷹皇子に思うところも色々とある朱華でさえも、哀れに思わずにはいられない悲痛な声だった。
「皓華宮の片隅にでも置いていただけて、たまにお会いすることさえできれば、それでもう望外の幸福でしたでしょうに。どうして、こんなことに……私などがあの方の目に留まってしまったのは、間違いなのですわ……!」
「──つまり、義姉上は、兄上が道を誤るのを望まない、ということでよろしいか? ただひとりの妃にこだわるのではなく、立場に相応しい女を娶るように、と?」
(黙ってれば良かったのに余計なことを……!)
でも、例によって炎俊には女心の機微は一切通じないのだ。佳燕が翰鷹皇子を惑わしたとでも言いたげな炎俊の言いざまに、朱華は密かに眉を吊り上げる。佳燕自身は肯定するとしても、これでは、あまりに気の毒だ。多分、炎俊としては兄嫁を貶めるつもりは全くなく、事実だけを述べているだけだろうからなお質が悪い。
案の定、佳燕は怯えたように身体を縮め、目には明らかに涙が盛り上がった。それでも泣き出してしまわなかったのは、仮にも皇子に対する畏れがあるからだろうか。
「は、はい……。私が姿を消せば、目を覚ましてくださるかと、思ったのですが──」
「ならば話は簡単だ。このまま星黎宮にお留まりあれ。義姉上は解放されるし、兄上も頭が冷えるだろう」
炎俊が恩着せがましく微笑んだ、その次に起きたのは驚くべきことだった。今にも倒れそうに顔色を青褪めさせながら、それでも、佳燕は首を振ったのだ。
「あ、あの……とても、寛容で……もったいないお言葉ですわ……。あの、でも……」
(佳燕様……本当に、三の君様がお好きなのね……!)
この臆病な方が皇子に対して、でも、と言うのに、どれほどの勇気が要ったことだろう。炎俊の提案も、それ自体はそれほど冷酷なものではない──佳燕に隠れ場所を与えると言っている以上は、歓迎すべきものだったろうに。
「それでは、長春君様とは、もう──」
「会えば、兄上も諦めがつくまい。今、間違いだったと申されたではないか」
なのに、炎俊には佳燕の必死の勇気は分からないのだ。どうして煩わせるのかと、不思議に思っているに違いない表情で、朱華の夫は首を傾げる。その無邪気な横っ面を引っ叩きたい衝動がこみ上げるけど──佳燕の前でそのような暴挙ができるはずもない。
「それに、兄上は今回のことで帝位争いでは私に譲ってくださると約束された。皓華宮から出れば、誰を傍に置こうと多少度が過ぎようと、問題にはなるまい」
「そんな……っ!」
佳燕の悲鳴は、そういえば翰鷹皇子がそもそも帝位には興味がないのを知らなかったからだろうか。あるいは、夫と再会できるのがいつになるか知れないと告げられたからか。いずれにしても、佳燕の強張った表情には、非難の色さえ浮かんでいた。助け出され保護された感謝が、夫から遠ざけられて閉じ込められる恐怖に取って代わられたのだ。
(もう、これじゃダメじゃない!)
「長春君様!」
焦りと苛立ちに駆られて、朱華は今度こそ大声を上げていた。炎俊は逆の方向に首を傾げるだけで、佳燕の方こそびくりと身体を震わせるたのが、理不尽に思えてならなかった。朱華は、この方の味方をしたつもりなのに!
「一度に仰られても、佳燕様もすぐにお心を定めることなどできませんわ。三の君様と佳燕様は相思相愛でいらっしゃいます。それが分かっただけでも良いではありませんか!」
「雪莉。だが──」
炎俊の言いたいことは、分かる。良かったことを探しても、この場合はあまり意味がない。事態を本当に解決するには、翰鷹皇子の説得が不可欠だ。そして、それはどうにも不可能に思えてならないし、可能だとしても面倒なのは絶対に間違いない。
「お疲れのところ、すぐにこのような話を持ち出したのは軽率でございましたわ。せめて一晩なりと、ゆっくりお休みいただくべきでした」
今は作戦会議だ、と朱華は目で炎俊に伝えた。佳燕や、後で知らせる翰鷹皇子が邪推する余地がないよう、彼女たちは当面また同じ閨で休むことはあらかじめ話し合っている。
「私も、長春君様には労っていただきたいですもの。ふたりきりに、なりたいですわ……?」
言ってやりたいことがある、と。暗に伝えると炎俊が軽く眉を顰めた。面倒くさいと思ったに違いない。だが、朱華だってあまりにも心無い言動を見かねて仕方なく、なのだ。
薄暗い閨の帳の内で、きっとまた深夜まで語らうことになるのだ。何日か前まで寝室を分ける話をしていたのに、安らかな眠りは、朱華にとってどこまでも遠いままだった。
「その……私などに目を留めていただいたのは、大変嬉しいことだと思います。この上なくもったいないことだと……」
「そのようなことは、繍栄からも聞きました。そして、よく知らない世の者が考えそうなことでもあります。佳燕様ご自身は、本当にそのようにお考えなのですか……?」
「雪莉様、そんな……」
佳燕は、朱華がひどい無理難題を申し付けたとでも言いたげに目を見開き、助けを求めてか繍栄の方に視線をさまよわせた。けれど、もちろん臆病な侍女に妃同士の会話に口を挟む勇気はないだろう。何より、佳燕本人に答えてもらわないと意味がないのだ。
「四の君様のことはお気になさらず。佳燕様をお探しした時点で、三の君様のご依頼は果たすことができていますから。ただ──できることなら、佳燕様もご納得の上でお戻りいただいた方が、皓華宮の御方も喜ばれるのではないかというだけで……」
佳燕の目が炎俊も窺ったのを見て取って、朱華は付け足した。炎俊自身は、佳燕の意思を問わずに翰鷹皇子に対する手札にする気満々だ。だから、少なからず嘘を吐いたことになってしまうのだけど。でも、炎俊は物言いたげに口元をわずかに動かしただけで、何も言わないでいてくれた。まだ、朱華に付き合ってくれるつもりはあるということだ。とはいえ、佳燕が煮え切らない態度を続けていたらどうなるか分からない。
「雪莉様……。あの、私などのために、ありがとうございます……!」
祈るように見つめた朱華の想いが、届いたのだろうか。佳燕の目が潤み、唇からは震える声と深いため息が漏れた。落ち着きなく互いに絡まり合っていた指が、しっかりと握られて──そして、佳燕の細い声にもわずかながら力が宿った。
「もしも、正直に申し上げても良いのなら……その、図々しいとは思うのですけれど。私の長春君様を……お慕い、しておりますわ」
「はい」
「片隅に控えていた私のことを、見つけ出してくださいました。何の役にも立たない身ですのに、優しくしてくださいました」
「はい」
「雪莉様にはお分かりにはならないかもしれませんが、そして、雪莉様は違うのでしょうが。侍女や婢女の類の者は、いちいち顔や名前を覚えてもらえるとは限りません。ことに、《力》があっても《力》がないも同然の、私のような者は」
朱華は本来は婢女でさえない。でも、佳燕の立場を知らないというのは事実だし、彼女自身とはまた違った苦労があるのだろうとは想像がつく。何より、せっかく佳燕が胸の内を明かしてくれたのだ。だから朱華はひたすら相槌を打つに留めた。
(優しい方、ね……間違いでは、ないんでしょうけど……)
実際に会った翰鷹皇子を思い出すと、もっと違う形容が先に出るのではないかと思えてならないけれど。炎俊も、茶器を口に運びながら、少し首を傾げているけれど。
「ですから、私だけを見て、私だけを求めていただけたのは……夢のようなことでした」
言い終えた時には、佳燕の頬は愛らしく赤く染まっていた。その表情で、信じられないけれど分かってしまう。佳燕は、本心から夫君を慕っているのだ。
「あの、でも、この繍栄からはお困りのご様子だったと……それに、それならどうしてあのようなことを……?」
「だって、私では皓華宮の妃に相応しくないのですもの……!」
疑問に耐えきれずに朱華が問うと、佳燕は声高く叫ぶなり両手で顔を覆った。
「翰鷹様にお仕えできるのは幸せなことです。でも、私ひとりではあのお方を支えることなど叶わないのです。皓華宮まで得た方の重石になることなど望まないのに……だから、他の方をと何度もお願いしたのに……」
白く細い指の間から、深く長い嘆息が漏れる。切々と、心を揺さぶるような震える声が、怨じるように訴える。今回の騒動に一方的に巻き込まれ、翰鷹皇子に思うところも色々とある朱華でさえも、哀れに思わずにはいられない悲痛な声だった。
「皓華宮の片隅にでも置いていただけて、たまにお会いすることさえできれば、それでもう望外の幸福でしたでしょうに。どうして、こんなことに……私などがあの方の目に留まってしまったのは、間違いなのですわ……!」
「──つまり、義姉上は、兄上が道を誤るのを望まない、ということでよろしいか? ただひとりの妃にこだわるのではなく、立場に相応しい女を娶るように、と?」
(黙ってれば良かったのに余計なことを……!)
でも、例によって炎俊には女心の機微は一切通じないのだ。佳燕が翰鷹皇子を惑わしたとでも言いたげな炎俊の言いざまに、朱華は密かに眉を吊り上げる。佳燕自身は肯定するとしても、これでは、あまりに気の毒だ。多分、炎俊としては兄嫁を貶めるつもりは全くなく、事実だけを述べているだけだろうからなお質が悪い。
案の定、佳燕は怯えたように身体を縮め、目には明らかに涙が盛り上がった。それでも泣き出してしまわなかったのは、仮にも皇子に対する畏れがあるからだろうか。
「は、はい……。私が姿を消せば、目を覚ましてくださるかと、思ったのですが──」
「ならば話は簡単だ。このまま星黎宮にお留まりあれ。義姉上は解放されるし、兄上も頭が冷えるだろう」
炎俊が恩着せがましく微笑んだ、その次に起きたのは驚くべきことだった。今にも倒れそうに顔色を青褪めさせながら、それでも、佳燕は首を振ったのだ。
「あ、あの……とても、寛容で……もったいないお言葉ですわ……。あの、でも……」
(佳燕様……本当に、三の君様がお好きなのね……!)
この臆病な方が皇子に対して、でも、と言うのに、どれほどの勇気が要ったことだろう。炎俊の提案も、それ自体はそれほど冷酷なものではない──佳燕に隠れ場所を与えると言っている以上は、歓迎すべきものだったろうに。
「それでは、長春君様とは、もう──」
「会えば、兄上も諦めがつくまい。今、間違いだったと申されたではないか」
なのに、炎俊には佳燕の必死の勇気は分からないのだ。どうして煩わせるのかと、不思議に思っているに違いない表情で、朱華の夫は首を傾げる。その無邪気な横っ面を引っ叩きたい衝動がこみ上げるけど──佳燕の前でそのような暴挙ができるはずもない。
「それに、兄上は今回のことで帝位争いでは私に譲ってくださると約束された。皓華宮から出れば、誰を傍に置こうと多少度が過ぎようと、問題にはなるまい」
「そんな……っ!」
佳燕の悲鳴は、そういえば翰鷹皇子がそもそも帝位には興味がないのを知らなかったからだろうか。あるいは、夫と再会できるのがいつになるか知れないと告げられたからか。いずれにしても、佳燕の強張った表情には、非難の色さえ浮かんでいた。助け出され保護された感謝が、夫から遠ざけられて閉じ込められる恐怖に取って代わられたのだ。
(もう、これじゃダメじゃない!)
「長春君様!」
焦りと苛立ちに駆られて、朱華は今度こそ大声を上げていた。炎俊は逆の方向に首を傾げるだけで、佳燕の方こそびくりと身体を震わせるたのが、理不尽に思えてならなかった。朱華は、この方の味方をしたつもりなのに!
「一度に仰られても、佳燕様もすぐにお心を定めることなどできませんわ。三の君様と佳燕様は相思相愛でいらっしゃいます。それが分かっただけでも良いではありませんか!」
「雪莉。だが──」
炎俊の言いたいことは、分かる。良かったことを探しても、この場合はあまり意味がない。事態を本当に解決するには、翰鷹皇子の説得が不可欠だ。そして、それはどうにも不可能に思えてならないし、可能だとしても面倒なのは絶対に間違いない。
「お疲れのところ、すぐにこのような話を持ち出したのは軽率でございましたわ。せめて一晩なりと、ゆっくりお休みいただくべきでした」
今は作戦会議だ、と朱華は目で炎俊に伝えた。佳燕や、後で知らせる翰鷹皇子が邪推する余地がないよう、彼女たちは当面また同じ閨で休むことはあらかじめ話し合っている。
「私も、長春君様には労っていただきたいですもの。ふたりきりに、なりたいですわ……?」
言ってやりたいことがある、と。暗に伝えると炎俊が軽く眉を顰めた。面倒くさいと思ったに違いない。だが、朱華だってあまりにも心無い言動を見かねて仕方なく、なのだ。
薄暗い閨の帳の内で、きっとまた深夜まで語らうことになるのだ。何日か前まで寝室を分ける話をしていたのに、安らかな眠りは、朱華にとってどこまでも遠いままだった。
0
お気に入りに追加
162
あなたにおすすめの小説
本日、訳あり軍人の彼と結婚します~ド貧乏な軍人伯爵さまと結婚したら、何故か甘く愛されています~
扇 レンナ
キャラ文芸
政略結婚でド貧乏な伯爵家、桐ケ谷《きりがや》家の当主である律哉《りつや》の元に嫁ぐことになった真白《ましろ》は大きな事業を展開している商家の四女。片方はお金を得るため。もう片方は華族という地位を得るため。ありきたりな政略結婚。だから、真白は律哉の邪魔にならない程度に存在していようと思った。どうせ愛されないのだから――と思っていたのに。どうしてか、律哉が真白を見る目には、徐々に甘さがこもっていく。
(雇う余裕はないので)使用人はゼロ。(時間がないので)邸宅は埃まみれ。
そんな場所で始まる新婚生活。苦労人の伯爵さま(軍人)と不遇な娘の政略結婚から始まるとろける和風ラブ。
▼掲載先→エブリスタ、アルファポリス、小説家になろう
※エブリスタさんにて先行公開しております。ある程度ストックはあります。
婚約破棄された親友の悪役令嬢に成り代わり王太子殿下に果たし合いします!
家紋武範
恋愛
王太子リック、その婚約者である公爵令嬢ライラ、そして王太子剣術指南ジンの三人は親友同士。
普段は仲の良い三人。ジンは将来夫婦になるであろうリックとライラを微笑ましく見ていた。
だが、リックは正式な場でライラに対し婚約破棄を言い渡す。
ジンはライラに成り代わり、リックに決闘を申し込むも返り討ちにあい押し倒されてしまう。
そして、気持ちを伝えられるのだ。男装の麗人ジンへの恋心を。
貸本屋七本三八の譚めぐり ~熱を孕む花~
茶柱まちこ
キャラ文芸
「記憶が戻ったら、リツはいなくなっちまうのかな」
越午の地に住まう椿井蒼樹郎(つばいそうじゅろう)に仕える使用人・夏目世助(なつめよすけ)はある日、怪我をして倒れていた謎の女性・リツを保護する。何者かに襲われていたらしい彼女は、名前以外の全ての記憶を失っていた。
これは、全てを忘れた女と、女に恋焦がれた青年が、譚を取り戻すまでの譚。
『譚』と『本』、人と縁をめぐる大昌活劇、第三弾。
【完結】えんはいなものあじなもの~後宮天衣恋奇譚~
魯恒凛
キャラ文芸
第7回キャラ文芸大賞奨励賞受賞しました。応援ありがとうございました!
天龍の加護を持つ青龍国。国中が新皇帝の即位による祝賀ムードで賑わう中、人間と九尾狐の好奇心旺盛な娘、雪玲は人間界の見物に訪れる。都で虐められていた娘を助けたまでは良かったけど、雹華たちに天衣を盗まれてしまい天界に帰れない。彼女たちが妃嬪として後宮に入ることを知った雪玲は、ひょんなことから潘家の娘の身代わりとして後宮入りに名乗りを上げ、天衣を取り返すことに。
天真爛漫な雪玲は後宮で事件を起こしたり巻き込まれたり一躍注目の的。挙句の果てには誰の下へもお渡りがないと言われる皇帝にも気に入られる始末。だけど、顔に怪我をし仮面を被る彼にも何か秘密があるようで……。
果たして雪玲は天衣を無事に取り戻し、当初の思惑通り後宮から脱出できるのか!?
えんはいなものあじなもの……男女の縁というものはどこでどう結ばれるのか、まことに不思議なものである
九龍懐古
カロン
キャラ文芸
香港に巣食う東洋の魔窟、九龍城砦。
犯罪が蔓延る無法地帯でちょっとダークな日常をのんびり暮らす何でも屋の少年と、周りを取りまく住人たち。
今日の依頼は猫探し…のはずだった。
散乱するドラッグと転がる死体を見つけるまでは。
香港ほのぼの日常系グルメ犯罪バトルアクションです、お暇なときにごゆるりとどうぞ_(:3」∠)_
みんなで九龍城砦で暮らそう…!!
※キネノベ7二次通りましたとてつもなく狼狽えています
※HJ3一次も通りました圧倒的感謝
※ドリコムメディア一次もあざます
※字下げ・3点リーダーなどのルール全然守ってません!ごめんなさいいい!
表紙画像を十藍氏からいただいたものにかえたら、名前に‘様’がついていて少し恥ずかしいよテヘペロ
ちょっと仕事辞めて実家に帰る~田舎ではじめる休活スローライフ
錬金王
キャラ文芸
田舎に住んでいた主人公、安国忠宏は親の反対を押し切って上京し、都内の大学へと進学した。
都内に夢を見た彼だが、大学を卒業後受かったのは小さなサービス企業。
しかもそこはパワハラ、サービス残業上等のブラック企業だった。
他に再就職できるあても自信もなく、親の反対を押し切った手前に辞めることすらできないでいた忠宏は、
ブラック企業で働き続けた。しかし、四年目でとうとう精神が耐え切れなくなる。
そんな限界的状況に陥った忠宏の元に、母からの電話が。
「仕事を辞めて実家に帰っておいで」
母の優しい言葉に吹っ切れた忠宏は、仕事を辞めて実家である田舎に帰る。
すると一週間後には従妹である、真宮七海がくることになり、疎遠だった友人たちとの緩やかで楽しい生活がはじまる。
仕事だけが人生ではない、少しくらいゆっくりした時間が人生にあってもいいと思う。
その寵愛、仮初めにつき!
春瀬湖子
キャラ文芸
お天気雨。
別名、狐の嫁入りーー
珍しいな、なんて思いつつ家までの近道をしようと神社の鳥居をくぐった時、うっかり躓いて転んでしまった私の目の前に何故か突然狐耳の花嫁行列が現れる。
唖然として固まっている私を見た彼らは、結婚祝いの捧げだと言い出し、しかもそのまま生贄として捕まえようとしてきて……!?
「彼女、俺の恋人だから」
そんな時、私を助けてくれたのは狐耳の男の子ーーって、恋人って何ですか!?
次期領主のお狐様×あやかし世界に迷い込んだ女子大生の偽装恋人ラブコメです。
ハレマ・ハレオは、ハーレまない!~億り人になった俺に美少女達が寄ってくる?だが俺は絶対にハーレムなんて作らない~
長月 鳥
キャラ文芸
W高校1年生の晴間晴雄(ハレマハレオ)は、宝くじの当選で億り人となった。
だが、彼は喜ばない。
それは「日本にも一夫多妻制があればいいのになぁ」が口癖だった父親の存在が起因する。
株で儲け、一代で財を成した父親の晴間舘雄(ハレマダテオ)は、金と女に溺れた。特に女性関係は酷く、あらゆる国と地域に100名以上の愛人が居たと見られる。
以前は、ごく平凡で慎ましく幸せな3人家族だった……だが、大金を手にした父親は、都心に豪邸を構えると、金遣いが荒くなり態度も大きく変わり、妻のカエデに手を上げるようになった。いつしか住み家は、人目も憚らず愛人を何人も連れ込むハーレムと化し酒池肉林が繰り返された。やがて妻を追い出し、親権を手にしておきながら、一人息子のハレオまでも安アパートへと追いやった。
ハレオは、憎しみを抱きつつも父親からの家賃や生活面での援助を受け続けた。義務教育が終わるその日まで。
そして、高校入学のその日、父親は他界した。
死因は【腹上死】。
死因だけでも親族を騒然とさせたが、それだけでは無かった。
借金こそ無かったものの、父親ダテオの資産は0、一文無し。
愛人達に、その全てを注ぎ込み、果てたのだ。
それを聞いたハレオは誓う。
「金は人をダメにする、女は男をダメにする」
「金も女も信用しない、父親みたいになってたまるか」
「俺は絶対にハーレムなんて作らない、俺は絶対ハーレまない!!」
最後の誓いの意味は分からないが……。
この日より、ハレオと金、そして女達との戦いが始まった。
そんな思いとは裏腹に、ハレオの周りには、幼馴染やクラスの人気者、アイドルや複数の妹達が現れる。
果たして彼女たちの目的は、ハレオの当選金か、はたまた真実の愛か。
お金と女、数多の煩悩に翻弄されるハレマハレオの高校生活が、今、始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる