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一章 偽の姫、天遊林に入る
3.花嫁衣裳
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天遊林には、大きく分けて五つの区域が存在する。中心の庭園には数多の小さな建物がちりばめられ、それぞれに名家から集められた姫たちが住まわされる。朱華が仮に住まっているのも、招かれた茶会などの席が催されたのもこの区域だ。姫たちを咲き乱れる花に喩えて百花園とも呼ばれる広い庭だ。
そして百花園の東西南北に、それぞれ独立した宮殿がある。帝位を狙う皇子たちの拠点となる宮、皇宮の表にも同じ名の宮があるのを、そのまま後宮に映したものだ。表の宮では、文武の官を集めて国の行く末を諮ることもあれば、名だたる貴族を招いて宴を催すこともある。
そして天遊林にある方の宮の役割はというと、皇族の血統を保つための、いわば後宮の「卵」というべきものだ。その宮の皇子がめでたく帝位を得れば、侍る妃たちも晴れて后妃の位を賜る。そうでなくても、帝位争いの過程で皇子が失脚することがなければ、相応の栄誉を得ることができるだろう。
天遊林の――百花園の女たちは、まずは皇子たちに「摘み取られる」ことを目的とする。容姿なり、各々の《力》を喧伝するなりして注目を集めようとする。そのために、朱華が招かれたような会が、百花園では毎日のようにいたるところで行われている。あまりに催しが多いから、まず出席者を集めるのにも趣向を凝らさなければいけないというし、目も舌も肥えた客を楽しませるために各家は相当の財を注ぐという。だから、天遊林に入ってすぐに皇子の声がかかった朱華は、幸運ではあったのだろう。
鏡の中の朱華は、かつてなく美しく飾り立てられていた。百花園の北に位置する星黎宮の一室、彼女を求めた炎俊皇子の住まいでのことだ。これまでの仮の部屋よりもさらに贅を凝らした部屋の中、調度にも負けまいとするかのように、これでもかとばかりに。
名に合わせたかのような――とは、皇子には決して言えないのだけど――鮮やかな朱の絹の衣装には、金糸で細やかな刺繍が施されている。結い上げた髪に挿す簪も、赤。薄く削った瑪瑙で花弁を誂えた牡丹を飾りにしている。眦にも朱を差して、くっきりとした顔立ちを際立たせる。華やかで、艶やかな――その姿は、あの峯でさえ感嘆の息を漏らすほどだ。
「飾り立てれば化けるもの……これなら、皇子にも満足していただけよう」
「どうせすぐに脱がせるんでしょうに。無駄なことをするものね」
「出自の割にものを知らぬこと。殿方は、女の衣装を剥いでいくのを楽しむものだ」
無知を嘲るように嗤われて、朱華はもちろん面白くない。けれど、唇を尖らせても眉を寄せても化粧を崩してしまうから、内心で罵るにとどめる。
(あんたこそ男を知ってるか疑問だわ……!)
峯は夫も子もなく、生涯の全てを陶家に捧げているかのようだ。朱華が陶家に拾われて以来、十年に渡ってほぼつきっきりで躾と監督を務めているし、はっきり言って男女の何たるかを語られる筋合いなどない。朱華だって閨で何をすれば良いかは峯ではない者からちゃんと教えられているのだから。それにしても――
「声をかけたその日に伽だなんて。陶家の姫を安売りして良かったの? それも、四番目の皇子様に?」
朱華を――というか、陶家の雪莉姫を召した炎俊は、第四皇子だ。帝位を得られるかどうかは能力次第とはいえ、年が若いならその分競争には不利ではないのだろうか。朱華は炎俊皇子の容姿も為人も知らされていない。それは、陶家としても娘を売り込む対象と考えてはいなかった、ということではないだろうか。
顔も知らない男に抱かれるのは覚悟している。相手を選ぶことができないのも。でも、炎俊皇子に嫁すのは、少なくとも形の上では雪莉なのだ。自分自身よりもあの方のために、陶家の思惑を確かめておきたかった。
けれど、朱華の懸念は当然のように顧みられない。峯は、鏡の前にかけた朱華を見下ろし、軽く鼻を鳴らしたのだ。
「お前が気に懸けることではない」
予想できたはずの、いつもの反応だ。陶家にとって朱華は駒に過ぎず、意志があることさえ滅多に気付いていないようだから。でも、今宵に限ってはそれが妙に気に障った。飾り立てられ締め付けられて、ひどく動きづらい姿だけど――だからこそ、あえて姿勢を崩さず、鏡の中の峯の顔を睨め付ける。紅く色を乗せた唇で紡ぐのは、常の言葉遣いとは違う、丁寧ながらに有無を言わせぬ「姫」としての言葉だった。
「……わたくしをお前呼ばわりとは良い気なものね。それが主家の娘に対する態度なの?」
「お前……!」
見下しているであろう朱華からの使用人扱いに、峯は血相を変えて眉を吊り上げた。でも、それ以上は言わせない。そもそもこれまでがおかしかったのだ。「雪莉姫」が偽であると露見するのを恐れるのなら、徹底して姫として扱ってもらわなくては。
(最初からこうしておけば良かったのね。遅くとも、天遊林に来てからは)
ひと際豪奢な装いが、彼女の心に余裕を当てたのか――そう、朱華は不意に気付いたのだ。
「わたくしは陶家の雪莉。家の名誉と繁栄のためにこの天遊林にやって来た。お父様やお兄様は、わたくしを勝ち目のない戦いに送り出したのではないでしょうね?」
陶家の当主もその息子も、朱華はほとんど知らない。あちらの方は、朱華の出来上がりようを事細かに把握しているのだろうけど。だから、そんな相手を父や兄と呼ぶのはひどく違和感のすることだったけど。でも、慣れなければならないだろう。陶家の来歴やら逸話やらを滑らかに語ることができるように、朱華は教え込まれてきた。これもその延長でしかないのだろう。
「……申し訳ございませんでした」
鏡を通して、朱華は峯と睨み合い――そして勝った。朱華は、間もなく皇子の部屋に召されるのだ。問答をしている時間はないと、峯も承知しているのだ。形ばかりの謝罪の後、老女の萎びた唇が動く。
「……炎俊殿下は、年若くとも才気ある御方と聞こえております。更には、まだ妃のおひとりも娶ってはいらっしゃらない。すなわち、頼るべき外戚をまだお持ちではない。ゆえに、陶家との縁を疎かにはなさらないでしょう。旦那様は、そのようにお考えになりました」
「なるほど」
噛み締めた歯の間から絞り出すような峯の声は屈辱に硬く強張って、およそ主に対する態度には聞こえなかった。それでも、このように慇懃な姿勢を見せるのは大きな進歩だ。だから、朱華はとりあえず頷いてやることにした。そこへ、食えない老女はすかさず皮肉めいた囁きを付け加える。
「更に申し上げるならば――万が一、何かおかしいと思われたとしても、ことを荒立てられる恐れは少ないのでは、との計算もおありなのだろうと存じます」
「……そう」
峯の言葉に潜む棘に気付いて、朱華は軽く唇を歪めた。もちろん、化粧を崩さない程度にひっそりと、だけど。
(私のためとでも言いたげね。お前たちの保身のためでしょうに……!)
峯が言う万が一とは、朱華の正体を怪しまれた時、ということだろう。皇子にとって数多の妃のひとり、数多の後ろ盾のひとつであるよりは、最初にして最大の支援者であろう、それによって皇子に恩を売ろうという魂胆だ。偽の姫を妃に推そうなどという大罪を犯そうという割にせせこましいというか、あるいは、当然の計算なのだろうか。
「姫様は、お生まれに加えてよく学んでいらっしゃいますから。きっと、皇子のお気に召していただけると存じますが」
「ええ。ご期待に応えられるように励みましょう」
峯はあくまでも朱華に対して棘を含ませた物言いをしていた。彼女自身も何に励むのかはよく分かっている。生まれというのが陶家を指すのではないのはもちろん、学んだ、というのだって礼儀作法のことではないことも。
意地の悪い老女は、娼館生まれなら男を手玉に取るのは容易いだろうと仄めかしているのだ。
そして百花園の東西南北に、それぞれ独立した宮殿がある。帝位を狙う皇子たちの拠点となる宮、皇宮の表にも同じ名の宮があるのを、そのまま後宮に映したものだ。表の宮では、文武の官を集めて国の行く末を諮ることもあれば、名だたる貴族を招いて宴を催すこともある。
そして天遊林にある方の宮の役割はというと、皇族の血統を保つための、いわば後宮の「卵」というべきものだ。その宮の皇子がめでたく帝位を得れば、侍る妃たちも晴れて后妃の位を賜る。そうでなくても、帝位争いの過程で皇子が失脚することがなければ、相応の栄誉を得ることができるだろう。
天遊林の――百花園の女たちは、まずは皇子たちに「摘み取られる」ことを目的とする。容姿なり、各々の《力》を喧伝するなりして注目を集めようとする。そのために、朱華が招かれたような会が、百花園では毎日のようにいたるところで行われている。あまりに催しが多いから、まず出席者を集めるのにも趣向を凝らさなければいけないというし、目も舌も肥えた客を楽しませるために各家は相当の財を注ぐという。だから、天遊林に入ってすぐに皇子の声がかかった朱華は、幸運ではあったのだろう。
鏡の中の朱華は、かつてなく美しく飾り立てられていた。百花園の北に位置する星黎宮の一室、彼女を求めた炎俊皇子の住まいでのことだ。これまでの仮の部屋よりもさらに贅を凝らした部屋の中、調度にも負けまいとするかのように、これでもかとばかりに。
名に合わせたかのような――とは、皇子には決して言えないのだけど――鮮やかな朱の絹の衣装には、金糸で細やかな刺繍が施されている。結い上げた髪に挿す簪も、赤。薄く削った瑪瑙で花弁を誂えた牡丹を飾りにしている。眦にも朱を差して、くっきりとした顔立ちを際立たせる。華やかで、艶やかな――その姿は、あの峯でさえ感嘆の息を漏らすほどだ。
「飾り立てれば化けるもの……これなら、皇子にも満足していただけよう」
「どうせすぐに脱がせるんでしょうに。無駄なことをするものね」
「出自の割にものを知らぬこと。殿方は、女の衣装を剥いでいくのを楽しむものだ」
無知を嘲るように嗤われて、朱華はもちろん面白くない。けれど、唇を尖らせても眉を寄せても化粧を崩してしまうから、内心で罵るにとどめる。
(あんたこそ男を知ってるか疑問だわ……!)
峯は夫も子もなく、生涯の全てを陶家に捧げているかのようだ。朱華が陶家に拾われて以来、十年に渡ってほぼつきっきりで躾と監督を務めているし、はっきり言って男女の何たるかを語られる筋合いなどない。朱華だって閨で何をすれば良いかは峯ではない者からちゃんと教えられているのだから。それにしても――
「声をかけたその日に伽だなんて。陶家の姫を安売りして良かったの? それも、四番目の皇子様に?」
朱華を――というか、陶家の雪莉姫を召した炎俊は、第四皇子だ。帝位を得られるかどうかは能力次第とはいえ、年が若いならその分競争には不利ではないのだろうか。朱華は炎俊皇子の容姿も為人も知らされていない。それは、陶家としても娘を売り込む対象と考えてはいなかった、ということではないだろうか。
顔も知らない男に抱かれるのは覚悟している。相手を選ぶことができないのも。でも、炎俊皇子に嫁すのは、少なくとも形の上では雪莉なのだ。自分自身よりもあの方のために、陶家の思惑を確かめておきたかった。
けれど、朱華の懸念は当然のように顧みられない。峯は、鏡の前にかけた朱華を見下ろし、軽く鼻を鳴らしたのだ。
「お前が気に懸けることではない」
予想できたはずの、いつもの反応だ。陶家にとって朱華は駒に過ぎず、意志があることさえ滅多に気付いていないようだから。でも、今宵に限ってはそれが妙に気に障った。飾り立てられ締め付けられて、ひどく動きづらい姿だけど――だからこそ、あえて姿勢を崩さず、鏡の中の峯の顔を睨め付ける。紅く色を乗せた唇で紡ぐのは、常の言葉遣いとは違う、丁寧ながらに有無を言わせぬ「姫」としての言葉だった。
「……わたくしをお前呼ばわりとは良い気なものね。それが主家の娘に対する態度なの?」
「お前……!」
見下しているであろう朱華からの使用人扱いに、峯は血相を変えて眉を吊り上げた。でも、それ以上は言わせない。そもそもこれまでがおかしかったのだ。「雪莉姫」が偽であると露見するのを恐れるのなら、徹底して姫として扱ってもらわなくては。
(最初からこうしておけば良かったのね。遅くとも、天遊林に来てからは)
ひと際豪奢な装いが、彼女の心に余裕を当てたのか――そう、朱華は不意に気付いたのだ。
「わたくしは陶家の雪莉。家の名誉と繁栄のためにこの天遊林にやって来た。お父様やお兄様は、わたくしを勝ち目のない戦いに送り出したのではないでしょうね?」
陶家の当主もその息子も、朱華はほとんど知らない。あちらの方は、朱華の出来上がりようを事細かに把握しているのだろうけど。だから、そんな相手を父や兄と呼ぶのはひどく違和感のすることだったけど。でも、慣れなければならないだろう。陶家の来歴やら逸話やらを滑らかに語ることができるように、朱華は教え込まれてきた。これもその延長でしかないのだろう。
「……申し訳ございませんでした」
鏡を通して、朱華は峯と睨み合い――そして勝った。朱華は、間もなく皇子の部屋に召されるのだ。問答をしている時間はないと、峯も承知しているのだ。形ばかりの謝罪の後、老女の萎びた唇が動く。
「……炎俊殿下は、年若くとも才気ある御方と聞こえております。更には、まだ妃のおひとりも娶ってはいらっしゃらない。すなわち、頼るべき外戚をまだお持ちではない。ゆえに、陶家との縁を疎かにはなさらないでしょう。旦那様は、そのようにお考えになりました」
「なるほど」
噛み締めた歯の間から絞り出すような峯の声は屈辱に硬く強張って、およそ主に対する態度には聞こえなかった。それでも、このように慇懃な姿勢を見せるのは大きな進歩だ。だから、朱華はとりあえず頷いてやることにした。そこへ、食えない老女はすかさず皮肉めいた囁きを付け加える。
「更に申し上げるならば――万が一、何かおかしいと思われたとしても、ことを荒立てられる恐れは少ないのでは、との計算もおありなのだろうと存じます」
「……そう」
峯の言葉に潜む棘に気付いて、朱華は軽く唇を歪めた。もちろん、化粧を崩さない程度にひっそりと、だけど。
(私のためとでも言いたげね。お前たちの保身のためでしょうに……!)
峯が言う万が一とは、朱華の正体を怪しまれた時、ということだろう。皇子にとって数多の妃のひとり、数多の後ろ盾のひとつであるよりは、最初にして最大の支援者であろう、それによって皇子に恩を売ろうという魂胆だ。偽の姫を妃に推そうなどという大罪を犯そうという割にせせこましいというか、あるいは、当然の計算なのだろうか。
「姫様は、お生まれに加えてよく学んでいらっしゃいますから。きっと、皇子のお気に召していただけると存じますが」
「ええ。ご期待に応えられるように励みましょう」
峯はあくまでも朱華に対して棘を含ませた物言いをしていた。彼女自身も何に励むのかはよく分かっている。生まれというのが陶家を指すのではないのはもちろん、学んだ、というのだって礼儀作法のことではないことも。
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