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第二十一章 帰っても忙しい毎日。

第451話 新天地にお引越ししよう。⑤

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「ジンデリン族長、私もここに来る前に三つの返答を考えて来た。出来れば、その三つの返答の中から決めて欲しいものだな。まず一つ目は、リヒトに向かう領地の境目にある山地に広がる森林地帯に集落を移すかだ。二つ目は、危険だがツールの北面に広がる魔の森に集落を作るかだ。三つ目は、私のもう1つの領地であるイーストンにも人手が入ってない森林地帯があるから、その地の中で移住しても良いだろう。どの地に移ったとしても、生活が安定するまで2年間は無税とするけどね。勿論だが、各種ギルドを利用したときに発生する物品税は払って貰うがな。どうだ、気に入った所はあるかな?それとも見に行くかい?」

私の答えにまさか直ぐに返答が有るとは、ジンデリン側も思ってもいなかったようで、先程の勢いは無く黙って話しを聞いている。そして分からなかったのか、反射的に聞き返してきた。

「見に行くとは、何ですか?これから候補地を見て回るとでも、仰られるのですかな?」

言葉には出来ない事をと少し嘲りあざけりが混じっているようだった。

「当然だろ。これから永く住むのだからな。少しでも住みやすい場所が良いに越したところは無いだろう?これから時間は有るか?」
「お時間と言いますと?」

やはり分っていない様子なので、私が詳しく話すことにした。

「族長。私は魔法が得意でね。そのため、一度行ったことのある場所へは、〈テレポート〉という瞬間移動の魔法が出来るのさ。実際今日も魔法でここの町まで来たからね。だから、言葉の通り、候補地の土地へコレから見て回ろうと言っているのさ。どうだい、行って見る気はあるかい?」
「確かに、住む場所を見もしなくて決めるのは、部族のおさとして後々皆に色々と言われかねないからな。良かろう。良い機会だ。君に付き合おう。」

「判った。では、早速向かうとしょうか。私に付いてきてくれるか。」

椅子から立ち上がり、扉を出て家の表に出る。私の後ろには族長と許嫁達と同行者が続いた。

「では、そのまま暫く待っていてくれ。〈マップ表示・オン〉。〈サーチ・同行者及び許嫁〉表示青。〈マルチロック・表示青〉。では用意は整ったので、飛ぶぞ!〈テレポート〉!」

目の前の風景が一瞬歪んだと思ったら、木立の並ぶ中だった。懐かしい風景だ。ここは一年前に、アイリス達を助けるために来た場所だった。マップで場所を確認して、もう少し南へ行った辺りだと説明する。

「この南側一帯が候補地となるが、どうかな?山地な為か、多少住み辛いかもしれないがね。では、次の候補地に向うよ。私の周りに集まってくれ。では飛ぶよ。〈マルチロック・表示青〉。〈テレポート〉!」

再び〈テレポート〉すると、再び目の前の風景は変わり、目の前には切り株の跡が広がり久しぶりの魔の森が広がっていた。

「ここは先程とは異なり、ツールの北に広がる魔の森です。位置的に言うと、ここを南に進むとツールに着きます。この森の領境の西までが私の領地となります。広大な広さの中、好きに集落を作って貰っても構いません。定期的にツールの私の元へ、報告をしに来てくれればかまいません。それ以外は、先程の場所と同じです。」

条件を伝えると、魔の森と聞いて怯えるかと思ったが、意外と平気のようだった。
この場所に来て、先程以上に興味深いのか、あちらこちらを見たり、精霊と話しているのか、一人でブツブツと呟いているようだ。
粗方の興味は尽きたのか、こちらを向いて、話してくる。

「それで最後の一つは、何処だったかな?」
「ああ、早速向かうよ。集まってくれ。・・・行くぞ。〈マルチロック・表示青〉よし、〈テレポート〉!」

みたび目の前の光景が変わり、今度は離れた場所にひと際高い山が望める、丘の上に出現した。皆もココは何処とキョロキョロしている。

「到着だ。ここは大陸の南東にある、イーストンの中央にある山の麓だ。生憎と行ったことがないので、ここが〈テレポート〉で行ける最も近場だな。ここから西と東に二日程で街に辿り着く。何方も俺の支配地だから、安心しろ。それで目当ての土地だが、あの山の麓を囲むようにある、森林地帯だな。但し此方はじょうほうが全く無いから、安全性や水の様子など、土地の情報が無いからね。自分達で情報を集めて貰いたい。以上の3か所だ。どうだ?部族として移住に適した場所は有ったかい。」

族長は話しを聞きながらも、既に考え込んでいる様で、ブツブツ呟きながらも俯いている。

「ご領主様。一つお聞きしたいのですが、案内された全ての土地共に移住する為に住居を用意してもらえますかね?」
「それは、仮の住居という意味かな?」
「はい。そうです。我等にしても、好みがありますからな。雨露を凌げれば良いとは申しませんが、それなりの場所が欲しいのです。如何ですか?」
「そうだね。言いたい事はわかる。そうなると工事関係者の手配の為に、一番目と二番目の候補地では移住先の仮屋を建てるのを承知した。ここは地域情報を掴んで無いからね。約束は出来ないのさ。それで良ければ、約束をしようじゃないか。」
「分りました。では、お約束の仮屋が出来ましたら、ご連絡を下さい。早速に、移住に移りますので。」
「で、移住先は何処に決まったのかな?」
「魔の森でお願いします。」
「判った。移住先は魔の森の中とする。まずは移住先に仮屋を建てる準備をしよう。族長も部族の者達に話して、纏めておいてくれるか?」
「承知しました。」
「集落の治安等の細かい話しは、また改めて話しをさせて貰うけど、良いね?」
「了解です。」
「では、一旦町に戻るとしょうか。近くに集まってくれ。〈マルチロック・表示青〉。よし、いくぞ!〈テレポート〉!」

目の前の光景が変わり、出発した時と同じ様に族長の家の前に現れた。

「はい、到着と。では族長、約束道理に、部族の者達への説得を頼む。私は、これから工事業者に依頼してくるが、業者に伝えておく事はあるかい?」
「贅沢を言えば、部屋を広く取って貰いたいですね。後は、そこに住む者が、造り変えれば良い事です。」
「分かった。業者にはそう言っておく。では、今日はご苦労さま。家が出来たら早速しらせにくるよ。皆、私の周りに。〈サーチ・同行者・表示黄色〉。〈マルチロック・黄色〉・・・良し。ではサラバだ。〈テレポート〉!」

 こうして、領地の視察の後始末を着けて、我が家に戻るのだった。



「ご苦労様でした。同行者はここまでだ。皆、部屋に戻って良いよ。」

 まだまだ、許嫁達の里帰りもあり、とても当初の様な暇ではなくなってきた。
この後、工事業者詰まり、穴掘り屋に連絡して工事を依頼しないといけないね。どちらにしても、酒を大量に用意しないといけないな。
安く受けてくれると良いけど。
そんな思いをしながら、部屋から同行者達が出ていくのを見ながらいると、入れ替わりにサウルが部屋に入ってきた。



「お帰りなさいませ旦那様。」

お辞儀をしながら何時もの様に挨拶をする。

「ああ、早速だが穴掘り屋のガンテツ殿を呼んでくれるかい。空いている応接室に通してくれるかい。あと、ハザル長官も呼んでくれ。もし、ガンテツ殿が遅くなる様なら、ハザル長官を先に読んでくれても良い。宜しく頼む。」

こうして、日々視察の後始末にかかるのであった。












































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