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第二十一章 帰っても忙しい毎日。
第438話 聞いてみないと判らないお悩み相談⑥。
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「さて、一つ目の村は無事に視察を終える事が出来た訳だが、次だ次。次は、何処へ視察に行けば良いのかな?レナードはどう思う?」
バミール村への視察を終えて館に帰ったその日に、早速次の視察地の場所をレナードに相談するが、レナードの顔は又かよといった顔を隠す事なく面に浮かべていた。
「・・・次の視察地ですか?」
隠そうともせずに一瞬嫌な顔をしたレナードを見て、改めて言葉を続ける。
「そう嫌そうな顔をするな、レナード。別に我儘で言うわけでは無いさ。これは領内の視察の一環なんだ。視察をするのであれば、目ぼしい所は回っておきたいからね。この前の様な事が有っても困るしね。そこで話しは戻るが、何処が良さげな場所は無いかな?」
「はっ。失礼しました。それで視察と言う事ならば、今回のバミール村からは地理的に離れた村が良いでしょう。立地が違えば、話しの内容も違う内容の物が聞けるでしょうから。」
「成程。それは言えてるな。早速に明日にも役所で相談してみるよ。」
その日は、それだけで話はおわった。翌日、早速に、役所へ行ってハザルなりに相談しようと久々に役所へ訪れた。
相変わらず、人々で混雑している一階の受付前を抜けていき、二階以上へ上がる階段を更に登っていく。
目的の三階の扉の前でノックをして中に入る。
「邪魔するよ。」
「うん?あ、これは閣下。行き成りのお越し、如何なさいましたが?」
「ちょっとハザルに相談したい事があってね。今いいかな?」
「と仰っしゃいますと、何でしょうか?閣下、まずはお座り下さい。」
ハザルに奨められるままに対面式の椅子にすわると早速本題に入った。
「忙しい所に済まないな。急で悪いが、実は相談があってね。私が領内の村に視察を始めた事は知っているかな?」
「村への視察ですか?確か先日バミール村へ行かれて、昨日お戻りだったと聞いておりますが。」
「そうなんだ。それで早速次に行く視察の場所を考えているのだよ。それで恥ずかしい話しだが、自分の領地に何て名前の村が何処にあるのか、全く知らないのだ。そこで良い機会だし、知っていそうな人から教えて貰おうと思ってね。ハザル、悪いが教えてくれないかい?」
私の話しに、一瞬ポカンと黙り込んでしまったハザル。慌てて顔を上げて、私の顔をマジマジと見詰めた。
「閣下、もう一度お訊きしますが、質問の内容はパミール村以外の視察に行ってない村の名称と場所を、お知りになりたいとの事で間違いないですよね?」
「ああ、その通りだ。実際恥ずかしい話しだがな。あとわかる範囲でよいので、その村の概要も教えてくれると助かるな。」
「成程。判りました。そうしますと、四つの村になりますね。チョットお待ち下さい。」
椅子から立ち上がると、壁にある書類棚からファイルされた書類を取り出すと、その束を抱えながら椅子へ戻ってきた。座ると書類をテーブルの上に置き、いくつかの書類から目的の物を選び取ると、読み始めた。
「まず、パミール村の西隣りになりますが、ジュンナン村になります。ここは、ツールの食料供給地帯になりますね。主な産物は小麦、大麦です。あと、商工業も割と盛んですね。規模としましては、人口は八千~九千と言う所です。特にツールの拡大と共に、人口の増加の著しいむらですね。二、三年の内には、村から町へ昇格しそうな勢いですね。」
一息入れる為に、ひと息いれる。
「次は村の中では一番西にあるカイラム村です。ここは規模的に人口三千人程の村で、イミル河南岸を河沿いに遡った場所にあり、昔から川を使った海運が盛んです。また周囲を山に囲まれてもいて、地形的に農業よりも商工業向きな立地ですね。あと僅かですが、過去に周りの山から鉄が取れていた記録があります。ただしここ二十年近くは取れた記録は無いですが。」
再びひと息つくと、説明を続ける。
「三つ目の村はカイラム村の東隣りのケイセン村ですね。ここは村の中では一番小さい村ですね。人口は二千人弱ですね。産物は主に小麦を中心にした穀物と、村や周辺の村落向けの野菜や狩猟による鳥獣肉の供給をしている、慎ましい村ですね。」
「最後に南部や中央に繋がる道沿いにあって、位置はイミル河沿いの村々の丁度真ん中にある、バミール村から数えると三番目になる場所がザクセン村です。立地的に交通の便が良く、イミル河南岸の村々を統括している村となります。主な産業はイミル河の運輸や商工業等です。この村にはツール役所の出張所を設置してあります。イミル河南岸の政治の中心となっております。村長はダグマイヤーと言い、以前に直接会いましたが中々の人物です。前の代官の時でも初期は代官を助けて、領内の発展を手助けしていました。ただ、代官が闇ギルドと繋がる様に成ってからは、職を辞して村に戻った様です。村の中でも最大の規模で、人口は分かっている所では、一万三千人程となります。
以上が、イミル南岸にある町村部になります。」
一旦話しを纏めてから続けた。
「質問にお答えしますが、お聞きの通り次に訪問するのであれば、私としてはザクセンかジュンナン辺りは如何かと思いますが?」
ハザルは二箇所を勧めて来た。さて、何処にしょうかな。悩む所だ。
バミール村への視察を終えて館に帰ったその日に、早速次の視察地の場所をレナードに相談するが、レナードの顔は又かよといった顔を隠す事なく面に浮かべていた。
「・・・次の視察地ですか?」
隠そうともせずに一瞬嫌な顔をしたレナードを見て、改めて言葉を続ける。
「そう嫌そうな顔をするな、レナード。別に我儘で言うわけでは無いさ。これは領内の視察の一環なんだ。視察をするのであれば、目ぼしい所は回っておきたいからね。この前の様な事が有っても困るしね。そこで話しは戻るが、何処が良さげな場所は無いかな?」
「はっ。失礼しました。それで視察と言う事ならば、今回のバミール村からは地理的に離れた村が良いでしょう。立地が違えば、話しの内容も違う内容の物が聞けるでしょうから。」
「成程。それは言えてるな。早速に明日にも役所で相談してみるよ。」
その日は、それだけで話はおわった。翌日、早速に、役所へ行ってハザルなりに相談しようと久々に役所へ訪れた。
相変わらず、人々で混雑している一階の受付前を抜けていき、二階以上へ上がる階段を更に登っていく。
目的の三階の扉の前でノックをして中に入る。
「邪魔するよ。」
「うん?あ、これは閣下。行き成りのお越し、如何なさいましたが?」
「ちょっとハザルに相談したい事があってね。今いいかな?」
「と仰っしゃいますと、何でしょうか?閣下、まずはお座り下さい。」
ハザルに奨められるままに対面式の椅子にすわると早速本題に入った。
「忙しい所に済まないな。急で悪いが、実は相談があってね。私が領内の村に視察を始めた事は知っているかな?」
「村への視察ですか?確か先日バミール村へ行かれて、昨日お戻りだったと聞いておりますが。」
「そうなんだ。それで早速次に行く視察の場所を考えているのだよ。それで恥ずかしい話しだが、自分の領地に何て名前の村が何処にあるのか、全く知らないのだ。そこで良い機会だし、知っていそうな人から教えて貰おうと思ってね。ハザル、悪いが教えてくれないかい?」
私の話しに、一瞬ポカンと黙り込んでしまったハザル。慌てて顔を上げて、私の顔をマジマジと見詰めた。
「閣下、もう一度お訊きしますが、質問の内容はパミール村以外の視察に行ってない村の名称と場所を、お知りになりたいとの事で間違いないですよね?」
「ああ、その通りだ。実際恥ずかしい話しだがな。あとわかる範囲でよいので、その村の概要も教えてくれると助かるな。」
「成程。判りました。そうしますと、四つの村になりますね。チョットお待ち下さい。」
椅子から立ち上がると、壁にある書類棚からファイルされた書類を取り出すと、その束を抱えながら椅子へ戻ってきた。座ると書類をテーブルの上に置き、いくつかの書類から目的の物を選び取ると、読み始めた。
「まず、パミール村の西隣りになりますが、ジュンナン村になります。ここは、ツールの食料供給地帯になりますね。主な産物は小麦、大麦です。あと、商工業も割と盛んですね。規模としましては、人口は八千~九千と言う所です。特にツールの拡大と共に、人口の増加の著しいむらですね。二、三年の内には、村から町へ昇格しそうな勢いですね。」
一息入れる為に、ひと息いれる。
「次は村の中では一番西にあるカイラム村です。ここは規模的に人口三千人程の村で、イミル河南岸を河沿いに遡った場所にあり、昔から川を使った海運が盛んです。また周囲を山に囲まれてもいて、地形的に農業よりも商工業向きな立地ですね。あと僅かですが、過去に周りの山から鉄が取れていた記録があります。ただしここ二十年近くは取れた記録は無いですが。」
再びひと息つくと、説明を続ける。
「三つ目の村はカイラム村の東隣りのケイセン村ですね。ここは村の中では一番小さい村ですね。人口は二千人弱ですね。産物は主に小麦を中心にした穀物と、村や周辺の村落向けの野菜や狩猟による鳥獣肉の供給をしている、慎ましい村ですね。」
「最後に南部や中央に繋がる道沿いにあって、位置はイミル河沿いの村々の丁度真ん中にある、バミール村から数えると三番目になる場所がザクセン村です。立地的に交通の便が良く、イミル河南岸の村々を統括している村となります。主な産業はイミル河の運輸や商工業等です。この村にはツール役所の出張所を設置してあります。イミル河南岸の政治の中心となっております。村長はダグマイヤーと言い、以前に直接会いましたが中々の人物です。前の代官の時でも初期は代官を助けて、領内の発展を手助けしていました。ただ、代官が闇ギルドと繋がる様に成ってからは、職を辞して村に戻った様です。村の中でも最大の規模で、人口は分かっている所では、一万三千人程となります。
以上が、イミル南岸にある町村部になります。」
一旦話しを纏めてから続けた。
「質問にお答えしますが、お聞きの通り次に訪問するのであれば、私としてはザクセンかジュンナン辺りは如何かと思いますが?」
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