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第二十章 帝国の覇権の行方。

第415話 落日の帝都①。

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 結局、帝国軍の雨の中の夜襲を事前に見破り、迎撃の準備をしていた部隊でコレを打ち破り、夜襲に失敗した帝国軍に対して追撃を行い、士気の崩壊した敵軍に対して魔法でコッソリと止めを刺して我が方の大勝利となった。正直、思っていたよりも、脆かった感じがした。
そして夜が明けて、戦場がスッカリ明るくなる頃に、軍を纏めてそして帝都に向かって移動を始めた。
帝都から距離的に一日程で目的地の帝都に到達だ。


 帝都は言うまでもなく、帝国の首都であり、政治・経済特に消費の一大中心地だ。人口は二百万を越えて帝国の首都を名乗るに相応しい大都市だ。諜報部からの情報だ。王都と比べても人口で五十万人程多いらしい。この大陸一の大都市だ。だが現在はとても大陸一の活気は感じられなかった。
ゴーストタウンとまでは行かないが、人の気配が無くて戦争中とはいえ、静かな佇まいたたずまいをしめしていた。
目の前にその巨大な都市の出入り口を守る、都市と同じくらい巨大でぶ厚い城門が今目の前にある。

「問題は、城門の厚さだけではないな。兵力として皇帝親衛隊もあるからな。籠もられた中で、籠城戦をされると面倒臭い話しだな。さて、どうした物か。」

次第に目に映った城門を眺めつつ、呟きを零した。

「閣下、宜しいですか?今、公爵殿から帝都攻略について閣下と御相談したいと伝令が来ました。」
「分かった。今行くよ。」

こうしてレナードを連れて、公爵のいる本隊へ馬を走らせた。


「お呼びと聞き、オオガミただ今参上しました。」
「おお!オオガミ殿か、良くぞ参られたな。」
「公爵閣下。帝都の攻略についてご相談があるとか。」
「そうなのじゃ。何とか此処まで勝ち残ってこれたからな。残るは帝都に残る戦力だけだが、これが難しい問題なんだよ。力押しでは親衛隊の守る帝都は突破は難しいだろう。こちらの損害も馬鹿には出来ないだろうしな。そこで辺境伯、なにか良き考えはあるか?」

聞かれるとは予想していたが、自分で作戦を立てるとか思わないのかな?そんな事を思いつつ自分の考えを話した。

「分かっていることは、帝国には現在皇帝親衛隊2万しか兵力は無いことと、帝都を捨てて何処かへ移動するような事は無いと言うです。問題は城門を守るのが皇帝親衛隊であり、こちらの歩兵ではマトモに勝てない相手だと言うことです。ただし、こちらの有利な点も有ります。皇帝親衛隊は元々は騎馬部隊であり、城門をまもる守備兵としては本来は専門外ということです。しかも、負け続けで士気も低い。相手の不意をつけば、有利に戦える筈です。私の魔法で城門を壊しますので、相手が怯んでいる内に、歩兵部隊と槍部隊は突入して、まず城門を確保してから部隊を動かし宮殿に向けて進撃して下さい。まあ、多少は大きな音がしますけどね。気にせずに進軍して下さい。そしてここからは、公爵閣下貴方自身が軍の指揮を取って、必ず皇帝を捕獲してくださいね。これは新しい皇帝としての力量を民に示すために必要なことですから。私は、この間にするべき事がありますから、閣下にお手伝いはできません。まぁ、大将軍を見かけたら殺しますので、みかけたら、直ぐに私や部隊に連絡をして下さい。宜しいですね。
ただこの機会に宰相だけは殺して置かないといけないので、無いとは思いますが、見かけたら捕まえる事なく私に連絡してください。これは、特に最優先事項でお願いしますす。宜しいですね?」

 大将軍についてはある程度納得していた公爵だが、宰相については不審な顔をして、話しを聞いていた。そして当然の質問をしてきた。

「うん、辺境伯?質問だが、何故宰相をここで殺さないといけないのだ?彼は宰相とはいえ、ただの高級官吏だぞ。何故最優先なのだ?大将軍とかならば、まだ話は分かるが。何故だ?」

当たり前の質問を、公爵がしてきた。オオガミも少し躊躇したが、割り切って話しをする事にした。

「コレから話す事は、他言無用ですよ。誰かに話したら、命は無いものと思ってください。そう言う魔法を何処からでも貴方に、掛けることが私には可能ですから。この大陸に生きている以上、私からは逃げられないと思って下さい。いいですね?私が公爵の誘いに応じたのは、王国の事情だけでは無かったのですよ。実は帝国宰相を殺す為です。」
「なんと!?また何故彼を?」

オオガミの発言に驚きを見せて、理由を聞いてくる公爵に苦笑いして言葉を返すオオガミ。

「確かに、知らない人からすると、彼は皇帝で無ければ、大将軍でもない。ただの高級官僚の宰相です。しかしもう彼は、人ではないのです。」
「え?!人では無いとは?」

突然のオオガミの言い草に、何を言われているのか解らずに、思ったままに問いかけた。

「言葉の通りですよ公爵。彼は人ではないのです。彼こそが此処まで帝国が疲弊した元凶なのですよ。」

私の言葉に返す言葉の無く黙り込んだ公爵は、ただ黙ってオオガミの言葉を聞いているのだった。



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