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第十九章 ケルン掌握。
第387話 平和への一歩。④
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夜が明け、山の朝は鳥の鳴き声で思ったより騒がしかった。
早速マントから抜け出ると、澄みわたった空気を肺一杯に吸い込むみ、そのまま長く吐き出した。
森や山々の空気の中に、身体中を活性化させる何かがあるようだった。
背伸びしてから、中央の焚き火に向かって歩きだすと、あちらこちらからのテントから団員がまだ眠そうに目を擦りながらや欠伸を大きくしながら出てきている。
「お早うございまふ、閣下~~。」
「ああ、おはようボニー。朝は苦手かな?(笑)」
「踊り子で早朝が得意な子はいませんよ。ファ~フっと。」
「そろそろ時間だから、目を覚ましておけよ。」
「ファ~い、わかりました~。」
ボニーと話している内に。他の騎士達も起き出したようで、皆ぞろぞろとテントから出てきた。
テントを仕舞い夜営の片付けをして馬に水と飼い葉を与えて出かける準備を済ませる。
朝食は、即席豆フープと 黒パンで、軽く済ませる。
いざ出発と言うときに、騎士団の皆に訓示を垂れる。
「皆、聞いてくれ。いよいよ今日から帝国領内に入る。形としては味方だが、分かっているとは思うが、あくまで潜在的には敵であると思え。何か相手が無理を言ってきたり、明らかに不利な用件は断ってよし。我々はツール騎士団だ。私を通さずに下される命令は一切承諾する必要はない。彼らとは士気系統がことなることを肝に銘じてくれ。以上だ。全体騎乗。出発!」
「出発~つ!」
レナードの復唱により、次々と馬に乗り、いよいよ出発した一団である。
私も〈マップ〉を展開しながら昨日調べた砦を〈マップ〉の中央に映して様子に気を付ける。
「〈サーチ・ケルン駐留軍の兵士〉。」
画面が更新されると五人が赤い光点として現れる。
「ちっ、五人も居るのか。」
「閣下、如何されましたか?」
後ろに並んでいたレナードが、私の独り言を聞き付けて寄って来た。
「いやね、砦に五人程駐留軍から来ているらしくてね、面倒事になるならここで始末してしまおうかと思ってね。どう思う?」
「閣下、流石に問答無用で殺すのはどうかと思いますが・・・?。」
「でも、騒がれると後々面倒な事になりかねはいしね。うん、よし決めた。今の内に片付けてしまおう。〈マルチロック〉〈パラライズ〉〈マルチロック〉〈ワームホール〉。」
呪文と共に、〈マップ〉の赤い光点が五つ消えた。
今、この瞬間に五つの命が消えたのだ。その意味を分かるのは、〈マップ〉を知るオオガミだけである。
そのオオガミも他人事として、ある意味平気である様だ。
門に着くと早速以前に渡された検問用の書類を懐から取り出して担当に見せる。そして、騒がしい砦内部の様子に惚けてどうしたのかと、わざと聞く。
「何かあったのですか?騒がしいようですが?皆走り回っているようですが?」
「いや、気にすることはない。お前達とは関係ないからな。よし確認した。通って良いぞ。」
「はあ。有り難うございます。よし、通るぞ。」
「よし、通過するぞ。騎乗!」
「騎乗!」
こうして、多少のトラブルは起きかけたが、無事に関所は過する事ができた。
ここまでは全て予定の通りで、後はケルンの首都ケーナに向かうだけであった。
一方此方はクロームガルド公爵側の陣営。三の月も終わりに差し掛かり、未だにツール伯爵からの連絡が来ずに慌て始める公爵である。
「ハリスよ。ツール伯爵からの連絡はまだ無いのか?」
「はい、未だにございません。百人以上の大所帯での移動ですから、領内に入ったら、直ぐに知らせが入ってくるはずです。」
「最近は、駐留軍のシュッミット大佐が私を勘ぐっているのか、私の動きを調べているようだ。彼奴は言うまでもなく皇帝派だ。私の動きは喜んで調べ揚げるだろう。彼奴の動きに注意をしろ。良いな?」
「はっ、承知しました。悟られずに調べてみます。」
「頼むぞ。」
クロームガルド公爵は慎重に周囲の状況を調べ上げて味方の到着を心待ちにしていた。
再びツール一行の様子だが、現在ケーナに到着をして、宿に分宿している。小隊毎に宿に別れてとまると、小隊毎に別れて宿を取った。
「それじゃあ、これから公爵に挨拶に行くか。レナード後をライガに任せて付いてきてくれるか。」
「承知いたしました。お供いたします。」
正面から、公爵の屋敷に訪問すると、衛兵に用件を告げて、身分証として冒険者ギルド証を見せる。
流石にギルドランクAなので驚かれたがそれ以外は何の疑いもなく面会を許された。
案内された執務室は質素な造りだった。
「お招きいただき有り難うございます。『真理の剣』のリーダーのオオガミです。此方は副隊長のレナードです。」
「副隊長のレナードです。よろしくお願いします。」
「ご丁寧に痛み入る。私がクロームガルド公爵だ。この屋敷には妻と娘がおります。依頼はお聞きでしょうか?」
「はい。貴方とご家族の無事を計り、帝国の皇帝位につけることで間違いないですね?」
「はい。その通りでお願いする。」
「あと、そのあかつきにはお約束頂いた事に間違いはありませんね?」
「約束の通りでまちがいないです。報酬として、領土の割譲を約束いたす。」
「判りました。では依頼をお受けします。」
「それで何時から仕事に手を着けるのですかな?」
「まず、駐留軍を片付けます。今晩の内に。」
「こ、今晩の内にですと?」
「ええ、時間をかけるとそれだけ秘密が漏れでる可能性が高まります。この手の事は手早く片付けるに限りますからね。」
「手段はお任せする。いちいち私の許可は取らなくても大丈夫だ。全てお任せする。白黒着いたら、纏めて報告して下さい。」
「わかりました。こちらで判断して御報告致します。」
「よろしくお願いする。」
こうして、やっと現地任務に着いた報告をして、着任した私達だった。
取り敢えず、公爵本人への報告が済んでホッとした私だった。
早速マントから抜け出ると、澄みわたった空気を肺一杯に吸い込むみ、そのまま長く吐き出した。
森や山々の空気の中に、身体中を活性化させる何かがあるようだった。
背伸びしてから、中央の焚き火に向かって歩きだすと、あちらこちらからのテントから団員がまだ眠そうに目を擦りながらや欠伸を大きくしながら出てきている。
「お早うございまふ、閣下~~。」
「ああ、おはようボニー。朝は苦手かな?(笑)」
「踊り子で早朝が得意な子はいませんよ。ファ~フっと。」
「そろそろ時間だから、目を覚ましておけよ。」
「ファ~い、わかりました~。」
ボニーと話している内に。他の騎士達も起き出したようで、皆ぞろぞろとテントから出てきた。
テントを仕舞い夜営の片付けをして馬に水と飼い葉を与えて出かける準備を済ませる。
朝食は、即席豆フープと 黒パンで、軽く済ませる。
いざ出発と言うときに、騎士団の皆に訓示を垂れる。
「皆、聞いてくれ。いよいよ今日から帝国領内に入る。形としては味方だが、分かっているとは思うが、あくまで潜在的には敵であると思え。何か相手が無理を言ってきたり、明らかに不利な用件は断ってよし。我々はツール騎士団だ。私を通さずに下される命令は一切承諾する必要はない。彼らとは士気系統がことなることを肝に銘じてくれ。以上だ。全体騎乗。出発!」
「出発~つ!」
レナードの復唱により、次々と馬に乗り、いよいよ出発した一団である。
私も〈マップ〉を展開しながら昨日調べた砦を〈マップ〉の中央に映して様子に気を付ける。
「〈サーチ・ケルン駐留軍の兵士〉。」
画面が更新されると五人が赤い光点として現れる。
「ちっ、五人も居るのか。」
「閣下、如何されましたか?」
後ろに並んでいたレナードが、私の独り言を聞き付けて寄って来た。
「いやね、砦に五人程駐留軍から来ているらしくてね、面倒事になるならここで始末してしまおうかと思ってね。どう思う?」
「閣下、流石に問答無用で殺すのはどうかと思いますが・・・?。」
「でも、騒がれると後々面倒な事になりかねはいしね。うん、よし決めた。今の内に片付けてしまおう。〈マルチロック〉〈パラライズ〉〈マルチロック〉〈ワームホール〉。」
呪文と共に、〈マップ〉の赤い光点が五つ消えた。
今、この瞬間に五つの命が消えたのだ。その意味を分かるのは、〈マップ〉を知るオオガミだけである。
そのオオガミも他人事として、ある意味平気である様だ。
門に着くと早速以前に渡された検問用の書類を懐から取り出して担当に見せる。そして、騒がしい砦内部の様子に惚けてどうしたのかと、わざと聞く。
「何かあったのですか?騒がしいようですが?皆走り回っているようですが?」
「いや、気にすることはない。お前達とは関係ないからな。よし確認した。通って良いぞ。」
「はあ。有り難うございます。よし、通るぞ。」
「よし、通過するぞ。騎乗!」
「騎乗!」
こうして、多少のトラブルは起きかけたが、無事に関所は過する事ができた。
ここまでは全て予定の通りで、後はケルンの首都ケーナに向かうだけであった。
一方此方はクロームガルド公爵側の陣営。三の月も終わりに差し掛かり、未だにツール伯爵からの連絡が来ずに慌て始める公爵である。
「ハリスよ。ツール伯爵からの連絡はまだ無いのか?」
「はい、未だにございません。百人以上の大所帯での移動ですから、領内に入ったら、直ぐに知らせが入ってくるはずです。」
「最近は、駐留軍のシュッミット大佐が私を勘ぐっているのか、私の動きを調べているようだ。彼奴は言うまでもなく皇帝派だ。私の動きは喜んで調べ揚げるだろう。彼奴の動きに注意をしろ。良いな?」
「はっ、承知しました。悟られずに調べてみます。」
「頼むぞ。」
クロームガルド公爵は慎重に周囲の状況を調べ上げて味方の到着を心待ちにしていた。
再びツール一行の様子だが、現在ケーナに到着をして、宿に分宿している。小隊毎に宿に別れてとまると、小隊毎に別れて宿を取った。
「それじゃあ、これから公爵に挨拶に行くか。レナード後をライガに任せて付いてきてくれるか。」
「承知いたしました。お供いたします。」
正面から、公爵の屋敷に訪問すると、衛兵に用件を告げて、身分証として冒険者ギルド証を見せる。
流石にギルドランクAなので驚かれたがそれ以外は何の疑いもなく面会を許された。
案内された執務室は質素な造りだった。
「お招きいただき有り難うございます。『真理の剣』のリーダーのオオガミです。此方は副隊長のレナードです。」
「副隊長のレナードです。よろしくお願いします。」
「ご丁寧に痛み入る。私がクロームガルド公爵だ。この屋敷には妻と娘がおります。依頼はお聞きでしょうか?」
「はい。貴方とご家族の無事を計り、帝国の皇帝位につけることで間違いないですね?」
「はい。その通りでお願いする。」
「あと、そのあかつきにはお約束頂いた事に間違いはありませんね?」
「約束の通りでまちがいないです。報酬として、領土の割譲を約束いたす。」
「判りました。では依頼をお受けします。」
「それで何時から仕事に手を着けるのですかな?」
「まず、駐留軍を片付けます。今晩の内に。」
「こ、今晩の内にですと?」
「ええ、時間をかけるとそれだけ秘密が漏れでる可能性が高まります。この手の事は手早く片付けるに限りますからね。」
「手段はお任せする。いちいち私の許可は取らなくても大丈夫だ。全てお任せする。白黒着いたら、纏めて報告して下さい。」
「わかりました。こちらで判断して御報告致します。」
「よろしくお願いする。」
こうして、やっと現地任務に着いた報告をして、着任した私達だった。
取り敢えず、公爵本人への報告が済んでホッとした私だった。
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