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第十八章 帝国大乱。

第377話 自省の気持ち忘れるべからず。

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    模擬試合を終えて、再び自己鍛練に戻った私だが、試合の中で感じた事を思い出していた。

「私も大層な事を言っていたが、反省しないとね。トゥースの時に、彼を見下していなかったか?何も殺気を当てて気絶をさせなくても試合をして、アドバイスをする事でも良かったのではないか?今そう考えると、どこかで彼の言い方に反発していたのではなのいか?」

    ふと、そんなことを考え口にする。ここの所勝ち戦が続き、戦いを舐めていたのではないか?そう思える自分がいた。

「いかんな。慣れてきて、この世界を少し舐め始めているのかもしれないな。これは爺ちゃんが言ってた、油断に繋がるな。自省自省と。」

    口に出して、今一度自戒する。
戦いに於いて、敵よりも怖いのは慢心する自分の心だと、爺ちゃんから口を酸っぱく何度も注意された記憶がある。反省して、トゥースには日を改めて、模擬試合を行い、きちんと評価をした方が良いだりう。そう、改めて思った。

    こうし て、久しぶりに体を動かした事で気持ちの良い疲労感を感じつつ、修練を終えた。

「旦那様、お食事の用意が整いました。お越し下さい。」

    修練の後、執務室でざっと書類仕事を済ましていると、サウルに時間だと言われキリの良いところで書類仕事を止めて、食堂に向かった。

    私が最後らしく、皆揃っていた。席に着くと早速給仕を始めてくれと告げた。

「ショウ様、今日はずっとお屋敷にいらしたのですね。」
「ああ。暫くぶりに体を動かしていなかったからね。カンを取り戻していたのさ。いやー、鈍ってた鈍ってた。(笑)」
「まあ、それでしたら、私もご一緒しましたのに。」

ソニアに続いてセイラも話に入ってきた。

「まあ、途中で新人の騎士達と模擬試合をしてたからね。それに、基礎訓練しかしていないから見られるのも自分としては恥ずかしいしね。まぉ、出発までは、毎日やらないとね。鈍っていたから。」
「それなら、私もご一緒しますわ。」
「いや。明日からは大神神刀流の技の練習も入れていくから、済まないが遠慮してくれるかい?」
「まぁ、残念ですわ。分かりましたわ。」

とても残念そうにセイラは言う。

「済まないな。神刀流の訓練は特に他人には見られたくないからね。頼むよ。」

夕食の準備が出来たので、早速頂く事にする。

「頂きます(にゃ)。」 

海流の為か、冬とはいえ他よりも幾分暖かいツールでもまだまだ日が落ちると冷えてくる時期。出てきたメニューは体を温める物が出ている。
スープは少し辛い味付けがされていた。

「うん、旨いね。体が暖まるよ。」

    続いてメインに手を着ける。皿の上には白身魚のクリーム煮があった。
白身魚は海の物で、名前は知らないが、味は鱸(スズキ)に近く淡白でアッサリとした味わいだ。それをホワイトクリームをかけて、チーズをまぶした上にオーブンで焼いたものだ。
元々臭みは少ない魚なので、ホワイトソースが良い味付けになっている。

「ますます腕が上がっているね。良い味させているよ。」

思わず口に出していた。他のメンバーも黙々と無駄口をせずに食べている。パンでクリームソースを残さず綺麗に拭って、それを食べると腹が一杯になった。
食後の紅茶を淹れて貰い、それを楽しんでいるとサウルとシーラ声をかけてきた。

「旦那様、後で御報告したいことがごさいます。」
「ショウ様。私もお願いしたい事が有ります。お話を聞いて欲しいのですが?」
「分かった。後で執務室で聞こう。」

そう言うと、皆も食事が終わり、各自お茶を楽しんでいた。一通り落ち着いたのを確認したのを確認したら、終わりの挨拶をする。 

「頂きました(にゃ)。」


食事後に執務室に移動して二人を待っていると、ノックがして、続いて部屋に入ってくる二人がいた。

私は立ち上がると、移動して二人をソファーに座るように促した。
二人の対面に位置をどり、ソファーに座る。
二人も私の前に座ると、早速話を始めた。

「旦那様。私からのお話ですが、実は辺境伯家の運営費が些か心許なくなっております。済みませんか、ご融通頂けないでしょうか?また、合わせて騎士団の遠征費も家の予算から今回融通致しましたので、頂きたいので、御願いします。」

そう言って頭を下げた。

「頭を上げてくれ。必要ならそう言ってくれと前に言ったのは私だからね。頭を下げる必要はないよ。で、幾ら足りないのだ?」
「金貨で二百枚程御願いします。」
「分かったよ。えーと、これで良いかな?」

インベントリィから金貨二百枚と白金貨三枚を取り出してサウルの前に置いた。

「有難う御座います。それでは大事に使わせて頂きます。私からは以上となります。」

    そう言うと、目の前に出されたお金を大事そうに懐にしまうのだった。
続いてシーラからの話が始まった。

「ショウ様。司祭様からの言伝てことづてです。『再び外壁沿いにテント村を作る者達が増えています。彼らをお救い頂けないでしょうか。どうやら帝国からの難民達かまたは他領から逃げてきた獣人族達です。どうか彼らをお救い下さい。』とのことです。私からも御願いします。」

そう言いながら、深々と頭を下げる。 
  
「あれ?前にやってから、そう日が経っていないと思ったんだけど。もう、集団が出来ているのかい?」
「はい。ここ一~二ヶ月で主に帝国からの難民が噂を聞いたのか、ココ目指して流れてくるようだと司祭様は言われていました。」
「うーん、人口が増えるのは良い事だが、急な増加は色々と問題を引き起こすからね、分かったよ。近い内に訪問するとしよう。シーラも手伝ってくれるか?」
「勿論です。  その時にはお手伝い致します。」

順調な様に見えても、色々と問題が起きる。

(明日は、役所に午前中向かって、手配をしないとな。その帰りには、教会に寄ろう。)

    サウスラーニへ主発まで七日。普段サボっていたのが、ココに来て何かと忙しい毎日のオオガミであった。



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