414 / 572
第十六章 サウスラーニは面倒臭い。
第332話 世界樹再生!①
しおりを挟む
何だかんだで、一の月も半分の十五日となった。
王国での予定は一通り済ませ、残るは帰りの準備とイーストンへの顔見せだ。
今後の予定では。月末にツールに着いて、同じ頃なイーストンではオウミかミカワへ出兵することになる。
また同じ頃に、サウスラーニに於いて独立運動を起こす。
出来れば二の月の内にセイトの他に、もう一つ都市を攻略したいとは思っている。しかし問題もある。奪還自体するのは楽だが、その後の統治がヒラドと比べると困難になると分かったからだ。
サウスラーニの国の成り立ちからの理由で致し方無いとはいえ、賄賂政治が横行しており、商人を始め役人達までモラルが低すぎるのだ。今では公的独立機関である冒険者ギルドや商人ギルドすら、不正等のモラル低下が平気に堂々と横行している。綱紀粛正を長いことやり、意識改革をさせないと普通にはならないと思える。
変な話だが、都市を掌握する前に、掌握した後を心配すると言う、皮肉な状況にある。ウェザリア王宮には、いざと言うときは行政官を送ってもらう様にお願いしてある。まぁ、王宮側にも、仕事の無い貴族の次男三男の就職先を斡旋できるという利もあるわけだ。
困難な問題を抱えながら、取り敢えず目の前の出来ることから片付ける事にした。
「アイリスとアルメイダは今日の予定何かあるかい?」
「わたし?特には無いわよ。」
「アルも暇にゃ。兄ちゃん用事かにゃ?」
「予定無いなら、イーストンへ顔見せに行くからついておいで。ついでに、スメラギ家にも顔出しするから、一緒に行こうか?」
「スメラギ家ってイーストンに住むハイエルフだったわね。分かったわわ。一緒に行くわ。」
「アルは暇だから兄ちゃんに着いて行くにゃ。美味しい物あると良いにゃ。」
「よし、決まりだ。暖かい格好に着替えたら、私の執務室に集合だ。いいね?」
「分かったわ。」
「わかったにゃ。」
こうして、お出かけの用意を整えると、二人が来るのを待つ。
「兄ちゃん、用意できたにゃ。」
「オオガミさん、用意出来たわよ。」
「では、イーストンへ向かうぞ。〈マルチロック〉『テレポート』。」
視界がグニャッとなった次には、矢鱈と豪華な家具の置かれた部屋の中に転移する。インベントリィから何時もの白い仮面を取り出して顔に被ると部屋を出る。
私の顔を見てアルが、『あー、仮面司祭だにゃー。』と言って喜んでいる。
「さあ、着いておいで。」
二人を引き連れて、部屋を出ていき執権のオカベの執務室に移動する。ノックの後部屋に入ると、椅子に座り書類から顔を上げて、驚いた顔のオカベがいた。
「殿ですか?その子らは?」
「オカベ久しぶりだな。この子達は、私の妹分だ。この後にスメラギ家にも顔見せしに行くのでな、連れてきた。」
「おや、・・・まさか?そんな筈は・・・。いや、その耳の形は確かハイエルフ様!!」
オカベは椅子から立ち上がる急いで床に片足を着いて畏まる。
「殿、お訊きしたいのですが、そちらの変わった耳のエルフ少女はハイエルフ様ですね?」
「良く知っていたな。まぁ、スメラギ家もハイエルフの一族だから伝承でも残っていたか?」
「はい、遥か昔から、我らイーストンの地に住まうものは長くハイエルフのスメラギ家の元で等しく生きていたと、伝わっております。生活習慣や寿命の違いで今では別れて住んでおりますが、我らイーストンの民にとって、ハイエルフ様への崇拝は変わりません。だからこそ、殿のお持ちのスメラギ家の書状は効力を持つのです。」
「そう言う訳か。成る程ね。納得したよ。良かったなアイリス。ここなら大人気だ。(笑)」
「知りません。何処であろうと私は私。貴方の側が私の居場所です。」
「アルも同じにゃ。兄ちゃんの側が気持ちいいにゃ。」
「嬉しいが、そろそろ一人立ちして欲しいがね。まぁ良い。話は変わるが、ヒラドの様子に変わりはないかな?」
「その事ですが、殿にお伝えしないといけない事がありまして。」
「ほう、何かな?」
「実は、先月と今月になりまして、税収が予想以上に上がりまして、今月の必要経費を差し引いても、多大な余剰がありまして、殿にお返ししようと、政治部一同で決めました。少しお待ち下さい。」
壁際に置かれた金庫を開けると、少し大降りな袋を差し出してきた。
一旦受け取りインベントリィに納めると、白金貨四百枚だと分かった。
二百枚を袋に入れ直してから、インベントリィから取り出して、オカベに渡し返す。
「殿、これは?」
「ああ、皆良くやってくれているからね。白金貨二百枚だが、予算に使ってくれ。今後も余剰金が出たときは、半分だけ私に納めてくれ。残り半分は、繰越金として、予算に計上してくれ。良いかな?」
「有難うございます。田沼に伝えておきます。」
「他には何かないかな?」
「宜しければ近々報告会を開いて、細かいところの状況報告をしたいのですが。」
「分かった。予定を調整しておくよ。まあ。元気そうで良かったよ。引き続き留守を頼む。」
「承知しております。殿もご武運を。」
「有難う。ではスメラギの里に転移するぞ。〈テレポート〉。」
再び視界が歪曲したと思うと森の中に立っていた。
「ショウさん、ここは?」
「ああ、スメラギ家が住んでいる里だよ。」
「あ、兄ちゃん。誰か近づいて来るにゃ。」
そう、アルが指差した方向から武装したエルフ達が近寄ってくる。
「止まれ。何者だ?この地はスメラギ家が治める地であるぞ。用が無いなら即刻出ていけ。」
「用ならある。ミコト様にお会いしたい。前回来たときに、再訪の約束をした。私はツール伯爵のオオガミだ。ミコト様に問い合わせてくれ。」
「わかった。暫しまて。・・・・お待たせ致しました。確認が取れましたのでご案内致します。・・・ええ?ハイエルフ様!?何故ご一緒に?」
「気にするな。ミコト様は承知の事だ。早く案内を頼む。」
「そ、そうか。取りあえず、案内をする。着いてきてくれ。」
こうして、再びミコト様との対面をすることとなる。
王国での予定は一通り済ませ、残るは帰りの準備とイーストンへの顔見せだ。
今後の予定では。月末にツールに着いて、同じ頃なイーストンではオウミかミカワへ出兵することになる。
また同じ頃に、サウスラーニに於いて独立運動を起こす。
出来れば二の月の内にセイトの他に、もう一つ都市を攻略したいとは思っている。しかし問題もある。奪還自体するのは楽だが、その後の統治がヒラドと比べると困難になると分かったからだ。
サウスラーニの国の成り立ちからの理由で致し方無いとはいえ、賄賂政治が横行しており、商人を始め役人達までモラルが低すぎるのだ。今では公的独立機関である冒険者ギルドや商人ギルドすら、不正等のモラル低下が平気に堂々と横行している。綱紀粛正を長いことやり、意識改革をさせないと普通にはならないと思える。
変な話だが、都市を掌握する前に、掌握した後を心配すると言う、皮肉な状況にある。ウェザリア王宮には、いざと言うときは行政官を送ってもらう様にお願いしてある。まぁ、王宮側にも、仕事の無い貴族の次男三男の就職先を斡旋できるという利もあるわけだ。
困難な問題を抱えながら、取り敢えず目の前の出来ることから片付ける事にした。
「アイリスとアルメイダは今日の予定何かあるかい?」
「わたし?特には無いわよ。」
「アルも暇にゃ。兄ちゃん用事かにゃ?」
「予定無いなら、イーストンへ顔見せに行くからついておいで。ついでに、スメラギ家にも顔出しするから、一緒に行こうか?」
「スメラギ家ってイーストンに住むハイエルフだったわね。分かったわわ。一緒に行くわ。」
「アルは暇だから兄ちゃんに着いて行くにゃ。美味しい物あると良いにゃ。」
「よし、決まりだ。暖かい格好に着替えたら、私の執務室に集合だ。いいね?」
「分かったわ。」
「わかったにゃ。」
こうして、お出かけの用意を整えると、二人が来るのを待つ。
「兄ちゃん、用意できたにゃ。」
「オオガミさん、用意出来たわよ。」
「では、イーストンへ向かうぞ。〈マルチロック〉『テレポート』。」
視界がグニャッとなった次には、矢鱈と豪華な家具の置かれた部屋の中に転移する。インベントリィから何時もの白い仮面を取り出して顔に被ると部屋を出る。
私の顔を見てアルが、『あー、仮面司祭だにゃー。』と言って喜んでいる。
「さあ、着いておいで。」
二人を引き連れて、部屋を出ていき執権のオカベの執務室に移動する。ノックの後部屋に入ると、椅子に座り書類から顔を上げて、驚いた顔のオカベがいた。
「殿ですか?その子らは?」
「オカベ久しぶりだな。この子達は、私の妹分だ。この後にスメラギ家にも顔見せしに行くのでな、連れてきた。」
「おや、・・・まさか?そんな筈は・・・。いや、その耳の形は確かハイエルフ様!!」
オカベは椅子から立ち上がる急いで床に片足を着いて畏まる。
「殿、お訊きしたいのですが、そちらの変わった耳のエルフ少女はハイエルフ様ですね?」
「良く知っていたな。まぁ、スメラギ家もハイエルフの一族だから伝承でも残っていたか?」
「はい、遥か昔から、我らイーストンの地に住まうものは長くハイエルフのスメラギ家の元で等しく生きていたと、伝わっております。生活習慣や寿命の違いで今では別れて住んでおりますが、我らイーストンの民にとって、ハイエルフ様への崇拝は変わりません。だからこそ、殿のお持ちのスメラギ家の書状は効力を持つのです。」
「そう言う訳か。成る程ね。納得したよ。良かったなアイリス。ここなら大人気だ。(笑)」
「知りません。何処であろうと私は私。貴方の側が私の居場所です。」
「アルも同じにゃ。兄ちゃんの側が気持ちいいにゃ。」
「嬉しいが、そろそろ一人立ちして欲しいがね。まぁ良い。話は変わるが、ヒラドの様子に変わりはないかな?」
「その事ですが、殿にお伝えしないといけない事がありまして。」
「ほう、何かな?」
「実は、先月と今月になりまして、税収が予想以上に上がりまして、今月の必要経費を差し引いても、多大な余剰がありまして、殿にお返ししようと、政治部一同で決めました。少しお待ち下さい。」
壁際に置かれた金庫を開けると、少し大降りな袋を差し出してきた。
一旦受け取りインベントリィに納めると、白金貨四百枚だと分かった。
二百枚を袋に入れ直してから、インベントリィから取り出して、オカベに渡し返す。
「殿、これは?」
「ああ、皆良くやってくれているからね。白金貨二百枚だが、予算に使ってくれ。今後も余剰金が出たときは、半分だけ私に納めてくれ。残り半分は、繰越金として、予算に計上してくれ。良いかな?」
「有難うございます。田沼に伝えておきます。」
「他には何かないかな?」
「宜しければ近々報告会を開いて、細かいところの状況報告をしたいのですが。」
「分かった。予定を調整しておくよ。まあ。元気そうで良かったよ。引き続き留守を頼む。」
「承知しております。殿もご武運を。」
「有難う。ではスメラギの里に転移するぞ。〈テレポート〉。」
再び視界が歪曲したと思うと森の中に立っていた。
「ショウさん、ここは?」
「ああ、スメラギ家が住んでいる里だよ。」
「あ、兄ちゃん。誰か近づいて来るにゃ。」
そう、アルが指差した方向から武装したエルフ達が近寄ってくる。
「止まれ。何者だ?この地はスメラギ家が治める地であるぞ。用が無いなら即刻出ていけ。」
「用ならある。ミコト様にお会いしたい。前回来たときに、再訪の約束をした。私はツール伯爵のオオガミだ。ミコト様に問い合わせてくれ。」
「わかった。暫しまて。・・・・お待たせ致しました。確認が取れましたのでご案内致します。・・・ええ?ハイエルフ様!?何故ご一緒に?」
「気にするな。ミコト様は承知の事だ。早く案内を頼む。」
「そ、そうか。取りあえず、案内をする。着いてきてくれ。」
こうして、再びミコト様との対面をすることとなる。
0
お気に入りに追加
3,636
あなたにおすすめの小説
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~
丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月
働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。
いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震!
悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。
対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。
・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。
もう少しマシな奴いませんかね?
あっ、出てきた。
男前ですね・・・落ち着いてください。
あっ、やっぱり神様なのね。
転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。
ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。
不定期更新
誤字脱字
理解不能
読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。
悪役令嬢ですが最強ですよ??
鈴の音
ファンタジー
乙女ゲームでありながら戦闘ゲームでもあるこの世界の悪役令嬢である私、前世の記憶があります。
で??ヒロインを怖がるかって?ありえないw
ここはゲームじゃないですからね!しかも、私ゲームと違って何故か魂がすごく特別らしく、全属性持ちの神と精霊の愛し子なのですよ。
だからなにかあっても死なないから怖くないのでしてよw
主人公最強系の話です。
苦手な方はバックで!
転生したら死にそうな孤児だった
佐々木鴻
ファンタジー
過去に四度生まれ変わり、そして五度目の人生に目覚めた少女はある日、生まれたばかりで捨てられたの赤子と出会う。
保護しますか? の選択肢に【はい】と【YES】しかない少女はその子を引き取り妹として育て始める。
やがて美しく育ったその子は、少女と強い因縁があった。
悲劇はありません。難しい人間関係や柵はめんどく(ゲフンゲフン)ありません。
世界は、意外と優しいのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる