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第十六章 サウスラーニは面倒臭い。

第332話 世界樹再生!①

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    何だかんだで、一の月も半分の十五日となった。

    王国での予定は一通り済ませ、残るは帰りの準備とイーストンへの顔見せだ。

    今後の予定では。月末にツールに着いて、同じ頃なイーストンではオウミかミカワへ出兵することになる。

    また同じ頃に、サウスラーニに於いて独立運動を起こす。
出来れば二の月の内にセイトの他に、もう一つ都市を攻略したいとは思っている。しかし問題もある。奪還自体するのは楽だが、その後の統治がヒラドと比べると困難になると分かったからだ。
サウスラーニの国の成り立ちからの理由で致し方無いとはいえ、賄賂政治が横行しており、商人を始め役人達までモラルが低すぎるのだ。今では公的独立機関である冒険者ギルドや商人ギルドすら、不正等のモラル低下が平気に堂々と横行している。綱紀粛正を長いことやり、意識改革をさせないと普通にはならないと思える。

    変な話だが、都市を掌握する前に、掌握した後を心配すると言う、皮肉な状況にある。ウェザリア王宮には、いざと言うときは行政官を送ってもらう様にお願いしてある。まぁ、王宮側にも、仕事の無い貴族の次男三男の就職先を斡旋できるという利もあるわけだ。

    困難な問題を抱えながら、取り敢えず目の前の出来ることから片付ける事にした。


「アイリスとアルメイダは今日の予定何かあるかい?」
「わたし?特には無いわよ。」
「アルも暇にゃ。兄ちゃん用事かにゃ?」
「予定無いなら、イーストンへ顔見せに行くからついておいで。ついでに、スメラギ家にも顔出しするから、一緒に行こうか?」
「スメラギ家ってイーストンに住むハイエルフだったわね。分かったわわ。一緒に行くわ。」
「アルは暇だから兄ちゃんに着いて行くにゃ。美味しい物あると良いにゃ。」
「よし、決まりだ。暖かい格好に着替えたら、私の執務室に集合だ。いいね?」
「分かったわ。」
「わかったにゃ。」

    こうして、お出かけの用意を整えると、二人が来るのを待つ。

「兄ちゃん、用意できたにゃ。」
「オオガミさん、用意出来たわよ。」
「では、イーストンへ向かうぞ。〈マルチロック〉『テレポート』。」

視界がグニャッとなった次には、矢鱈と豪華な家具の置かれた部屋の中に転移する。インベントリィから何時もの白い仮面を取り出して顔に被ると部屋を出る。
私の顔を見てアルが、『あー、仮面司祭だにゃー。』と言って喜んでいる。

「さあ、着いておいで。」

二人を引き連れて、部屋を出ていき執権のオカベの執務室に移動する。ノックの後部屋に入ると、椅子に座り書類から顔を上げて、驚いた顔のオカベがいた。

「殿ですか?その子らは?」
「オカベ久しぶりだな。この子達は、私の妹分だ。この後にスメラギ家にも顔見せしに行くのでな、連れてきた。」
「おや、・・・まさか?そんな筈は・・・。いや、その耳の形は確かハイエルフ様!!」

オカベは椅子から立ち上がる急いで床に片足を着いて畏まる。

「殿、お訊きしたいのですが、そちらの変わった耳のエルフ少女はハイエルフ様ですね?」
「良く知っていたな。まぁ、スメラギ家もハイエルフの一族だから伝承でも残っていたか?」
「はい、遥か昔から、我らイーストンの地に住まうものは長くハイエルフのスメラギ家の元で等しく生きていたと、伝わっております。生活習慣や寿命の違いで今では別れて住んでおりますが、我らイーストンの民にとって、ハイエルフ様への崇拝は変わりません。だからこそ、殿のお持ちのスメラギ家の書状は効力を持つのです。」
「そう言う訳か。成る程ね。納得したよ。良かったなアイリス。ここなら大人気だ。(笑)」
「知りません。何処であろうと私は私。貴方の側が私の居場所です。」
「アルも同じにゃ。兄ちゃんの側が気持ちいいにゃ。」
「嬉しいが、そろそろ一人立ちして欲しいがね。まぁ良い。話は変わるが、ヒラドの様子に変わりはないかな?」
「その事ですが、殿にお伝えしないといけない事がありまして。」
「ほう、何かな?」
「実は、先月と今月になりまして、税収が予想以上に上がりまして、今月の必要経費を差し引いても、多大な余剰がありまして、殿にお返ししようと、政治部一同で決めました。少しお待ち下さい。」

壁際に置かれた金庫を開けると、少し大降りな袋を差し出してきた。
一旦受け取りインベントリィに納めると、白金貨四百枚だと分かった。
二百枚を袋に入れ直してから、インベントリィから取り出して、オカベに渡し返す。

「殿、これは?」
「ああ、皆良くやってくれているからね。白金貨二百枚だが、予算に使ってくれ。今後も余剰金が出たときは、半分だけ私に納めてくれ。残り半分は、繰越金として、予算に計上してくれ。良いかな?」
「有難うございます。田沼に伝えておきます。」
「他には何かないかな?」
「宜しければ近々報告会を開いて、細かいところの状況報告をしたいのですが。」
「分かった。予定を調整しておくよ。まあ。元気そうで良かったよ。引き続き留守を頼む。」
「承知しております。殿もご武運を。」
「有難う。ではスメラギの里に転移するぞ。〈テレポート〉。」

再び視界が歪曲したと思うと森の中に立っていた。

「ショウさん、ここは?」
「ああ、スメラギ家が住んでいる里だよ。」
「あ、兄ちゃん。誰か近づいて来るにゃ。」

そう、アルが指差した方向から武装したエルフ達が近寄ってくる。

「止まれ。何者だ?この地はスメラギ家が治める地であるぞ。用が無いなら即刻出ていけ。」
「用ならある。ミコト様にお会いしたい。前回来たときに、再訪の約束をした。私はツール伯爵のオオガミだ。ミコト様に問い合わせてくれ。」
「わかった。暫しまて。・・・・お待たせ致しました。確認が取れましたのでご案内致します。・・・ええ?ハイエルフ様!?何故ご一緒に?」
「気にするな。ミコト様は承知の事だ。早く案内を頼む。」
「そ、そうか。取りあえず、案内をする。着いてきてくれ。」

こうして、再びミコト様との対面をすることとなる。


    
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