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第十五章 王都で貴族のお仕事。そして・・・。
第311話 何事も初めての体験なので・・・。
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教会で予定外の神様ブートキャンプにより、自分的に懸念のあった防御面での強化に成果をみた。
お祈りから覚めると、シスターにお礼のお布施として、金貨一枚を渡して馬車に乗り込む。今の時間は午後の四時前だった。
シーラと共に屋敷に戻ると、何故かサウルが笑顔で迎えてくれた。
「お帰りなさいませ旦那様。シーラ様も御一緒なら、丁度宜しいですな。」
「え、何が丁度良いのかなサウル?」
「はい、明日は王宮にて新年の謁見があり、貴族の皆様は陛下にご挨拶に伺うのはご存知ですよね?」
「ああ、家族同伴でご挨拶するのだったな。私は家族はいないから、一人での挨拶になるのかな?」
「いいえ。旦那様は独身ではありますが、許嫁がいらっしゃいますので、明日はシーラ様を同伴で登城していただきます。シーラ様、明日はドレス着用でお願い致します。」
「私も用意するのですね。分かりました。」
「はい、明日はメイドが支度のお手伝いを致しますので、お願いします。」
「承知しました。」
「勿論、旦那様も礼装でお願いします。支度には私がお手伝いを致しますので。」
「礼装かぁ~。苦手なんだよねアレ。肩が凝るからなぁ。」
「旦那様!」
「判ったよ。支度の手伝い頼むよ。」
「はい、お任せ下さい。そして、陛下へのご挨拶のあとは、王室主催のパーティーとなります。貴族の方々全員参加です。パーティーでは、ダンスを踊ることになります。」
「えっ、本気??」
「本当にございます。そこで、これからダンスの稽古していただきます。ダンスのご経験は?」
「勿論無いよ。」
「では、明日恥を掻かない為にも、確りと稽古して頂きます。シーラ様、お相手を努めて頂けますか?」
「ええ、私で良ければ。」
(うえ~。ダンスだなんて、日本にいた時でさえやったのはフォークダンスしかやったことないよ。どうしたものか。)
サウルに連れられ、二階の空き部屋にシーラ共々向かうと、部屋の中は椅子や机が壁際に片付けられていた。
「シーラはダンスを踊れるのかい?」
「はい、元男爵家でしたから、子供の内から習わされました。兄も、ああ見えても、確り踊れますのよ。」
「そうか、レナードはダンス出来るのか。羨ましい。」
「ハイハイ。旦那様、お喋りはそれまでにして、練習をしますよ。まずは腕の組み方からです。」
こうして、正に付け焼き刃な練習を行っていく。
ステップから、ターンといったダンスの一通りを訓練する。
しかし、普段使わない筋肉を酷使したのか、お尻と背中の筋肉が張ってきた。
そんな中で、なんとか一通り踊れるようになった頃、夕食の用意が出来たと、カインが知らせに来た。
そして、遂に苦労した甲斐があり、何とかスキル〈舞踊〉を覚えたのが慰めだね。
(ピロ~ン♪『武技の極み』により、スキル『舞踊』を覚えました。)
スキルを覚えたら、途端に足がリズム良く動くようになり、先程までの覚束ない足取りが、嘘のようにリズム感良く、自在に踏めるようになった。
(スキル万歳。スキル無かったら、泣いて許して貰うしかなかったよ。)
こうして、食事までには、何とかダンスの格好はつくようになったが、衆目の中で踊ると言うのは、やはり恥ずかしいのに代わりはない。
こうして、その夜は中々寝付けない夜となった。
翌日朝。昨夜は中々寝付けなくて少々寝不足気味の所を気合いで起き上がり、朝の支度を済ます。
毎度、私のベッドに潜り込んできたアイリスとアルメイダは寒さにブーブー言いながら、起きていたが。
「閣下おはようございます。」
「ショウ様、おはようございます。」
「旦那様、今朝はいつになく、お早いおこしで、如何されました?」
「伯爵殿おはようございます。」
「シーラ、レナード、サウル、ディートリンデおはよう。実は、王宮での挨拶の後のダンスの事を考えると、緊張してなかなか寝られなくてね。少し寝不足だよ。」
欠伸をしながら答えると、サウルから行儀が悪いと窘められる。サウルの小言をスルーして、予定の確認をする。
「サウル、挨拶に王宮に向かうのは何時かな?」
「はい、謁見が始まるのは午後の一時からでございます。ですので、旦那様も一時前には控え室にいらして下さい。爵位の高い順で呼ばれますので、呼ばれましたら、謁見の間に向かってください。後は順番に名前を呼ばれますので、呼ばれましたら、陛下の前に進み出て、赤カーペットの切れた所で片膝を着き、ご挨拶を述べて下さい。 陛下との応答が済みましたら、控えの間に戻ってください。新年のご挨拶は以上となります。そして午後の五時から王室主催のパーティーが始まり、ダンスは六時頃からはじまります。」
「パーティーまで、えらく時間が空くのだね。一旦戻っては不味いのかな?」
「はい、戻られるのは宜しくありません。皆さん、控え室では、お知り合い、ご友人の方や商売上のお付き合いのある貴族家との歓談の場となります。旦那様は新興の貴族家ですので、これを機会にお知り合いを増やして、名前を広められては?」
「成る程ね。ま、適当にお相手しておくよ。名前は別に売りたくないしね。パーティーと言うからには、食事や飲み物は出されるのかな?」
「はい、会場に軽食を乗せたテーブルが用意されますし、飲み物は会場にいる給仕に申し付ければ、渡されます。ただし、旦那様はアルコールは控えてください。宜しいですね。」
「了解だ。新年から酔っぱらって寝るような真似はしないさ。気を付けるよ。」
細々とした、パーティーでの注意点をサウルに確認していく。
初めてという事で、どうしても、サウルは心配なようである。
まあ、無用の騒ぎはたてないつもりだし、今日は大人しくしているつもりだよ。
お祈りから覚めると、シスターにお礼のお布施として、金貨一枚を渡して馬車に乗り込む。今の時間は午後の四時前だった。
シーラと共に屋敷に戻ると、何故かサウルが笑顔で迎えてくれた。
「お帰りなさいませ旦那様。シーラ様も御一緒なら、丁度宜しいですな。」
「え、何が丁度良いのかなサウル?」
「はい、明日は王宮にて新年の謁見があり、貴族の皆様は陛下にご挨拶に伺うのはご存知ですよね?」
「ああ、家族同伴でご挨拶するのだったな。私は家族はいないから、一人での挨拶になるのかな?」
「いいえ。旦那様は独身ではありますが、許嫁がいらっしゃいますので、明日はシーラ様を同伴で登城していただきます。シーラ様、明日はドレス着用でお願い致します。」
「私も用意するのですね。分かりました。」
「はい、明日はメイドが支度のお手伝いを致しますので、お願いします。」
「承知しました。」
「勿論、旦那様も礼装でお願いします。支度には私がお手伝いを致しますので。」
「礼装かぁ~。苦手なんだよねアレ。肩が凝るからなぁ。」
「旦那様!」
「判ったよ。支度の手伝い頼むよ。」
「はい、お任せ下さい。そして、陛下へのご挨拶のあとは、王室主催のパーティーとなります。貴族の方々全員参加です。パーティーでは、ダンスを踊ることになります。」
「えっ、本気??」
「本当にございます。そこで、これからダンスの稽古していただきます。ダンスのご経験は?」
「勿論無いよ。」
「では、明日恥を掻かない為にも、確りと稽古して頂きます。シーラ様、お相手を努めて頂けますか?」
「ええ、私で良ければ。」
(うえ~。ダンスだなんて、日本にいた時でさえやったのはフォークダンスしかやったことないよ。どうしたものか。)
サウルに連れられ、二階の空き部屋にシーラ共々向かうと、部屋の中は椅子や机が壁際に片付けられていた。
「シーラはダンスを踊れるのかい?」
「はい、元男爵家でしたから、子供の内から習わされました。兄も、ああ見えても、確り踊れますのよ。」
「そうか、レナードはダンス出来るのか。羨ましい。」
「ハイハイ。旦那様、お喋りはそれまでにして、練習をしますよ。まずは腕の組み方からです。」
こうして、正に付け焼き刃な練習を行っていく。
ステップから、ターンといったダンスの一通りを訓練する。
しかし、普段使わない筋肉を酷使したのか、お尻と背中の筋肉が張ってきた。
そんな中で、なんとか一通り踊れるようになった頃、夕食の用意が出来たと、カインが知らせに来た。
そして、遂に苦労した甲斐があり、何とかスキル〈舞踊〉を覚えたのが慰めだね。
(ピロ~ン♪『武技の極み』により、スキル『舞踊』を覚えました。)
スキルを覚えたら、途端に足がリズム良く動くようになり、先程までの覚束ない足取りが、嘘のようにリズム感良く、自在に踏めるようになった。
(スキル万歳。スキル無かったら、泣いて許して貰うしかなかったよ。)
こうして、食事までには、何とかダンスの格好はつくようになったが、衆目の中で踊ると言うのは、やはり恥ずかしいのに代わりはない。
こうして、その夜は中々寝付けない夜となった。
翌日朝。昨夜は中々寝付けなくて少々寝不足気味の所を気合いで起き上がり、朝の支度を済ます。
毎度、私のベッドに潜り込んできたアイリスとアルメイダは寒さにブーブー言いながら、起きていたが。
「閣下おはようございます。」
「ショウ様、おはようございます。」
「旦那様、今朝はいつになく、お早いおこしで、如何されました?」
「伯爵殿おはようございます。」
「シーラ、レナード、サウル、ディートリンデおはよう。実は、王宮での挨拶の後のダンスの事を考えると、緊張してなかなか寝られなくてね。少し寝不足だよ。」
欠伸をしながら答えると、サウルから行儀が悪いと窘められる。サウルの小言をスルーして、予定の確認をする。
「サウル、挨拶に王宮に向かうのは何時かな?」
「はい、謁見が始まるのは午後の一時からでございます。ですので、旦那様も一時前には控え室にいらして下さい。爵位の高い順で呼ばれますので、呼ばれましたら、謁見の間に向かってください。後は順番に名前を呼ばれますので、呼ばれましたら、陛下の前に進み出て、赤カーペットの切れた所で片膝を着き、ご挨拶を述べて下さい。 陛下との応答が済みましたら、控えの間に戻ってください。新年のご挨拶は以上となります。そして午後の五時から王室主催のパーティーが始まり、ダンスは六時頃からはじまります。」
「パーティーまで、えらく時間が空くのだね。一旦戻っては不味いのかな?」
「はい、戻られるのは宜しくありません。皆さん、控え室では、お知り合い、ご友人の方や商売上のお付き合いのある貴族家との歓談の場となります。旦那様は新興の貴族家ですので、これを機会にお知り合いを増やして、名前を広められては?」
「成る程ね。ま、適当にお相手しておくよ。名前は別に売りたくないしね。パーティーと言うからには、食事や飲み物は出されるのかな?」
「はい、会場に軽食を乗せたテーブルが用意されますし、飲み物は会場にいる給仕に申し付ければ、渡されます。ただし、旦那様はアルコールは控えてください。宜しいですね。」
「了解だ。新年から酔っぱらって寝るような真似はしないさ。気を付けるよ。」
細々とした、パーティーでの注意点をサウルに確認していく。
初めてという事で、どうしても、サウルは心配なようである。
まあ、無用の騒ぎはたてないつもりだし、今日は大人しくしているつもりだよ。
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