上 下
161 / 572
第 九章 町政と商会の始動そして海賊退治。

第135話 何をするにも、まずは飯だね。

しおりを挟む
    「改めて、私がツール伯爵のショウイチ・オオガミです。遠路ご苦労様でした。細(ささ)やかですが、歓迎の用意をさせて頂きました。折角なので、こちらの皆の紹介をさせて頂きます。」

食卓に三名の行政官とその家族が左側の席に並んで座っている。右側には、私の身内がならんでいた。

「まず、こちらの彼女はソニア王女殿下です。私の許嫁です。」

王女と聞いて慌てて立ち上がろうとするのを、宥めて座らせる。食事の場なので立ち上がる必要はないと改めて伝えた。

 「続いて、隣が同じく許嫁のリヒト公爵家の長女セイラ嬢。」
今度は、立ち上がることはなく、座ったまま会釈をしている。

「その隣、同じく許嫁のシーラ・ウィンドフィールド嬢。正神教の助祭をしています。隣が、シーラの兄で伯爵家騎士団団長のレナード・ウィンドフィールド騎士爵です。次は私の妹分のハイエルフのアイリスと同じく妹分の白虎人族のアルメイダです。最後に先程も紹介した、家宰兼秘書のサウルです。あちらにいるのが、この家の執事のガトーで、この家のことで分からないことは、彼に尋ねてください。ではそちらの紹介を頼みます。」
    「はい、では私から紹介させて頂きます。ハザル・フォン・ダラス騎士爵です。次期コーラス子爵の弟です。独立したので元のダラス姓を名乗っています。従姉妹がそちらのセイラ嬢の母親のシュザンナ様なのでセイラ嬢の叔父に当たりますね。隣は妻のオードリーと息子のハインツです。家族共々宜しくお願いします。」

ハザルの挨拶が終わると、レオパルドが立って挨拶を始めた。

「元来口下手のため簡素な挨拶ですみません。レオパルド・フォン・サイラス騎士爵と申します。サイラス侯爵家の四男です。父はご存じの通り宰相をしております。隣は妻のセリーヌです。その隣は息子サムと娘のメリーアンです。宜しくお願いします。」

子供達は躾が行き届いているのか、きちんと二人ともお辞儀をして挨拶をした。

「私はオルソン・フォン・ターセル騎士爵です。近衛騎士団団長のバラン子爵は兄です。隣は妻のハンナと息子のニルソンです。皆さん、気さくにお付き相いしてください。」

    一通りの挨拶が終わって、アルメイダの我慢が限界に近いようなので、そろそろ食べよう。

「それでは皆さんお腹がすいているでしょうから、食べましょうか。」
「「いただきます(にゃ)。」」

各自祈りを捧げてから、食事が始まる。

    アルメイダを見ると、長い挨拶が終わってやっと食べられて嬉しそうだ。シッポがユラユラ元気よくゆれている。

    今日の料理はメインは鶏肉の香草と白身魚のクリームシチューと、生野菜のサラダのオオガミ特製オリジナルドレッシングとパンと私と王女、アルメイダ以外の大人にはワインを出した。私は今だに基本事は生まれ変わってからは飲事ないが、サウルが領内にお金を落とす為にもある程度は地元の物を領主は買った方が良いと言われて、それなりの数のワインが家のワインセラーには置かれていた。今後家の商会で、ビールやウィスキーやブランデー、焼酎などの各種酒の醸造も考えてみるかな。ま、やっぱり飲まないけどね。

    そう考えている時にハザルが質問してきた。

「伯爵様、三人の許嫁と騎士団団長は分かりますが、あの二人の幼子おさなごはどうして妹分に?」
「ああ、二人は私達が王都からツールへ向かった時、先のツール代官アシリーが、闇ギルドを使って途中にある山道で闇ギルド員や盗賊達に我々を襲撃させた事があってね。
まあ、敵は全滅させたんだけどね。その後で盗賊のアジトから助け出したのさ。
ただ、二人とも肉親がいないので、放り出すわけにもいかないし、私も天涯孤独の身でしてね。妹分として引き取ったのですよ。」
「その様なことがあったのですか。許せませんな、その代官は。」
「まあ、私も最初は行政官として宛にしていたので余計に腹が立ちましたね。ま、今は罪相応の罰をうけていますよ。」
「我々は、その宛にしていた代官の代わりなのですね。」
「いえいえ、今となってはあの者の代わりと言うより、もっと上等で大切な存在です。本当に頼りにしていますからね。」
「はい、全力で当たらせてもらいます。」
「お願いします。ああ、あと私のことは閣下と読んでください。年下に様付けはしずらいでしょう?」
「はは、では閣下宜しくお願いします。」
「こちらこそ。ハザル長官。」
「にゃ!鶏肉を、お代わりなのにゃ!」
「私はシチューをお代わりするわ。」

相変わらず、アルメイダとアイリスはマイペースだねぇ。(笑)

「さあ皆さんも、お代わりして下さい。今日はあなた方の歓迎会なのですから。良かったらワインをもっとどうぞ。」

    皆には、ワインをすすめているが、私自身と王女とアルメイダは、果実水を飲んでいるが、アイリスはあの外見でも二百歳越えているからねぇ。穏やかに言えば私よりもかなりの年上なんだよねぇ。だからかワインを飲んでいるよ。ど~も違和感があるんだよねぇ、あの姿。

    「ショウさん、何か今失礼な事を考えていませんか?」
「いえいえ、とんでもない。皆楽しくしているようで、良かったなーと思っていたんですよ。」
「本当かしら?・・・そういう事にしてあげます。」

(どうしてか、女性は容姿や年の事になるとこうも勘が働くのですかねぇ、霊感かな?おっと、ヤバい違うことを考えますか。
    しかし、これだけの味を出しているのに、何で店を潰しますかねぇ?時間を見て話しを聞いてみますかね。うん、料理長に教えたレシピで作って貰ったドレッシングは上手くサラダに合うな。野菜が苦手なアルメイダも旨いとバリバリ食べているし。商会の商品にしてみるかな。)

    「閣下、何を難しい顔をしていますか?ささ、飲みましょう。」
「いや、オルソン卿。まだ仕事があるのでね。私に気兼ねなくやってくれ。」
「じゃあ、一杯だけ。一杯だけ私が注いだワインで納得しますので、お願いしますよ閣下。」
「仕方ない。一杯だけだよ。グラスをくれ。」

ガトーから新しいグラスを渡されて、オルソンがそこに白ワインを注ぐ。
まあ、日本にいた頃は、酒は好きではないが飲めない訳ではなかったので、その時のつもりで一口飲む。
ほお、案外旨い物に感じるな。溜め息をつきながら、グラスをテーブルに置くと、いきなり目の前が暗くなり、そのまま意識を失った。
    消えつつある意識の片隅でふと思った。

(あれぇ、状態異常完全無効のはずなのになぁ?フッ。)










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。 しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。 相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。 そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。 無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

異世界転生はうっかり神様のせい⁈

りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。 趣味は漫画とゲーム。 なにかと不幸体質。 スイーツ大好き。 なオタク女。 実は予定よりの早死は神様の所為であるようで… そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は 異世界⁈ 魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界 中々なお家の次女に生まれたようです。 家族に愛され、見守られながら エアリア、異世界人生楽しみます‼︎

普通の勇者とハーレム勇者

リョウタ
ファンタジー
【ファンタジー小説大賞】に投稿しました。 超イケメン勇者は幼馴染や妹達と一緒に異世界に召喚された、驚くべき程に頭の痛い男である。 だが、この物語の主人公は彼では無く、それに巻き込まれた普通の高校生。 国王や第一王女がイケメン勇者に期待する中、優秀である第二王女、第一王子はだんだん普通の勇者に興味を持っていく。 そんな普通の勇者の周りには、とんでもない奴らが集まって来て彼は過保護過ぎる扱いを受けてしまう… 最終的にイケメン勇者は酷い目にあいますが、基本ほのぼのした物語にしていくつもりです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

処理中です...