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第 八章 領主就任と町の掃除。

第127話 後悔は後にするから後悔なんだね。

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    「ショウ兄ちゃん、アルお勉強頑張ったにゃ!だからご褒美ほしいにゃ!」

    ソファーに座り、町の行政や急ぎの案件について考えている時に、気配を感じたと思ったら、アルメイダが座っている私の膝の上に飛び乗ってきた。

「おっと。こら、お行儀が悪いぞ、アルメイダ。」

アルメイダは、怒られても、にぱっと笑いながら言う。 

「だって、ここが一番安心で気持ち良いから仕方ないのにゃ。」

アルメイダは全く悪びれた様子がなく、私の膝の上でニコニコしている。
やはり、アイリスの言うとおり両親がいなくて寂しいのだろうか。そう思うと、自然とアルメイダの頭をなでていた。頭の上に丸みのある、二つの虎耳が柔らかくてついついモフっていると、アルメイダはくすぐったいらしく、クスクスと笑いながらいった。

「さっきからアルの耳ばかり触ってくすぐったいにゃ。頭をしっかりと撫でてほしいにゃ。」
「ああ、ごめんね。耳が柔らかくて触ってて気持ち良かったのでね。うんアルは頑張ったね。」

と言いながら、頭を撫でてやる。

「あら、羨ましいわね。私も誉めて欲しいわ。」

アイリスが笑いながら、入ってきた。

「これは頑張ったアルへのご褒美にゃ。」
「そうね、お勉強頑張ったものね。私も頑張ってアルに教えたのだけど、何もご褒美無いものね。狡いわよねぇ。」
「はいはい、ご褒美は何が良いのかな?アイリスは?」
「町を見て回りたいわ。新しい服も欲しいし、貴方お供しなさい。」
「ショウ兄ちゃんとアイリスが行くならアルも行くにゃ。」

膝の上から振り返り見上げるアル。

「そうだな、町に着いてからずっと家の中だったからな。よし、外に出る用事も有るから、一緒に行くか?」
「そうよ、たまには外に出て息抜きしないと貴方も潰れてしまうわよ。」
「やったー!おでかけにゃ。」

アルメイダが膝から飛び降りて、妙な踊りを踊っている。

「ただ、先に冒険者ギルドと教会に寄るけどね。その後は自由でいいよ。」
「あら、良い話をしていますわね。」

    クスクス笑いながらソニアが部屋に入ってきた。セイラも不満そうな顔をして入ってくる。

「お嬢さん方も一緒に行くかい?」
「ええ、勿論ですわ。」
「一人だけ置いていかれるのは、嫌ですわ。」
「はいはい、皆で行こうかね。レナードに護衛を付けてもらわないとな。」

    そんな、午後のお出かけの話をしている所に、ガトーが来て報告する。

「皆様、昼食のご用意が出来ましたので、ダイニングへお集まり下さい。」
「ご飯にゃー。」

嬉しそうに両手を上げて喜び、食堂に向かうアルメイダを微笑ましく思い、自分も食堂へ向かう。

    「「いただきます。(にゃ)。」」

合掌していただきますをする。最近はアルメイダも真似をして手を合わしている。

    昼食のメインは白身魚のソテーだった。この世界に来て初めて食べる魚料理だ。

「うーん、さすが地元の料理人。旨いねぇー。この魚のソテーは。」
「ほんとにゃ。おいしいにゃ。アルはこれが大好きになったにゃ。」

一皿食べきると、すかさずオカワリをもらっていた。
うーん、アルメイダは虎だよな。あれではまるっきり猫なんだけどなぁ。まあ、可愛いから良いか。

「レナード、悪いが午後にお嬢さん方を町の見物と買い物に連れていくから、護衛を出してくれないかい?」
「承知しました。女性騎士をつけましょう。どちらへ行かれるご予定で?」
「うん、用事で冒険者ギルドと教会に行った後は、お嬢さん方のご希望に合わせるよ。」
「承知しました。」

    昼食もすみ、『いただきました。』の挨拶を済ませると、皆お出かけの用意に部屋に戻った。

    久々に冒険者スタイルで馬車の側で待っていると、女性騎士が四人護衛の為に兵舎から出てきた。この前の武闘大会の決勝トーナメントに進出した猛者達である。ボニー、エリアル、メッサーラ、ルーナの四人である。

    ボニーはサーベル二刀流の剣士。騎士団の女性騎士たちの纏め役。エリアルはレイピアとマインゴーシュと精霊魔法で戦うエルフ。メッサーラは赤い髪の毛の槍使い。ルーナは狼人簇の族長の二女でショートソードの二刀流の使い手。アルメイダと仲良しだ。

    なんか、私一人きり男なので、正直スゲー居ずらい。
これは、失敗したかなぁ。護衛はせめて半分は男にして欲しかったよ。今更ながら半分後悔しています。

    出発しても馬車の中は賑やかで、特にアルメイダと意外にもソニアが楽しくしゃべっている。
幼いアルメイダは分かるが、ソニアは多分、病気もあって何年も出歩くことなんて無かったからかもしれない。ただでさえ、王女という身分だから余計に気安く出歩けなかったのだろう。

    馬車は初め冒険者ギルドに向かった。町なかは先日の裁判なんて無かったかの賑やかさだった。ギルドの建物の前で止まり、ここは自分だけが降りる。

    リヒトの街の建物よりも一回り程小さな建物だが、中の造りは同じであった。両開きのスイングドアを押して入る。時間は昼過ぎなので、冒険者達は出払っていていない。壁に掲示されている、依頼票をざっと見ると、町の北にある〈魔の森〉関連の依頼と意外と薬草の採取依頼が多いことと、海の魔物退治は思っていたほど数は無く、代わりに商船の護衛は多いようであった。やっぱり海賊が多いのかな?

    受付カウンターに行き、ギルドカードを出してギルドマスターに面会したい事をつげる。
    受付嬢は、俺が領主であることは気がつかず、それよりも、珍しいAランク冒険者であることの方に驚いていたようだ。

「確認してきます。」

そう言って、二階に上がって行った。
すぐに、戻って来るとカードを返しながら、ギルドマスターがお会いするそうです。こちらへとカウンターを開けて中に入れてくれた。
    確かここのマスターは女性だったな。さて、どんな人かな。

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