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第 七章 ツール移動準備とやはりあったお約束。

第116話 亡国の王女と亡族の姫のお約束アゲイン。

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    「〈鑑定〉。」
(鑑定結果・アイリス・エル・エルヴィス(ユグラドシル)。
〈種族〉ハイエルフ。
〈年齢〉二百三十四歳(人間換算十歳位)。
〈職業〉精霊術士。
〈称号〉精霊王の友。亡国の王女。奴隷(主無し)。
    約二百年程前のウェザリア大乱の時機に世界樹のあった国を魔族が率いる魔物の大軍に滅ぼされたの。この子は王族の生き残りの子供。最後の王族よ。良い子なの、助けて上げて。)

    (おや、まあ、なんと。)

    驚いたね。ハイエルフだけでも十分なのに、最後の王族と来ましたか。まあ、もう滅んで亡いけどね。行く宛がないなら、私が保護しますかね。

    さて、もう一人は見た目から獣人族なのはわかるが。

    「〈鑑定〉。」
(鑑定結果・アルメイダ・デ・ムーンタイガー。
〈種族〉白虎人族。
〈年齢〉十歳。
〈職業〉精霊戦士。
〈称号〉風の精霊王の友。白虎人族の族長の末娘。奴隷(主無し)。

    白虎人族は虎人族の上位種よ。温和な種族であったのに、同族間の抗争で一族は滅び散り散りになったの。この子も良い子よ。お願いね。)

    「・・・お願いねと来たか。まあ、こんな小さい子達を放っておくことはしないけどね。」

    〈鑑定〉で色々と調べている内に、肉串を食べ終わったようで、二人とも私をじっと見ている。再びしゃがみ、視線を合わして話す。

    「二人とも、まずは奴隷から解放してあげるよ。〈ディスペル解呪〉。」

    二人にそれぞれ解呪の呪文をかけてやる。奴隷にかけられている隷属の呪いの呪文の証拠である首に首輪の様な奴隷紋が光って消える。お互いを見て奴隷紋が消えている事を確かめあうと、また泣きだしてしまった。

    勝手に魔法を使わないように、強制されていたらしく二人とも薄汚れていたので〈クリーン〉と〈ピュリフィケーション〉をかけてやると見違える程可愛らしい子供が目の前に現れた。

    再び泣き止み、少し落ち着いた所で、二人に行くあてがあるかと尋ねるが、二人とも首を横に振り悲しそうな顔をする。

    「なあ、行く所がないなら家に来るか?飯にはこまらんぞ?」

少し考えて揃って頷く。

「そうか、来るか。なら自己紹介するな。私はショウイチ・オオガミだ。よろしくな。今俺達が夜営している場所にまず移動するぞ。瞬間移動するから驚くなよ。(笑)」
    二人の頭の上にてのひらを乗せて、馬車の紋章を強く思い出して呪文を唱える。

「〈テレポート〉。」

なんか、結界を通り抜けた時の感触を感じて目の前の光景が変わる。

    「誰だ!」

    強い誰何をされたため、二人が私の腰にしがみついて後ろに隠れる。

    「私だ。レナード。」
「これは閣下。失礼しました。お帰りでしたか。突然現れたので、驚きましたよ。おや、その子供達はどうされました?」

    レナードに二人の事情を話して、家で面倒を見るからと伝える。それは良い事をされましたと頷いてくれた。ついでに、アジトは潰してお宝は全て頂いたと伝えると、先程とは違い苦笑いしていたが、気にしないでいこう。

    焚き火の側に寄り、座ると、ソニア・セイラ・シーラの三人がまだ起きていたらしく寄ってきた。

「「「お帰りなさい、ショウ様。」」」
「・・・何故出掛けていたことを知っている?」
わたくしがレナード卿を問い詰めましたの。魔法の事で教えて頂こうと天幕に伺ったのですが、お姿が無かったのでレナード卿を問い詰めましたら教えて下さいましたのよ。」

と、ソニアは笑顔で言ってくる。レナードを見ると深くお辞儀をしている。あの野郎女に弱いのか?まあ私も人の事は言えないがな。

    そんな事を考えながらレナードを見ていたら、シーラが、子供達に気が付いたのか聞いてくる。

「その後ろに隠れている子供はどうしましたか?」
「ああ、盗賊のアジトに奴隷として捕まっていたんだよ。身寄りも無いそうだから、私が養う積もりで連れて来た。」
「え、奴隷ですか?奴隷紋が有りませんが?」
「私が解呪したよ。子供を奴隷に無理矢理するなんて、考えただけでも吐き気がする。」
「コーチ・・・。」
「だから、これからは私が保護者になる。私もこの世界では天涯孤独の身。こいつらと同じだ。なら助けてやるのも吝かやぶさかではないさ。」
「分かりましたわ。私達三人もお手伝いします。」

ソニアが胸を張って言う。

「面倒を見る子供が増えないと良いのだがな(笑)。」
「「「ショウ様!」」」
「いや、悪い悪い。冗談だよ。さ、二人とも、このお姉さん達に自己紹介しなさい。」
「アイリスよ。」
「アルメイダにゃ。」
「そう。わたくしはソニアよ。ショウ様の許嫁よ。」
「わたくしはセイラよ。同じく許嫁ですわ。」
「私はシーラ。同じく許嫁です。」

    アイリスが俺を見上げて一言。

「ハーレム?」

グサッ!
顔が赤くなりながら言い訳をする。

「いや、何故かそうなっていたんだ。本当だぞ。それよりどこでその言葉を覚えた?」
「うーん分かった。なら私も許嫁になる。」
「なにぃ!」
「こう見えても、貴方よりも年上よ。あと十年もすれば、成人女性と同じ体つきになるから、そしたら結婚して。」
「いやまて。気持ちは嬉しいが、さっき会ったばかりだろ?」
「アイリスがこの人とつがいになるならアルもつがいになるにゃ。」

アルメイダまで言い出した。

    (この急展開にはついていけないぞ。神様、また何かしましたね?)

    (いや、わしゃぁ知らんぞ。楽しいけどな。)

    む、何か聞こえたような。



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