54 / 572
第 四章 家庭教師な日々と初めての錬金術。
第 49話 家庭教師2日目。②
しおりを挟む
侯爵邸に向かう途中で雑貨屋により一メートルの紐を二本買い求めた。
午後一時に訪問すると直ぐに訓練場に通された。そこにはお嬢様と侯爵様とセバスさんがいた。
近づくと侯爵様が、訊ねてきた。
「今日も宜しく。昨日頼まれた物は用意できたので早速、渡すが何に使うのだい?」
侯爵様が話す側からセバスさんが鉛の板を八枚渡してくる。
「ま、ただ避けるだけでは芸がないですからね、少し負荷をかけます。お嬢様、この鉛の板を一枚ずつ 両手首と両足首に巻いて下さい。巻けたら、外れないように、上からこの紐で縛って下さいね。」
買ってある紐を剣で半分に切りお嬢様にわたす。
「この位楽な物よ。鉛の板を全部巻いても平気よ。」
「ま、それは追々やりますがね。良いですか、風呂に入る時以外は外すことを禁じます。強くなりたいなら、やってください。侯爵様も外させる様な事はしないで下さいね。着け終わったら昨日と同じく円から出ないように、攻撃を避けるように。」
地面に直径三メートルの円を引く。木剣を持って構えて待つ。今日は自己強化しないでまず始めてみる。
全ての用意が済むと、お嬢様が円の中に立った。
「では、始めます。」
かけ声と共に済むと先はと同じく最初は横に払いをする。
これ位のスピードなら十分対応出来るのか、身を引き剣先を余裕で避けた。その後も余裕で避けれるたので、次第にスピードアップしていく。
何とかギリギリで避けたり剣で受け流したりしている、このスピードを維持する。勿論俺にとっては、まだまだ余裕なのだが。
十分、十五分と経つと、お嬢様の足下がふらついてきた。腕の動きも遅れがちになっていた。
「どうしました?動きが悪くなってきましたよ。たかが一キログラムですよ。全部着けても平気なんでしたよね。」
話ながらも攻撃を続けてする。相変わらずスピードは変えない。
「そんな馬鹿な。高々一キロ
グラムの重りなのに?」
「そう、あなたが思うほど一キログラムは軽くはないのですよ。
ほら、また動きが遅れてきている。俺の攻撃はずっと同じ速さだ。この程度はまだ序の口です。」
避けられるギリギリの速さを維持しつつ、あらゆる方角から攻撃を仕掛ける。
お嬢様も初日に教えた通り基本避けて、避けきれない攻撃は剣で受け流すか受け止めるが受け止めた時は〈強打〉で吹き飛ばす。
結局、お嬢様は一時間ほど動きっぱなしで、最後は膝から崩れ落ちた。まあ、ケガは一切ないがね。疲れで手足が動かなくなってしまったのだ。
「明日はもう少し長時間動ける様にして下さい。あなたが望む強さは簡単に手に入る物ではないのですからね。しっかり筋肉のマッサージをしておいてください。明日も同じメニューです。まずはその重さで二時間の指導時間耐えられる様になってもらいます。体が、その重りを気にしないで長時間動けるようになったら重りを増やしていきます。もう一度言いますよ。風呂に入る以外は外さないで下さい。今日はもう動けないでしょうから修練は終了します。」
俺が離れると途端にメイド達が駆け寄りお嬢様を連れていった。侯爵様がそれを見て不思議そうに聞いてきた。
「オオガミ君、教えて欲しいのだが、今日の攻撃は昨日より君のスピードは遅かったよね。なのに何故昨日より短時間で娘は疲れきってしまったのかい?鉛の板が関係するのはわかるのだが。たかが一キログラムを手足に巻いた位でああも違ってくる物なのかね?」
「侯爵様、人間の筋肉は元々瞬間的に最大の力を発揮するのが得意なんですよ。だが、それを長時間維持することは元々苦手なのですよ。何故なら瞬間的に力を出す筋肉と長時間力を出し続ける筋肉は別物なのです。特に戦闘に必要なのは長時間動ける筋肉なのですよ。あの鉛の重りは、力を出す筋肉と長時間動き続けられる筋肉を同時につけるためのものです。一週間後に疲れのピークがきます。その後、体がそれに対応するために必要な筋肉をつけだします。二週間後にさらに鉛の板を一枚追加して巻いてもらいます。これで後は大会まで、付けっぱなしにいてもらいます。ま、大会後はお好きにして下さい。ということなので、周りが何と言っても外させないでくださいね。外す様なら家庭教師はそこで打ちきりです。本人が強くなりたいと望んでのことです。言った以上やってもらいます。」
「厳しいね。何もそこまでしなくても良いとおもうのだがね。」
「他の事なら別に構いませんよ。ただ武の道は半端な気持ちでやると、結局は自分の命だけでなく、周りの命も巻き込んでくる時がありますからね。それが面倒だと言われるのであれば、俺を解任して下さい。」
「いや、すまない。娘のことを考えてやってもらっていると判ったので、今後もたのむよ。」
侯爵様に挨拶して訓練場からでる。
時間はまだ午後三時すぎなので、一度図書館によってポーション作成の教本がないか探すのも良いかなと思った。
ヒールが使えるとは言え、魔力量には限りがあるのだから。いざ回復が必要な時に魔力不足で回復できないなんて笑い話ではすまないからねえ。
保険は今のうちに掛けとくに限ります。ま、事前に掛けるから保険なんだけどね。
午後一時に訪問すると直ぐに訓練場に通された。そこにはお嬢様と侯爵様とセバスさんがいた。
近づくと侯爵様が、訊ねてきた。
「今日も宜しく。昨日頼まれた物は用意できたので早速、渡すが何に使うのだい?」
侯爵様が話す側からセバスさんが鉛の板を八枚渡してくる。
「ま、ただ避けるだけでは芸がないですからね、少し負荷をかけます。お嬢様、この鉛の板を一枚ずつ 両手首と両足首に巻いて下さい。巻けたら、外れないように、上からこの紐で縛って下さいね。」
買ってある紐を剣で半分に切りお嬢様にわたす。
「この位楽な物よ。鉛の板を全部巻いても平気よ。」
「ま、それは追々やりますがね。良いですか、風呂に入る時以外は外すことを禁じます。強くなりたいなら、やってください。侯爵様も外させる様な事はしないで下さいね。着け終わったら昨日と同じく円から出ないように、攻撃を避けるように。」
地面に直径三メートルの円を引く。木剣を持って構えて待つ。今日は自己強化しないでまず始めてみる。
全ての用意が済むと、お嬢様が円の中に立った。
「では、始めます。」
かけ声と共に済むと先はと同じく最初は横に払いをする。
これ位のスピードなら十分対応出来るのか、身を引き剣先を余裕で避けた。その後も余裕で避けれるたので、次第にスピードアップしていく。
何とかギリギリで避けたり剣で受け流したりしている、このスピードを維持する。勿論俺にとっては、まだまだ余裕なのだが。
十分、十五分と経つと、お嬢様の足下がふらついてきた。腕の動きも遅れがちになっていた。
「どうしました?動きが悪くなってきましたよ。たかが一キログラムですよ。全部着けても平気なんでしたよね。」
話ながらも攻撃を続けてする。相変わらずスピードは変えない。
「そんな馬鹿な。高々一キロ
グラムの重りなのに?」
「そう、あなたが思うほど一キログラムは軽くはないのですよ。
ほら、また動きが遅れてきている。俺の攻撃はずっと同じ速さだ。この程度はまだ序の口です。」
避けられるギリギリの速さを維持しつつ、あらゆる方角から攻撃を仕掛ける。
お嬢様も初日に教えた通り基本避けて、避けきれない攻撃は剣で受け流すか受け止めるが受け止めた時は〈強打〉で吹き飛ばす。
結局、お嬢様は一時間ほど動きっぱなしで、最後は膝から崩れ落ちた。まあ、ケガは一切ないがね。疲れで手足が動かなくなってしまったのだ。
「明日はもう少し長時間動ける様にして下さい。あなたが望む強さは簡単に手に入る物ではないのですからね。しっかり筋肉のマッサージをしておいてください。明日も同じメニューです。まずはその重さで二時間の指導時間耐えられる様になってもらいます。体が、その重りを気にしないで長時間動けるようになったら重りを増やしていきます。もう一度言いますよ。風呂に入る以外は外さないで下さい。今日はもう動けないでしょうから修練は終了します。」
俺が離れると途端にメイド達が駆け寄りお嬢様を連れていった。侯爵様がそれを見て不思議そうに聞いてきた。
「オオガミ君、教えて欲しいのだが、今日の攻撃は昨日より君のスピードは遅かったよね。なのに何故昨日より短時間で娘は疲れきってしまったのかい?鉛の板が関係するのはわかるのだが。たかが一キログラムを手足に巻いた位でああも違ってくる物なのかね?」
「侯爵様、人間の筋肉は元々瞬間的に最大の力を発揮するのが得意なんですよ。だが、それを長時間維持することは元々苦手なのですよ。何故なら瞬間的に力を出す筋肉と長時間力を出し続ける筋肉は別物なのです。特に戦闘に必要なのは長時間動ける筋肉なのですよ。あの鉛の重りは、力を出す筋肉と長時間動き続けられる筋肉を同時につけるためのものです。一週間後に疲れのピークがきます。その後、体がそれに対応するために必要な筋肉をつけだします。二週間後にさらに鉛の板を一枚追加して巻いてもらいます。これで後は大会まで、付けっぱなしにいてもらいます。ま、大会後はお好きにして下さい。ということなので、周りが何と言っても外させないでくださいね。外す様なら家庭教師はそこで打ちきりです。本人が強くなりたいと望んでのことです。言った以上やってもらいます。」
「厳しいね。何もそこまでしなくても良いとおもうのだがね。」
「他の事なら別に構いませんよ。ただ武の道は半端な気持ちでやると、結局は自分の命だけでなく、周りの命も巻き込んでくる時がありますからね。それが面倒だと言われるのであれば、俺を解任して下さい。」
「いや、すまない。娘のことを考えてやってもらっていると判ったので、今後もたのむよ。」
侯爵様に挨拶して訓練場からでる。
時間はまだ午後三時すぎなので、一度図書館によってポーション作成の教本がないか探すのも良いかなと思った。
ヒールが使えるとは言え、魔力量には限りがあるのだから。いざ回復が必要な時に魔力不足で回復できないなんて笑い話ではすまないからねえ。
保険は今のうちに掛けとくに限ります。ま、事前に掛けるから保険なんだけどね。
21
お気に入りに追加
3,636
あなたにおすすめの小説
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
異世界転生はうっかり神様のせい⁈
りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。
趣味は漫画とゲーム。
なにかと不幸体質。
スイーツ大好き。
なオタク女。
実は予定よりの早死は神様の所為であるようで…
そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は
異世界⁈
魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界
中々なお家の次女に生まれたようです。
家族に愛され、見守られながら
エアリア、異世界人生楽しみます‼︎
異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~
丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月
働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。
いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震!
悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。
対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。
・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。
もう少しマシな奴いませんかね?
あっ、出てきた。
男前ですね・・・落ち着いてください。
あっ、やっぱり神様なのね。
転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。
ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。
不定期更新
誤字脱字
理解不能
読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。
出来損ない王女(5歳)が、問題児部隊の隊長に就任しました
瑠美るみ子
ファンタジー
魔法至上主義のグラスター王国にて。
レクティタは王族にも関わらず魔力が無かったため、実の父である国王から虐げられていた。
そんな中、彼女は国境の王国魔法軍第七特殊部隊の隊長に任命される。
そこは、実力はあるものの、異教徒や平民の魔法使いばかり集まった部隊で、最近巷で有名になっている集団であった。
王国魔法のみが正当な魔法と信じる国王は、国民から英雄視される第七部隊が目障りだった。そのため、褒美としてレクティタを隊長に就任させ、彼女を生贄に部隊を潰そうとした……のだが。
「隊長~勉強頑張っているか~?」
「ひひひ……差し入れのお菓子です」
「あ、クッキー!!」
「この時間にお菓子をあげると夕飯が入らなくなるからやめなさいといつも言っているでしょう! 隊長もこっそり食べない! せめて一枚だけにしないさい!」
第七部隊の面々は、国王の思惑とは反対に、レクティタと交流していきどんどん仲良くなっていく。
そして、レクティタ自身もまた、変人だが魔法使いのエリートである彼らに囲まれて、英才教育を受けていくうちに己の才能を開花していく。
ほのぼのとコメディ七割、戦闘とシリアス三割ぐらいの、第七部隊の日常物語。
*小説家になろう・カクヨム様にても掲載しています。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
おっさん、勇者召喚されるがつま弾き...だから、のんびりと冒険する事にした
あおアンドあお
ファンタジー
ギガン城と呼ばれる城の第一王女であるリコット王女が、他の世界に住む四人の男女を
自分の世界へと召喚した。
召喚された四人の事をリコット王女は勇者と呼び、この世界を魔王の手から救ってくれと
願いを託す。
しかしよく見ると、皆の希望の目線は、この俺...城川練矢(しろかわれんや)には、
全く向けられていなかった。
何故ならば、他の三人は若くてハリもある、十代半ばの少年と少女達であり、
将来性も期待性もバッチリであったが...
この城川練矢はどう見ても、しがないただの『おっさん』だったからである。
でもさ、いくらおっさんだからっていって、これはひどくないか?
だって、俺を召喚したリコット王女様、全く俺に目線を合わせてこないし...
周りの兵士や神官達も蔑視の目線は勿論のこと、隠しもしない罵詈雑言な言葉を
俺に投げてくる始末。
そして挙げ句の果てには、ニヤニヤと下卑た顔をして俺の事を『ニセ勇者』と
罵って蔑ろにしてきやがる...。
元の世界に帰りたくても、ある一定の魔力が必要らしく、その魔力が貯まるまで
最低、一年はかかるとの事だ。
こんな城に一年間も居たくない俺は、町の方でのんびり待とうと決め、この城から
出ようとした瞬間...
「ぐふふふ...残念だが、そういう訳にはいかないんだよ、おっさんっ!」
...と、蔑視し嘲笑ってくる兵士達から止められてしまうのだった。
※小説家になろう様でも掲載しています。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる