上 下
10 / 572
第 二章 冒険者ギルドとやっぱりのお約束

第 10話 準備の買い出しと教会での再会

しおりを挟む
    私はまるで敗者の様に肩を落として冒険者ギルドから出てきた。

    二日目にして早くも目立ってしまったよ。フフフやらかしちまったぁ。
    誰がいきなり、ギルドマスターから直接訓練に来いと呼ばれる新人がいる?
私まだ一回も依頼を受けてないんですがね?
    やっぱ、盗賊退治が不味かったかな。五人じゃなく、弓使っていた二人だけ始末して、後は見物していてほうが良かったかも知れないな。
護衛していた〈大地の剣〉のリーダーさんって強そうだったし。あの人からマスターに報告がいったのかな?などとグダグタ考え歩いていた。
    仕方ないと諦めて気持ちを切り替える。目的の店の案内をインベントリィから取り出しその
に向かった。

    さすが王国で二番目に大きい商業都市なだけあり、武器屋、防具屋、雑貨屋、服飾店、食料品店、魔法店、魔道具店その他露店商も多数ある。ギルドも冒険者ギルドと商業ギルドがあり、ただ魔法ギルドだけは王都にあるだけだそうだ。

    案内にあったエバートン日用品店へまず向かった。

    「いらっしゃいませ。」
「冒険者ギルドに紹介されてきたんだが、食器や調理道具一式欲しいのだが。」
 「承知いたしました。此方の棚
になります。」
「スプーンフォークは金属製で皿やカップは木製の物で頼む。」
「そうしますと、こちら等はいかがでしょうか。」
「ああ、それでいい。調理器具は包丁二本とまな板一枚、鍋を大きさが違う物を三つ、あと鉄製の串十本を頼むよ。」
「鍋はスープ用の深いので大きさが異なる此方の三つはいかがですか?」
「それで頼むよ。全部で幾らになるかな。」
「全て合わせると銀貨二十六と銅貨六十枚です。」
「それで頼むわ。」

金貨一枚を渡す。
主人からお釣りをもらい、品物は荷物を持って店から出たあと、すぐ脇道に入って行き持っていた荷物を全てインベントリィにしまい込んだ。

    次に着替えを買うため、キリー服飾店に向かう。

    「いらっしゃいませ~。」
「ギルドから紹介されて来たんだが、着替えや色々欲しいのだが?」
「着替えというと此方になりますね。」
「パンツは五枚シャツも五枚、靴下は十足頼む。」
「はーい、こちらでやろしいですか?」
「あと、雨よけのマントあるかな?色は地味で、生地の丈夫なやつを。あとタオルを三枚頼む。」
「ございますよ。こちら等はいかがでしょう。」

    見せられたマントは、いわゆる黒色で、布の目が詰まっていて厚い丈夫な布地でできていた。色も目立たなくていいなと思いそれに決めが、反対にタオルは無地の物を頼んだ。

    「全部で幾らになるのかな?」
「丁度金貨一枚になります。」
    (服って高いんだなぁ。ビックリだ。)

    店主に金貨一枚を渡すと荷物を持って店を出る。
また脇道に入ってインベントリィにこれもしまった。

    これで最低限の用意が整ったと思う。時間もいつの間にか昼時でお腹も減って来ていたので、今回は屋台で簡単に済まそうと、通りに並ぶ屋台を見て見て回った。

    肉の串焼きが一番多く、他は薄く焼いたパンで色々入った具を包んだタコスモドキやいずれも野菜スープと一通りあったが時間も昼メシ時なので、どの屋台も客で混雑している。
    特に良い匂いをさせている串焼き肉を扱っている屋台に並び、順番を待つ。

    「はい、いらっしゃい。何本用意するかい?」
「いい匂いさせてるね。何の肉使ってるの?」
「おう、ウチはオークの肉の良いとこを使ってるぜ。味も俺の特製ソースで何処にも負けてないぜ。」
「ほう、大きく出たな。じゃあソレを三本くれ。」
「おう焼きたてを渡すから、ちょっと待っててくれよ。」

    コンロに肉の焼ける匂いが立ちのぼり堪らなく腹が減ってくる。クルクル串を回しながら満遍なく焼くと手前に置かれている壺に三本の串を浸けてもう一度焼き、タレが焦げてこれまたいい匂いがしてくる。

    「ほい、お待たせ。三本で、銅貨七十五枚だ。」

    銀貨一枚だして、お釣りの銅貨二十五枚と串焼きを受け取る。

「おっちゃん、ありがとな。」

    受け取った串焼きに早速かじりつく。肉汁が口の中に溢れた。さすが自慢するだけあって、ソースが肉の旨味に甘味とピリッとした刺激の辛味と相まってヨダレが止まらないな。熱々だったが、思わず一気に一本食べきってしまったよ。
続いて二本三本とこれまた一気に食べつくすと。流石に腹一杯になった所で、タレや肉の油で汚れた指を〈クリーン〉で綺麗にして、この後どうしようか考えた。そう言えば神様からのお知らせに、教会に祈りに行けってたがあったな。思い出したし、まだ時間もあるので行ってみるか。

    教会のある場所を屋台のおっちゃんに聞いて向かった。
教会の建物の前をシスターが綺麗に掃除をしていた。

    「こんにちは。シスター」
「はい、こんにちは。教会に何かご用ですか?」
「はい。お祈りをさせてもらいにきました。早速よろしいですか?」
その後シスターの後について行く。

シスターに連れられて、厳かな部屋の中に入ったいく。
昔し日本の教会に友人の結婚式で入ったことがあったが、こちらの世界の教会も中身は左程日本と変わらなかったな。
正面に主神だろう長い白髭のどこかで見たおじいさんの爺さんの像を中心に左右にこぶりの若い男女の像が並んでいる。この世界は多神教なんだなと初めて知ったよ。

    神様の像の前に膝をつき、祈り始めた。

(神様、転生して二日目ですがなんとかやっていけそうです。)

神様への報告をしていると、突然以前転生時に見た真っ白な部屋にいた。

    「よう来たのぅ。待っておったんじゃ。済まんの何時もの爺さんで。」
「いえいえ、お久しぶりですって。まだ現地では二日しか経ってませんけどね。あのお知らせってなんですか?」
「ホホホホ、なにせワシは他の世界からこちらに転生させるのは初めてのことでの、ワシとしてもどんなトラブルが起こるのか、わからんからのう。こうして定期的にお主のフォローするのじゃよ。まあ、オンラインゲームのパッチファイルみたいなもんじゃ。」
「ぶっちゃけたなぁ。まあ助かりますからいいですけどね。それで、今日は?」
「うむ、今後も今日のように、ワシからお知らせがあったら教会に祈りに来てほしいと伝えるのと、お主を見ていて些(いささか)常識が足りてないようなのでな、少し補足しておくぞい。ホイ。」
「今何を補足してくれたんですか?」
「うむ、お主はマップ表示のスキルを持っているのでの、ついでに今いる大陸の地図を入力しておいた。国別の地名付きじゃ。ただし街等の都市内はお主が都市内に入って地図を更新してくれ。人の街は変化が早いのでな。あと、魔物の知識も一通りいれておいたぞい。」
「それはこれから依頼で外に出ることが多いので助かります。」
「ホホホホ、よいよい、ではの、そろそろ時間じゃ。元気での。」
「ありがとうございます。」

    目の前が暗くなったかと思ったら、再び祈っている姿に戻っていた。

    立ち上がり、シスターにお布施として銀貨三枚を渡す。
さて、まだ昼過ぎ二時なので、明日の訓練のために剣の練習をしにでも行くか。いい場所がないかと考えながら教会をあとにたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。 しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。 相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。 そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。 無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

異世界転生はうっかり神様のせい⁈

りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。 趣味は漫画とゲーム。 なにかと不幸体質。 スイーツ大好き。 なオタク女。 実は予定よりの早死は神様の所為であるようで… そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は 異世界⁈ 魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界 中々なお家の次女に生まれたようです。 家族に愛され、見守られながら エアリア、異世界人生楽しみます‼︎

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

処理中です...