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6章 狩猟祭
3 緑の館での再会
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公城を訪れた翌日にはアリサ夫人の緑の館へ訪問した。
ブランシュは別館でお留守番にしている。リリーが面倒をみてくれるため、ライラの傍にはライが控えることになった。
数か月前に比べて従僕姿が様になってきている。まだ見習いという扱いであるが。
クロードも久々の義母への挨拶ということで同伴してくれた。馬車の外でライラを守るように馬上で進んでいる姿をみる。
目が合うと、どうしたと言わんばかりに口を開いた。
ライラは何もないとほほ笑み返し、手を振った。
アリサ夫人の緑の館へ到着したときには別の客人がすでにいたようである。奥の方から軽やかなピアノの旋律が聞こえてきた。
連弾だと気づいた。
一人はアベル・カットであろう。
去年の緑の館でのサロンで曲合わせをしたことを思い出した。同時に、公城での演奏会の題材についていろいろと教えを受けた。
「すごいな」
音楽にはそれほど詳しくないクロードでも連弾曲のすごさを感じ入っていた。
もう一人は誰が弾いているのかとライラは考えた。
もしかしたらと思うが実際確認しないとはっきり言えない。
侍女の案内でライラはアリサ夫人のいるサロン部屋へと訪れた。ピアノの前に並んで二人の青年が曲を弾いていた。
思わず名を呼びそうになるが、ライラは口を押えた。
テーブル席に腰をかけているアリサ夫人は来客をみて穏やかにほほ笑みかけた。
しばらくして曲が終わり、アリサ夫人は拍手を送った。
「トラヴィス兄様」
ライラは夢中になり、演奏者の一人へ駆け込んだ。ピアノの席から立ち上がった青年はライラを抱きしめた。
「久しぶりだな。随分痩せたようだが、食事はとれているのか?」
「はい、よくしていただいております」
思わず返す言葉にライラは少し後ろめたさを感じた。病のことはまだ兄たちには話していない。
狩猟祭が始まる前に兄と出会えたら話そう。そう思っていたが、いざとなると言葉がうまく出ない。
ライラはちらりとクロードを見つめた。
「レジラエ殿、お久しぶりです。今度、当家で食事にいらしていただけないでしょうか。可能であれば宿泊の為の部屋も用意いたします」
仮にも義理の兄でありクロードは丁寧な言葉でトラヴィスに声をかけた。
トラヴィスはじぃっとクロードをみやった。少し訝しむ表情を浮かべていたがすぐにいつもの表情へ戻る。
「ああ、是非」
日取りを確認して、ライラはほっとしクロードに感謝した。その時までは心の準備ができそうだ。
「驚きました。お兄様が緑の館に来られているなんて」
「ああ、アリサ夫人が妹をよく面倒をみてくれたと伺い礼をしたかったんだ。同日に公都一の演奏家も来ていると聞き、めったに機会がないから是非連弾をと頼んだのさ」
ちょうどライラが訪れる頃合いに合わせて調整されたようだ。
驚いたものだが、アリサ夫人が手配してくれなければライラは兄の忙しさに遠慮して声をかけられなかっただろう。
「アベルさんもお久しぶりです。先ほどの演奏、素晴らしかったです」
ようやく兄の抱擁から解放されたライラはもう一人の演奏者へ声をかけた。
「トラヴィス・レジラエ様の手ほどきがよかったからですよ」
アベルは謙遜した。帝都でピアノの名手といわれるトラヴィスの腕前に圧倒されていたようであった。
それでも高揚感はあったようで、やや表情がいつもより豊かである。
「兄の連弾についてこれるのはすごいことです。私、いまだに難しくてつまずいてしまいます」
「ありがとうございます。アルベル夫人、よろしければお手を」
アベルはライラの手をとった。
手の甲へ口づけをする仕草は自然な流れであるものの絵になりどきりとしてしまう。
ライラは思わず頬が赤くなり、従僕として同席していたライは「うひょ」と声をあげる。
クロードは少しばかり唇を曲げていた。
「クロード殿、紳士の挨拶ですよ」
アリサ夫人はこそっとクロードに声をかける。クロードもわかっていると感情を抑えた。
テーブルにはライラ、クロード、アリサ夫人、トラヴィスで囲った。
アベルは演奏をしていた。トラヴィスのリクエストした曲である。
元々ライラを招いたお茶の雰囲気作りで呼んでいたようだ。
公都一のピアノ演奏家をこのように呼び出せるのは彼を育て上げたアリサ夫人くらいであろう。
「義母上、いつもアルベルの為に心をくだいてくださりありがとうございます」
クロードは改めてアリサ夫人にお礼を伝えた。
アルベルの地域に春が訪れ、だいぶ住みやすくなり、穀物も自力で調達できるようになったとはいえまだまだ全領民を養うには足りていない。
アリサ夫人が他領主に声をかけて支援してくれるためだいぶ助かっていた。
今も彼女は緑の館のサロンを立ち上げて、貴族、商人に声をかけてくれている。
「私は大したことしていないわ。みんなが親切にしてくれているからよ。感謝は彼らに」
ライラはアリサ夫人に例のダイヤモンドの原石を見せた。お礼の品であると聞きアリサ夫人は感謝した。
どのように加工するかをアリサ夫人に確認する。
「それならネックレスがいいわ。お茶会で使用したいから、落ち着いたドレスに合うようしてほしいわ」
あとはお任せねとアリサ夫人は笑った。
再度ダイヤモンドが入った箱を閉じ、ライラは従僕のライへ声をかけて箱を預けた。
明日には公都で活動しているノースギルド出身の職人の元へ届ける予定である。
「あと、これを」
ライラは封筒をアリサ夫人へ渡した。中をみてみるとガーベラの押し花のしおりであった。少し大きめである。
「庭師のベンクが温室で育てた花です。綺麗に咲いたので、選んでいただきました」
できれば生花を届けたかったが、途中でしおれてしまう。押し花にしてしおりにしようと案を出した。
「まぁ、うれしいわ。彼は元気にしている?」
心細いジーヴル城での生活で唯一アリサ夫人が心安らいだ場所であった。度重なる疲労により、早々に立ち去ったことから疎遠になったがこうして彼の育てた花をみることができて嬉しそうだった。
「今小説を読むのにはまっているの。是非使わせてもらうわね」
ちょうどよかったと言わんばかりのアリサ夫人の様子にライラはほっと安心した。
それから最近の公都での出来事をアリサ夫人から教えてもらった。
「次のサロンは冬にしようと思っているの。秋にも1回考えていたけど」
アリサ夫人はちらりとトラヴィスの方をみた。
どうやら兄からの助言のようである。今の時期にサロンを開いた場合、どこから聞きつけたかアメリーが押しかけてくる可能性もある。第三皇子の権威をかさにきてサロンを荒らす可能性もある。
ライラが訪れる前にトラヴィスはアリサ夫人へ伝えたのである。
先ほどは気づかなかったが、トラヴィスの目の下にわずかにくまができていた。ここ最近、アメリー・第三皇子の一行と同伴して心安らいで眠れることが少なかったのだろう。
兄が宿泊したときには安眠によいお茶を用意しよう。
アリサ夫人との会話を楽しんだ後にライラたちは別館へ帰宅した。すっかり夕方になっていた。
ブランシュは別館でお留守番にしている。リリーが面倒をみてくれるため、ライラの傍にはライが控えることになった。
数か月前に比べて従僕姿が様になってきている。まだ見習いという扱いであるが。
クロードも久々の義母への挨拶ということで同伴してくれた。馬車の外でライラを守るように馬上で進んでいる姿をみる。
目が合うと、どうしたと言わんばかりに口を開いた。
ライラは何もないとほほ笑み返し、手を振った。
アリサ夫人の緑の館へ到着したときには別の客人がすでにいたようである。奥の方から軽やかなピアノの旋律が聞こえてきた。
連弾だと気づいた。
一人はアベル・カットであろう。
去年の緑の館でのサロンで曲合わせをしたことを思い出した。同時に、公城での演奏会の題材についていろいろと教えを受けた。
「すごいな」
音楽にはそれほど詳しくないクロードでも連弾曲のすごさを感じ入っていた。
もう一人は誰が弾いているのかとライラは考えた。
もしかしたらと思うが実際確認しないとはっきり言えない。
侍女の案内でライラはアリサ夫人のいるサロン部屋へと訪れた。ピアノの前に並んで二人の青年が曲を弾いていた。
思わず名を呼びそうになるが、ライラは口を押えた。
テーブル席に腰をかけているアリサ夫人は来客をみて穏やかにほほ笑みかけた。
しばらくして曲が終わり、アリサ夫人は拍手を送った。
「トラヴィス兄様」
ライラは夢中になり、演奏者の一人へ駆け込んだ。ピアノの席から立ち上がった青年はライラを抱きしめた。
「久しぶりだな。随分痩せたようだが、食事はとれているのか?」
「はい、よくしていただいております」
思わず返す言葉にライラは少し後ろめたさを感じた。病のことはまだ兄たちには話していない。
狩猟祭が始まる前に兄と出会えたら話そう。そう思っていたが、いざとなると言葉がうまく出ない。
ライラはちらりとクロードを見つめた。
「レジラエ殿、お久しぶりです。今度、当家で食事にいらしていただけないでしょうか。可能であれば宿泊の為の部屋も用意いたします」
仮にも義理の兄でありクロードは丁寧な言葉でトラヴィスに声をかけた。
トラヴィスはじぃっとクロードをみやった。少し訝しむ表情を浮かべていたがすぐにいつもの表情へ戻る。
「ああ、是非」
日取りを確認して、ライラはほっとしクロードに感謝した。その時までは心の準備ができそうだ。
「驚きました。お兄様が緑の館に来られているなんて」
「ああ、アリサ夫人が妹をよく面倒をみてくれたと伺い礼をしたかったんだ。同日に公都一の演奏家も来ていると聞き、めったに機会がないから是非連弾をと頼んだのさ」
ちょうどライラが訪れる頃合いに合わせて調整されたようだ。
驚いたものだが、アリサ夫人が手配してくれなければライラは兄の忙しさに遠慮して声をかけられなかっただろう。
「アベルさんもお久しぶりです。先ほどの演奏、素晴らしかったです」
ようやく兄の抱擁から解放されたライラはもう一人の演奏者へ声をかけた。
「トラヴィス・レジラエ様の手ほどきがよかったからですよ」
アベルは謙遜した。帝都でピアノの名手といわれるトラヴィスの腕前に圧倒されていたようであった。
それでも高揚感はあったようで、やや表情がいつもより豊かである。
「兄の連弾についてこれるのはすごいことです。私、いまだに難しくてつまずいてしまいます」
「ありがとうございます。アルベル夫人、よろしければお手を」
アベルはライラの手をとった。
手の甲へ口づけをする仕草は自然な流れであるものの絵になりどきりとしてしまう。
ライラは思わず頬が赤くなり、従僕として同席していたライは「うひょ」と声をあげる。
クロードは少しばかり唇を曲げていた。
「クロード殿、紳士の挨拶ですよ」
アリサ夫人はこそっとクロードに声をかける。クロードもわかっていると感情を抑えた。
テーブルにはライラ、クロード、アリサ夫人、トラヴィスで囲った。
アベルは演奏をしていた。トラヴィスのリクエストした曲である。
元々ライラを招いたお茶の雰囲気作りで呼んでいたようだ。
公都一のピアノ演奏家をこのように呼び出せるのは彼を育て上げたアリサ夫人くらいであろう。
「義母上、いつもアルベルの為に心をくだいてくださりありがとうございます」
クロードは改めてアリサ夫人にお礼を伝えた。
アルベルの地域に春が訪れ、だいぶ住みやすくなり、穀物も自力で調達できるようになったとはいえまだまだ全領民を養うには足りていない。
アリサ夫人が他領主に声をかけて支援してくれるためだいぶ助かっていた。
今も彼女は緑の館のサロンを立ち上げて、貴族、商人に声をかけてくれている。
「私は大したことしていないわ。みんなが親切にしてくれているからよ。感謝は彼らに」
ライラはアリサ夫人に例のダイヤモンドの原石を見せた。お礼の品であると聞きアリサ夫人は感謝した。
どのように加工するかをアリサ夫人に確認する。
「それならネックレスがいいわ。お茶会で使用したいから、落ち着いたドレスに合うようしてほしいわ」
あとはお任せねとアリサ夫人は笑った。
再度ダイヤモンドが入った箱を閉じ、ライラは従僕のライへ声をかけて箱を預けた。
明日には公都で活動しているノースギルド出身の職人の元へ届ける予定である。
「あと、これを」
ライラは封筒をアリサ夫人へ渡した。中をみてみるとガーベラの押し花のしおりであった。少し大きめである。
「庭師のベンクが温室で育てた花です。綺麗に咲いたので、選んでいただきました」
できれば生花を届けたかったが、途中でしおれてしまう。押し花にしてしおりにしようと案を出した。
「まぁ、うれしいわ。彼は元気にしている?」
心細いジーヴル城での生活で唯一アリサ夫人が心安らいだ場所であった。度重なる疲労により、早々に立ち去ったことから疎遠になったがこうして彼の育てた花をみることができて嬉しそうだった。
「今小説を読むのにはまっているの。是非使わせてもらうわね」
ちょうどよかったと言わんばかりのアリサ夫人の様子にライラはほっと安心した。
それから最近の公都での出来事をアリサ夫人から教えてもらった。
「次のサロンは冬にしようと思っているの。秋にも1回考えていたけど」
アリサ夫人はちらりとトラヴィスの方をみた。
どうやら兄からの助言のようである。今の時期にサロンを開いた場合、どこから聞きつけたかアメリーが押しかけてくる可能性もある。第三皇子の権威をかさにきてサロンを荒らす可能性もある。
ライラが訪れる前にトラヴィスはアリサ夫人へ伝えたのである。
先ほどは気づかなかったが、トラヴィスの目の下にわずかにくまができていた。ここ最近、アメリー・第三皇子の一行と同伴して心安らいで眠れることが少なかったのだろう。
兄が宿泊したときには安眠によいお茶を用意しよう。
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