【完結】ライラ~婚約破棄された令嬢は辺境へ嫁ぐ

ariya

文字の大きさ
上 下
42 / 72
5章 大公視察

8 友人からの手紙

しおりを挟む
 第三皇子の館に滞在していたアメリーは有意義な日々を過ごしていた。
 彼女の身の回りを世話しているのは、アメリーが幼少の頃から仕えていた気心の知れる侍女・レルカであった。
 彼女はアメリーの好みに合わせ、アメリーが望むドレスや装飾品を合わせてくれる。

 今日もアメリーは優雅なドレスと美しい宝石に彩られ美しい姿を披露していた。
 男の使用人たちはほうっとため息をつき、鼻の下を伸ばしている。
 女の使用人たちはアメリーの美しさに憧れを抱いていた。一部噂であまり良い感情を抱いていない者もいたが、美しいのは認めざるをえない。見ているだけで幸せな心地にさせてもらえる。

 今のところ館内でアメリーが不快になることはない。
 アメリーへ少しでも否定的な意見を持つものが現れればカイルが解雇して追い出してしまうからだ。
 それでも、アメリーの身の回りはレルカに一任しているのでアメリーの不便にはならない。
 庭園で館の主とお茶を楽しんでいたアメリーは首を傾げた。

「狩猟祭?」

「リド=ベル大公主催の狩猟大会で、秋に行われる。皇帝家への招待状が届けられて私が行くことになった」

 しっかりと第三皇子を指名された為、カイルが行かない訳にはいかない。
 カイルは皇帝夫妻に呼び出されて、そのことをしっかりと強調された。
 例年、代役を立てることも可能だったはずだが、今回そうはいかない。
 カイルとアメリーの噂を聞きつけた可能性もある。
 皇帝の言葉を思い出した。

「お前がアビゲイル公女との婚約に乗り気ではないこと、例の夫人のこともわかっている。今回の一番振り回されているのはそなたではない。公女だ。大公と公女をしかと見極めて皇子として自分のすべきことを考えて行動するように」

 公国との友好を壊さないようにしてほしいと願われ、どう立ち回るか次第で今後のカイルの扱いを決める。
 そこまでのことを言われ、カイルは渋々狩猟祭への参加を受け入れた。
 皇帝は心配であったが、一応第三皇子の供としてトラヴィス・レジラエも行かせる予定である。
 彼自身の働きはリド=ベル大公も認めており、大公弟の妻の兄である。
 ライラをアルベルへ追いやった人間の一人でむしの良い話であるが、ライラ・トラヴィスに何とか帝国の為に立ち回り第三皇子のフォローへまわってほしいと願った。
 さて、カイルとしては内心面倒だと思ったようであるが、大公家に全く話もせずアメリーと一緒になることは相手に気分を害することだということはわかっていた。アビゲイル公女には何の罪もないのだから、彼女にはせめて一言あるべきだろう。
 婚約は公にされていないが、アビゲイル公女には婚約解消がスムーズにいくようお願いをする予定である。

「今回の公国訪問は私と君のこれからがかかっている。帰ったら君を正式な婚約者にするようにとりはかるつもりだよ」

 カイルの言葉にアメリーはよくわかっていなかった。
 大公家の顔色を何故窺う必要があるのだ。こちらは大国であり、公国など元は帝国の属国で滅んでも不思議がない国ではないか。
 あんな蛮国に礼を尽くす必要なんてありませんわ。
 そう口にしようと思ったが、今回はできなかった。
 今まで何度も第三皇子に言っても数日後はすぐに修正される。

「しばらく殿下がいないのは寂しいですわ」

 しおらしくアメリーはうつむく。彼女の耳のイヤリングは髪の隙間から姿を現し春の光を浴びてきらっと光っていた。

「皇子としての仕事でもあるんだ。そうだ、冬に向けて君の防寒具の材料を集めよう」

 丁度、狩猟祭であり色んな動物や魔物を狩ることができる。
 北天狐の毛皮を求めていたが密猟事件の件で手に入れられなくなったことを思い出す。
 アメリーが随分と残念そうに嘆いていた。

「北天狐程の美しいものが手に入るかわからないが、君の為に良いものを手に入れよう。それと優勝者にはリド=ベル公国でしか採れない星の石を与えられる」

 ムーンストーンのことである。通常は透明感のある白い石をよくみるが、星の石は黒い石である。その中でちらちらと光がちりばめられており真冬の空に輝く星空のようだということから、公国では星の石と呼ばれるようになった。
 希少性の高い美しい石だという。

「優勝したら君にプレゼントしよう」

 気持ちはありがたいが、アメリーはただ微笑み返す。手に入らないだろうと予想していた。
 カイルは一応剣や弓、馬術にも優れているが、北の公国の貴族たちの間で優勝できるかは怪しい。
 星の石の美しさを噂で聞いたことがあるから、興味はある。
 どうせなら公国の参加者を味方につけて捧げてもらった方が現実的であろう。

「そういえば、社交パーティーはありますの?」
「うん? ああ。開始前のパーティーと閉幕後のパーティーがあるよ」

 それだけではない。公国の淑女は参加者に刺繍を入れたハンカチをプレゼントする。それを受け取った参加者は狩った獲物の点数を淑女に捧げる。捧げられた点数によっては参加していない淑女が優勝者になることがある。優勝した淑女は「秋の女王」と呼ばれ、淑女たちから憧れられる。

「それなら私も狩猟祭に行きたいですわ」
「え、でも。君は公国に良い感情を抱いていなかったじゃないか」

 突然のアメリーの言葉にカイルは首を傾げた。
 彼女が公国を蛮国と呼び、あの国へ嫁がずにすんで良かったと言っていたことを思い出した。

「公都で行われるのでしょう。あのあたりは帝国流が流行っておりますし、最近は観光スポットとしてひそかな人気があるそうです」

 帝国貴族の淑女でも問題なく滞在できたという。少し値段は張るが、帝国の有名店の支店が並ぶ通りもある。
 帝国流のレストランもあるというし、旅行先として困ることはないだろう。

「私も殿下と一緒に旅行したいのです」
「うーん、旅行じゃなくて外交目的なんだけど」
「わかっておりますわ。必要あれば、私は殿下と一緒に公女様へお詫びいたします」

 内心いつものように周りの殿方を味方につけて、公女を悪者にしたてらればいいと考えている。
 それを知っていれば、カイルは一緒に連れていけないというだろう。同行するトラヴィスも強く拒否するだろう。

「おお、アメリー。君がそこまでする必要はないんだよ。だけど、私たちの為にそこまでしてくれるなんて。公女はきっと君の姿をみて婚約解消に協力してくれるに違いない」

 アメリーの内面に気づかないカイルは都合のよい道筋を立てていった。
 トラヴィスがアメリーの同行を拒否するように進言するが、カイルは一切聞く耳持たない。あまりにうるさいようであれば同行者を別の者に変更するとカイルが言うとトラヴィスは深くため息をついて起きる問題を予想して対策方法を模索していくしかなかった。

 ◆◆◆
 
 2週間、リチャード大公はアルベルの視察を有意義に過ごした。
 初日はジーヴル城内の案内。次はジーヴル城下町の様子をみてもらった。
 リーゼロッテ女史のフローラ治療院、多くの傭兵・商人を会員に持つノース・ギルド、さまざまな施設。
 城下町以外では最寄りの砦にも見学をさせていた。
 リチャード大公は砦周辺の戦の跡を確認して、そこに手を振れ目をじっと閉じた。
 ここも北の悪夢の頃は激戦地であり、兵士が命を落とした場所でもあった。

「アルベルの盾となり、感謝している。これからもどうか公国の為に力を貸してほしい」

 砦に赴任している騎士・兵士、通りかかりの傭兵たちにリチャード大公は声をかけた。
 天上の存在から願ってもいない言葉をかけられ兵士たちはより一層アルベル、リド=ベル公国の為に尽くしたいと意志を表明する。
 その姿をみてリチャード大公は一瞬だけ悲し気にしていたがすぐに満足げな微笑みをみせた。
 ライラは彼の一瞬の表情をみて、彼自身戦場を苦々しく感じていると予想した。イザベル公妃が愛する人は、優しい性質の方のようだ。

 リチャード大公が公都へ戻る日が訪れた。
 滞在中の気配りに大公は感謝の意を示した。
 何事も起きずに過ごせてライラはほっと一安心であった。

 アビゲイル公女は名残惜し気に挨拶をした。もう少しここに滞在したかったとライラをじっと見つめる。

「ライラ、またしばらくさよならね。絶対秋の狩猟祭りに来てよね」
「はい。クロード様と一緒に参ります」
「クロ叔父様は別にいいわ。どうせ忙しいでしょう」

 アビゲイル公女はノーと言うように右手のひらをクロードに向けた。

「ありがたいことに、大公殿下よりご招待いただいた。妻と一緒に参らせていただこう」

 クロードは憎らし気なアビゲイル公女の期待を裏切るように答えた。

「オズワルド!」

 アビゲイル公女は後ろに控えているオズワルドへ声をかけた。オズワルドは公女に礼を向ける。

「あの手紙、必ず送るのよ」

 ひそひそと声をかけるアビゲイル公女の口から手紙という単語を拾いライラは首を傾げた。手紙とは何のことだろうか。
 リチャード大公に知られたくないようなのであえて触れないでおくが。

「手紙て、何のこと?」

 大公一行がジーヴル城を発った後にライラはオズワルドに声をかけた。
 オズワルドは「ああ」と思い出したようにふところから手紙と木の箱を取り出した。

「君への手紙だよ。ライラ」

「私に手紙?」

 差出人の名前をみてライラは目を見開いた。
 ジュリア・ブラック=バルトと名が記されている。

「最近、彼女と情報交換していてね。ジュリアが君にどうしても手紙を渡したいからと一緒に届けてくれたんだ」
「嬉しい。ありがとう」

 オズワルドの口から彼女という単語が出て、クロードは視線を別へずらした。

「おや、おや。まさかライラの同郷からの手紙にまで嫉妬しているのかい?」

 オズワルドから意地悪気に耳打ちされてクロードは渋い顔をした。
 本当によく顔に出るなぁとオズワルドはつくづく感心した。

「大公殿下も言うようにクロは表情を隠す練習をした方がいいなぁ」

 今年の秋には狩猟祭りがおこなわれる。帝国からの客人も参加するが、今回は第三皇子も招待されている。
 今までクロードは、リチャード大公を間に挟む形で皇帝から称賛されていた。皇帝家との直接的な交流はないが、そろそろ学んだ方がいいだろう。
 トラヴィスからクロードの評価がはじめ低かったことをオズワルドは思い出した。
 未だに評価は微妙であるが、ライラの手紙で少しだけ変わった印象である。少しだけであるが。
 しかし、皇族に対して少しでも粗相してしまえばトラヴィスの評価はまた一気に落とされることだろう。
 公国、帝国の関係についてを語るよりも小舅関係で揺さぶった方が少しは改善されるかもしれない。

 オズワルドはどういう言い回しをしようかなぁと悩んでいた。

「お前の妹は今帝都にいるのか?」
「うん、去年からね。ちょうどいいと彼女と手紙の交換して情報とか、試作品の使用を依頼しているんだ」
「試作品?」

 帝都の情報というのもわからなくない。
 帝都は何だかんだ西の大陸、海全土に影響を与える大国である。帝都の動きひとつで公国の立場が変わる可能性はある。
 北にも意識を向けて、帝国にも意識を向けるとはオズワルドも随分と忙しい男である。
 目がいくつあっても足りなそうだが、彼は最近の帝都の様子を見て来たかのように語った。
 妹視点であるが。

「ひとつ言えるのは、例のアメリー夫人。クロのはじめの婚約相手ね。彼女がアルベルに来なくて良かった」

 オズワルドは心から思った。

「婚約の話が出た時は帝都から来るんだ程度しか思わなかったけど、1年の間であそこまでモンスター化するとはおそれいったよ」

 彼にしては随分と毒を含めた評価だった。
 もし、アメリーがアルベルへ嫁いで来たらどうなっていただろうか。
 彼女はアルベルに特に関心は向けなかっただろうが、贅沢を好み公都の社交界を荒し回っていたかもしれない。
 そうなれば折角アルベル辺境伯領へ支援してくれた貴族たちがそっぽ向いていた。

「僕の研究費が削られていたと思うと、他人事じゃないよ」
「お前の研究か」

 オズワルドの研究は多岐にわたり、一部は弟子に委託して行わせている。彼の研究成果のほとんどはアルベルに奴だっている。
 毒を吐く魔物から身を護るマスク、精神に影響を与える不快な音を出す魔物を退治するときに使用する音をゆるやかにする道具、深く雪に閉ざされた道を整備するための道具。
 彼の研究のおかげでアルベルでの生活はだいぶ楽になったといっていい。

「ここでは試用すればよかったじゃないか」
「帝都が見舞われている惨事をみて対策した道具だから、効果は帝都で試したいのさ」

 どういう意味だとクロードは首を傾げた。今のところ帝都は平和であろう。北の脅威にさらされやすいアルベルよりもずっと。

「くしゅん」

 春とはいえ、まだ風が冷たくライラのくしゃみを聞きクロードは上着を脱ぎ彼女にかけた。暖かい部屋へと一緒に行き、ソファでくつろいだ。
 ライラは先ほどオズワルドから渡された手紙の内容を読んでいた。

「オズの妹は何といっていた」
「元気にしているかという内容です。後は、せっかく帝都に来たのに私と入れ違いになったのが悔しいと」

 オズワルドの妹とは思えない程の感情的な女性のようである。
 オズワルドにそっくりな女性が言っていると思えば、クロードは無意識に笑みがこぼれた。

「彼女は将来的にいくつか事業をおこすことを考えているようです」
「どんな?」
「家具のコーディネーターです」

 客の要望に応えて、必要な家具をとりそろえ居住空間を彩る仕事である。ジュリアの大叔母は個人的なつきあいを持つ貴族に対して請け負っていたようだ。
 イセナは南と東の国との貿易が盛んである。国内でも人気のある格式高い聖国や、東のエキゾチックな雰囲気を持つ家具は人気が高かった。イセナのブラック=バルト伯爵家はそれで財を成していた。
 いつ頃だったか、ライラの実家の本家との繋がりが強いのはこの貿易のおかげである。
 一部の恩恵を受ける代わりにスワロウテイル公爵家はイセナの船上の護衛の仕事を請け負っていた。
 長い間のビジネスパートナーといっていい。
 ライラの父親はその仕事でイセナを訪れ、母に出会ったのである。

「いろいろあるんだな」

 クロードはアルベルの生活と修道院時代の生活くらいしかわからない。公都は必要最低限の滞在のみであった。

「その木箱はなんだ?」
「結婚祝いのようです」

 ライラは嬉しそうに木箱を開けた。中に入っていたのは美しい水晶の竜の像であった。
 手のひらにのる小さいものであるが、光できらきらと輝いて綺麗である。
 アルベルの護竜のことを知っていたようで、それに似たものを選んだようだ。

「嬉しい……」

 ライラはぐずっと涙をこぼした。クロードはライラを見つめる。

「すみません。お母さまが死んでから、ジュリアとは疎遠になってしまって……こうして再び手紙のやり取りができて嬉しくて」

 ライラは涙を拭いた。
 ジュリアはどう手紙に書いてよかったかわからずそのままになっていたことを手紙で詫びていた。
 それはライラも同じである。自分も彼女に手紙を書くのが辛かった。書こうと思えば、ジュリアの負担になることを吐き出してしまいそうだ。

「それなら返事を書けばいい。お礼の品は買いに行こう」

 一緒にと付け加えるとライラはこくりと頷いた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~

藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――  子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。  彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。 「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」  四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。  そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。  文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!? じれじれ両片思いです。 ※他サイトでも掲載しています。 イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?

雨宮羽那
恋愛
 元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。 ◇◇◇◇  名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。  自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。    運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!  なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!? ◇◇◇◇ お気に入り登録、エールありがとうございます♡ ※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。 ※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。 ※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))

処理中です...