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5章
6 カタリーナ姫
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ディルクはふぅっと息を吐いた。
村が人狼によって破壊され、人狼になったニコルは実はカタリーナ姫であったり、キルケ森の家は気づけばトーマスの親父の研究所に変わり果てるとは。
驚きがついていけなかった。
「しかし、研究に没頭している間に村がたいへんなことになっているとは」
娘から聞かされた村の惨状にさすがにトーマスの親父は動揺を隠せなかった。ちらりと家の周囲にいる狼をみつめて言う。
「ここの狼たちは大丈夫なのか?」
「ここにいる狼は人を襲わないよ。獣肉を手に入れれば大人しいし、人が領域を荒らさなければ問題ないよ」
トーマスの親父の疑問にイルザはすぐに答えた。
彼女の手には筆が握られすらすらと紙に文章を書き連ねていた。
「ほら、ここの文はこう読むの」
解読するのに苦労した文章をあっさりと読み解いてもらい、トーマスの親父はおおいに満足した。
「結構詳しいんだね。古語は」
「ヨハンナに文章を教えてもらったし、勉強道具がほとんど古語で書かれていたからね。基本的に古い文法には慣れているの」
トーマスの親父が陣取っている部屋の多くが古語で書かれたものであった。
このヨハンナが管理している家にある大量の書物をここに持ち込んでいるようだ。
「ディルク、君が見聞きしたことを教えてくれないか。村でどんなことがあったのか」
1か月の間にこの家で過ごしていたトーマスの親父にとって村の現状は気になってしょうがなかった。
カタリーナ姫研究の為に人目を避けている偏屈者であるが、決して村を愛していないというわけではなかった。
問題ある場所は多々あるにしても幼い頃から過ごした故郷でありそれなりの愛着はあった。
ディルクから村の惨状とカリスと人狼になったニコル、またニコル自身がカタリーナ姫であったという事実にトーマスの親父は驚きため息をついた。
「ニコルちゃんがカタリーナ姫。それは本当かい?」
「ええ、あのカリスが恭し気に頭を下げて礼を尽くしていた。本物のようです」
「なるほど、ということは、ヨハンナはニコルちゃんのことに気づいていたのだろうな」
突然のヨハンナの話にディルクは首を傾げた。
「ああ、この家で過ごすようになる時、いろいろと村のこととニコルちゃんについて聞いてきたんだ。誘拐する程気に入ったのだろうと差し障りないことを教えるとヨハンナは満足して笑っておった。そしてこういっていたな」
――ますますこの家は不要になったわね。
その笑顔はどこか寂し気なように感じられた。
トーマスの親父はどういうわけだろうと疑問に感じたが、ヨハンナは曖昧にしか答えずそのまま旅へ出てしまった。
「カタリーナ姫の生まれ変わりだと気づいたからあの時誘拐したのだろう。そして、ディルクが危険を顧みず救出に出たことで預けてよいと判断してニコルちゃんを返した。そしてニコルちゃんが今後ディルクと一緒になるかもしれないと知り満足した」
カタリーナ姫は人として生まれ変わり、人として幸せになれるのならばこれ以上前世の関係者が何をしようにも無駄なことだと。
そうヨハンナは実感してこの家を手放すことにした。
トーマスの親父はそのように解釈を述べた。
「そうか」
確かにそう考えれば彼女の不審な行動が理解できる。
しかし、予想外に生き残ったカリスの執念によりニコルは人狼にされ、それにより村の惨事が起き人々はニコルへ敵意を向けた。
村の者たちとしては村を守るための行動であったが、傷つけられたニコルの中で眠っていたカタリーナ姫は目覚めてしまった。
「ところでジルケから聞いたんだけど、カタリーナ姫の資料の中に気になる名前があると」
「おお、もう聞いたのか。うむうむ」
トーマスの親父はすぐに書を取り出した。それは古い日記であった。
「この中にカタリーナ姫が生きていた頃のことが詳細に描かれていた。カタリーナ姫の交流に関しても」
その交流者の中で気を許した友人がいた。
村の少女ニコル・ツェペ。
ニコルは幼い頃に母が病で倒れ、弟たちの面倒をみて、家事と農業を手伝う少女であった。
家が忙しくて満足に学校へ通えない少女で、周囲から馬鹿にされる日々を送っていた。
家は貧しくて薬を買うお金も医者に診察をお願いすることもできなかった彼女は母の為にカタリーナ姫の家を訪ねた。
少女の足で深い森に入るのは非常に危険である。そこで出会ったのがカタリーナ姫であった。
カタリーナ姫はニコルの話を聞き快く引き受けた。
そして、彼女の家を赴き母親の診察をしわざわざその場で調合をしてくれた。
そこからニコルはカタリーナ姫の家を訪れるようになった。
ニコルがいつも手に持つのはわずかな果物類。
貧しい彼女にとってようやく出せる礼はそれだけであった。
カタリーナ姫はそれを嬉しそうに受け取り、何か月もニコルの母の為に薬を調合してきた。
その甲斐ありニコルの母は少しずつ元気になっていった。
ニコルはこれに感謝し、せめてもの感謝の為にカタリーナ姫の手伝いをするようになった。
それは彼女と一緒に薬草積みをすることである。
次第にニコルも薬草について詳しくなってきて、薬草摘みで生計を立てられるようになっていた。
これに目をつけたのは村長の子供のアルベルト・アルトナーであった。
彼の家は古くからの学者の家であり、森の薬草の豊富さに目をつけて研究していた。
ニコルに薬草を摘みにいかせ、摘んだ薬草で研究していた。
しかし、途中で研究に行き詰まり、気晴らしにニコルとともに薬草摘みにでかけることがしばしばであった。
その時にアルベルトはカタリーナ姫に近づいた。
森の奥に棲む魔女との遭遇にアルベルトははじめ恐怖したが、ニコルと仲良く話す彼女は少女そのものの姿でありすぐに気を許した。
それにアルベルトですら驚くほど薬草に詳しく、よく意見を交換するようになった。
カタリーナ姫はこのことを非常に喜んでいた。
なぜなら今までカタリーナ姫にここまで接触をしてくれる人はいなかったからだ。
薬つくりを得意とし、古くから村に言われるまま薬を作り感謝されていた。
しかし、恐ろしい魔女として恐れられていたのをカタリーナ姫は知っていた。
その彼女を恐れずに接してくれるニコルとアルベルトの存在に深く感謝し、彼女は薬草の研究を共に進めていった。
しかし、途中でニコルは病に倒れてしまう。
当時死の病といわれていた黒皮病であった。
ニコルはすぐに隔離され、暗い部屋の中でもがき苦しみを味わった。
カタリーナ姫はこのことを聞き、彼女の様子を何度も確認し黒皮病の治療薬を一から研究した。
しかし、一時しのぎの痛み止め、解熱の効果しか持たず治癒に繋げることはできなかった。
そうしているうちにニコルは弱っていき発病から5日目に死んでしまった。
カタリーナ姫はこれに深く悲しみ、ますます黒皮病の研究に没頭した。
侍女や護衛を連れては険しい山に登り薬草集めをしその効能を研究して調合を試みた。
カタリーナ姫は薬を開発するごとアルベルトにみせ、アルベルトは村の新しく隔離された患者にそれを飲ませてた。
十年の月日を費やしようやく完成することができた。
ルネス草をはじめ多くの薬草の製剤を試み完成した黒皮病の特効薬を。
患者に飲ませると3日後に治癒傾向へ至ったのだ。
中には一週間かかった者もいた。体力が持たずに死んだ者もいた。
しかし、この薬の開発は大きな進歩であった。
早速それを持ちアルベルトは町の方へ持ち出した。
薬の材料・製剤方法は広まりあちこちで黒皮病治癒の報告が届けられた。
その薬の製作者はカタリーナ姫ではなくアルベルト・アルトナーと世間では認識されていた。
そしてアルベルトもそのようにふるまった。
ある日、戻ってきたアルベルトはカタリーナ姫の元へ訪れ、まずは自分が特効薬の製作者であると吹聴したことをわびた。
カタリーナ姫は特に気に留めていなかった。
彼女には名誉というものは別に必要なかったのだ。
特効薬の知識は多くの人の手に渡りさらに改良されていくだろう。
それによりもっと良い薬ができあがる。
友人の命を奪った病が克服されるということに彼女は喜んでいた。
アルベルトはせめてものお礼にと都市部で助かった人々の姿をみせたいとカタリーナ姫を案内した。
カタリーナ姫は従者に内緒でアルベルトについていった。
しかし、都市部について待っていたのは異端審問会の者たちであった。
彼らはカタリーナ姫を捕らえ、異端裁判にかけた。
人狼の従者たちは姫を救うべく追いかけたが、それに網を張っていたように多くの異端審問会の戦士たちが待ち伏せし姫の元へたどり着けなかった。
そして有罪判決をくだされた彼女は磔にされ多くの槍で胸を貫かれその上で焼かれてしまった。
カタリーナ姫が処刑された同年に村のいくつかの建物が燃やされた。
おそらくそこにカタリーナ姫が関わったすべてを集め燃やさせたのだ。
カタリーナ姫の今までの善行が表出るのはクルス村にとって都合が悪かったから。
クルス村では長い間、カタリーナ姫によって薬を作ってもらいそれにより助けられた者は多くいた。
しかし、それでもカタリーナ姫は人狼の娘であり人とは異質な存在である。
人々は美しい人狼の姫を心のどこかで畏れ距離を置いていた。
それでも医者に恵まれず町から長期で滞在してくれる医者を雇うにはあまりに鄙びた土地であり、人々はカタリーナ姫の薬学の知識に頼らざるをえなかった。
日記の内容、カタリーナ姫が異端者として処刑されるまでの人狼視点の話を聞きディルクは複雑な表情を浮かべた。
村が人狼によって破壊され、人狼になったニコルは実はカタリーナ姫であったり、キルケ森の家は気づけばトーマスの親父の研究所に変わり果てるとは。
驚きがついていけなかった。
「しかし、研究に没頭している間に村がたいへんなことになっているとは」
娘から聞かされた村の惨状にさすがにトーマスの親父は動揺を隠せなかった。ちらりと家の周囲にいる狼をみつめて言う。
「ここの狼たちは大丈夫なのか?」
「ここにいる狼は人を襲わないよ。獣肉を手に入れれば大人しいし、人が領域を荒らさなければ問題ないよ」
トーマスの親父の疑問にイルザはすぐに答えた。
彼女の手には筆が握られすらすらと紙に文章を書き連ねていた。
「ほら、ここの文はこう読むの」
解読するのに苦労した文章をあっさりと読み解いてもらい、トーマスの親父はおおいに満足した。
「結構詳しいんだね。古語は」
「ヨハンナに文章を教えてもらったし、勉強道具がほとんど古語で書かれていたからね。基本的に古い文法には慣れているの」
トーマスの親父が陣取っている部屋の多くが古語で書かれたものであった。
このヨハンナが管理している家にある大量の書物をここに持ち込んでいるようだ。
「ディルク、君が見聞きしたことを教えてくれないか。村でどんなことがあったのか」
1か月の間にこの家で過ごしていたトーマスの親父にとって村の現状は気になってしょうがなかった。
カタリーナ姫研究の為に人目を避けている偏屈者であるが、決して村を愛していないというわけではなかった。
問題ある場所は多々あるにしても幼い頃から過ごした故郷でありそれなりの愛着はあった。
ディルクから村の惨状とカリスと人狼になったニコル、またニコル自身がカタリーナ姫であったという事実にトーマスの親父は驚きため息をついた。
「ニコルちゃんがカタリーナ姫。それは本当かい?」
「ええ、あのカリスが恭し気に頭を下げて礼を尽くしていた。本物のようです」
「なるほど、ということは、ヨハンナはニコルちゃんのことに気づいていたのだろうな」
突然のヨハンナの話にディルクは首を傾げた。
「ああ、この家で過ごすようになる時、いろいろと村のこととニコルちゃんについて聞いてきたんだ。誘拐する程気に入ったのだろうと差し障りないことを教えるとヨハンナは満足して笑っておった。そしてこういっていたな」
――ますますこの家は不要になったわね。
その笑顔はどこか寂し気なように感じられた。
トーマスの親父はどういうわけだろうと疑問に感じたが、ヨハンナは曖昧にしか答えずそのまま旅へ出てしまった。
「カタリーナ姫の生まれ変わりだと気づいたからあの時誘拐したのだろう。そして、ディルクが危険を顧みず救出に出たことで預けてよいと判断してニコルちゃんを返した。そしてニコルちゃんが今後ディルクと一緒になるかもしれないと知り満足した」
カタリーナ姫は人として生まれ変わり、人として幸せになれるのならばこれ以上前世の関係者が何をしようにも無駄なことだと。
そうヨハンナは実感してこの家を手放すことにした。
トーマスの親父はそのように解釈を述べた。
「そうか」
確かにそう考えれば彼女の不審な行動が理解できる。
しかし、予想外に生き残ったカリスの執念によりニコルは人狼にされ、それにより村の惨事が起き人々はニコルへ敵意を向けた。
村の者たちとしては村を守るための行動であったが、傷つけられたニコルの中で眠っていたカタリーナ姫は目覚めてしまった。
「ところでジルケから聞いたんだけど、カタリーナ姫の資料の中に気になる名前があると」
「おお、もう聞いたのか。うむうむ」
トーマスの親父はすぐに書を取り出した。それは古い日記であった。
「この中にカタリーナ姫が生きていた頃のことが詳細に描かれていた。カタリーナ姫の交流に関しても」
その交流者の中で気を許した友人がいた。
村の少女ニコル・ツェペ。
ニコルは幼い頃に母が病で倒れ、弟たちの面倒をみて、家事と農業を手伝う少女であった。
家が忙しくて満足に学校へ通えない少女で、周囲から馬鹿にされる日々を送っていた。
家は貧しくて薬を買うお金も医者に診察をお願いすることもできなかった彼女は母の為にカタリーナ姫の家を訪ねた。
少女の足で深い森に入るのは非常に危険である。そこで出会ったのがカタリーナ姫であった。
カタリーナ姫はニコルの話を聞き快く引き受けた。
そして、彼女の家を赴き母親の診察をしわざわざその場で調合をしてくれた。
そこからニコルはカタリーナ姫の家を訪れるようになった。
ニコルがいつも手に持つのはわずかな果物類。
貧しい彼女にとってようやく出せる礼はそれだけであった。
カタリーナ姫はそれを嬉しそうに受け取り、何か月もニコルの母の為に薬を調合してきた。
その甲斐ありニコルの母は少しずつ元気になっていった。
ニコルはこれに感謝し、せめてもの感謝の為にカタリーナ姫の手伝いをするようになった。
それは彼女と一緒に薬草積みをすることである。
次第にニコルも薬草について詳しくなってきて、薬草摘みで生計を立てられるようになっていた。
これに目をつけたのは村長の子供のアルベルト・アルトナーであった。
彼の家は古くからの学者の家であり、森の薬草の豊富さに目をつけて研究していた。
ニコルに薬草を摘みにいかせ、摘んだ薬草で研究していた。
しかし、途中で研究に行き詰まり、気晴らしにニコルとともに薬草摘みにでかけることがしばしばであった。
その時にアルベルトはカタリーナ姫に近づいた。
森の奥に棲む魔女との遭遇にアルベルトははじめ恐怖したが、ニコルと仲良く話す彼女は少女そのものの姿でありすぐに気を許した。
それにアルベルトですら驚くほど薬草に詳しく、よく意見を交換するようになった。
カタリーナ姫はこのことを非常に喜んでいた。
なぜなら今までカタリーナ姫にここまで接触をしてくれる人はいなかったからだ。
薬つくりを得意とし、古くから村に言われるまま薬を作り感謝されていた。
しかし、恐ろしい魔女として恐れられていたのをカタリーナ姫は知っていた。
その彼女を恐れずに接してくれるニコルとアルベルトの存在に深く感謝し、彼女は薬草の研究を共に進めていった。
しかし、途中でニコルは病に倒れてしまう。
当時死の病といわれていた黒皮病であった。
ニコルはすぐに隔離され、暗い部屋の中でもがき苦しみを味わった。
カタリーナ姫はこのことを聞き、彼女の様子を何度も確認し黒皮病の治療薬を一から研究した。
しかし、一時しのぎの痛み止め、解熱の効果しか持たず治癒に繋げることはできなかった。
そうしているうちにニコルは弱っていき発病から5日目に死んでしまった。
カタリーナ姫はこれに深く悲しみ、ますます黒皮病の研究に没頭した。
侍女や護衛を連れては険しい山に登り薬草集めをしその効能を研究して調合を試みた。
カタリーナ姫は薬を開発するごとアルベルトにみせ、アルベルトは村の新しく隔離された患者にそれを飲ませてた。
十年の月日を費やしようやく完成することができた。
ルネス草をはじめ多くの薬草の製剤を試み完成した黒皮病の特効薬を。
患者に飲ませると3日後に治癒傾向へ至ったのだ。
中には一週間かかった者もいた。体力が持たずに死んだ者もいた。
しかし、この薬の開発は大きな進歩であった。
早速それを持ちアルベルトは町の方へ持ち出した。
薬の材料・製剤方法は広まりあちこちで黒皮病治癒の報告が届けられた。
その薬の製作者はカタリーナ姫ではなくアルベルト・アルトナーと世間では認識されていた。
そしてアルベルトもそのようにふるまった。
ある日、戻ってきたアルベルトはカタリーナ姫の元へ訪れ、まずは自分が特効薬の製作者であると吹聴したことをわびた。
カタリーナ姫は特に気に留めていなかった。
彼女には名誉というものは別に必要なかったのだ。
特効薬の知識は多くの人の手に渡りさらに改良されていくだろう。
それによりもっと良い薬ができあがる。
友人の命を奪った病が克服されるということに彼女は喜んでいた。
アルベルトはせめてものお礼にと都市部で助かった人々の姿をみせたいとカタリーナ姫を案内した。
カタリーナ姫は従者に内緒でアルベルトについていった。
しかし、都市部について待っていたのは異端審問会の者たちであった。
彼らはカタリーナ姫を捕らえ、異端裁判にかけた。
人狼の従者たちは姫を救うべく追いかけたが、それに網を張っていたように多くの異端審問会の戦士たちが待ち伏せし姫の元へたどり着けなかった。
そして有罪判決をくだされた彼女は磔にされ多くの槍で胸を貫かれその上で焼かれてしまった。
カタリーナ姫が処刑された同年に村のいくつかの建物が燃やされた。
おそらくそこにカタリーナ姫が関わったすべてを集め燃やさせたのだ。
カタリーナ姫の今までの善行が表出るのはクルス村にとって都合が悪かったから。
クルス村では長い間、カタリーナ姫によって薬を作ってもらいそれにより助けられた者は多くいた。
しかし、それでもカタリーナ姫は人狼の娘であり人とは異質な存在である。
人々は美しい人狼の姫を心のどこかで畏れ距離を置いていた。
それでも医者に恵まれず町から長期で滞在してくれる医者を雇うにはあまりに鄙びた土地であり、人々はカタリーナ姫の薬学の知識に頼らざるをえなかった。
日記の内容、カタリーナ姫が異端者として処刑されるまでの人狼視点の話を聞きディルクは複雑な表情を浮かべた。
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