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1章

序 赤ずきんと呼ばれた狩人

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 古くよりこのメリル国は人狼の害に苦しんでいた。

 人狼。
 人の姿にも狼の姿にもなれる獣、人の血肉を好む化け物である。

 そんな化け物を退治する為、生まれたのが狩人という存在である。

 狩人。
 人狼、それに近い類の魔女、吸血鬼とも戦えるように教育された戦士たち。彼らは特異な力を生かし、人狼に対抗した。

 それは400年前からのことである。彼らは幾度となく異端者と争ってきた。
 苛烈で大規模な戦いとなった時期が何度とあり、それを異端戦争と呼んだ。

 最近起きた異端戦争は10年前の四次異端戦争である。
 その時、人狼を最も多く狩った少年がいた。十代の少年とは思えない程の身体能力で狩った人狼の数は100、いや1000とも言われている。

 他の狩人や人々からは『赤ずきん』と呼んだ。

 由来は彼が赤いフード付きのコートを頭からすっぽり着こんでいたからという。
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