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番外編
滅びゆくざまぁ計画
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ローズマリーの部屋には鏡がある。
ただの鏡ではない。
質問に答えてくれる魔法の鏡であった。
「鏡よ、鏡。アリーシャ様に最も近しい淑女はだあれ?」
ローズマリーはわくわくしながら質問する。
「はい、ローズマリー様。お答えしましょう」
鏡から男性とした声が出てくる。
「アリーシャ様に近しい淑女、それはドロシーです」
「何ですって!」
納得いかないとローズマリーは鏡に詰め寄った。
「昨日まで私だったじゃない。どういうことなの」
毎日朝夕と欠かさず尋ねるのが日課であった。
ややヒステリックになり侍女がとめに入る。
「ドロシーというのは最近赴任してきたアリーシャ様の専属侍女、元はベルタ宮の侍女だったようです」
「どうして、いじわるエリーはどこへ行ったのっ!」
「ドロシーと入れ替わりになったようです。そこの侍女頭がエリーをびしばし鍛えると燃えていました」
「いつか彼女をざまぁする計画が」
アリーシャをいじめていた侍女のエリーのことはローズマリーも知っていた。彼女を何とか引きずりおろそうと考えていたが、証拠が全くつかめずにいる。背景に他の組織(花姫)が関わっていた為ローズマリーでも手を出せずにいた。
「敗因はローズマリー様が鏡の前でざまぁの練習ばかりしていたからでしょう。ようは勢いです」
そんな練習ばかりしているならアリーシャと交流を深めるなどすればよかったのだ。侍女の付け加えにローズマリーはぽっと頬を赤らめる。
「そんな、………勢いだなんて。ようやくお茶会に招待するようになったばかりなのに」
別に同じ女なんだから問題ないだろう。いや、問題あった。
「ちなみにローズマリー様がこつこつ証拠集めしていた教員の資金着服の件ですが、すでにジベール様の耳に入り、教員たちは解雇となっております」
「そのざまぁ計画も消えてしまったの」
ローズマリーはわなわなと震えた。
頭の中でさっそうと現れてアリーシャをいじめる侍女、教師らをざまぁする計画であった。
(ここはローズマリーの頭の中に存在する世界)
「くっ、なんかざまぁされたざます。アリーシャ様申し訳ありません」
いじめていた侍女と教員たちはその場に崩れ自分の非を詫びた。
どうしていいかわらないアリーシャの前にローズマリーは優しく声をかける。
「もう大丈夫ですよ。アリーシャ様」
「ローズマリー様。でもどうしてあなたが私を助けてくれたの?」
今にも泣きそうな潤んだ瞳でアリーシャはうっとりとローズマリーをみつめてくる。
「実は私、以前からアリーシャ様のこと」
「そんな、私も実は………」
「これからは私のことをお姉さまとお呼びください」
「はい、お姉さま」
その時微笑まれたアリーシャのかわいらしさときたらローズマリーは幸せで爆発しそうであった。
「おめでとう、ローズマリー様、アリーシャ様。二人の花姫に祝福を」
周りの者たちは二人を盛大に拍手した。鐘が鳴り響き、ライスシャワーが降りかかる。
(そして現実世界へと戻る)
可愛い。想像しただけでアリーシャ様が可愛くて仕方ない。現実のアリーシャ様はもっと可愛いけど。
その辺に散らばったローズマリーの妄想の産物のアリーシャ画像は侍女たちが拾い片付けている。
「カメリアの花姫ってこのように笑う方だったかしら」
「っし、ローズマリー様の妄想よ。できる侍女というのは主人の異常癖にも動じず黙って片付けるものなのよ」
片付ける侍女たちはひそひそと話しているがローズマリーはそんなこと気にしていなかった。
よく考えればアリーシャの環境が改善されたので喜ばしいことである。
残る問題はヴィクター王太子であった。
王太子に関しては王妃の目をかいくぐり徹底的に教育する計画だった。ただ王妃は何気に勘が鋭くうまくいかない。
「はぁ、一体どうすればいいのかしら。鏡よ」
「ほら、鏡の前でいつまでもざまぁ練習していないで身支度整えてください。アリーシャ様が湖の庭の方へ散歩にでかけたという情報をキャッチしました」
侍女の耳元でひそひそと囁く若手の侍女の姿がそこにあった。
「わかったわ。ざまぁは頓挫してしまったけど、今度はアリーシャ様と仲良くなる計画を」
「その意気でございます。既にボート遊びの手配を行っております。自然に、エレガントにお誘いくださいませ」
ちなみに回帰前はローズマリーが着々とざまぁ計画を建てていた間に毒を盛られていた。
今回の世界ではローズマリーの生活が平和であらんことを。
◇ ◇ ◇
ちなみに本編にそんな鏡などない。
ただの鏡ではない。
質問に答えてくれる魔法の鏡であった。
「鏡よ、鏡。アリーシャ様に最も近しい淑女はだあれ?」
ローズマリーはわくわくしながら質問する。
「はい、ローズマリー様。お答えしましょう」
鏡から男性とした声が出てくる。
「アリーシャ様に近しい淑女、それはドロシーです」
「何ですって!」
納得いかないとローズマリーは鏡に詰め寄った。
「昨日まで私だったじゃない。どういうことなの」
毎日朝夕と欠かさず尋ねるのが日課であった。
ややヒステリックになり侍女がとめに入る。
「ドロシーというのは最近赴任してきたアリーシャ様の専属侍女、元はベルタ宮の侍女だったようです」
「どうして、いじわるエリーはどこへ行ったのっ!」
「ドロシーと入れ替わりになったようです。そこの侍女頭がエリーをびしばし鍛えると燃えていました」
「いつか彼女をざまぁする計画が」
アリーシャをいじめていた侍女のエリーのことはローズマリーも知っていた。彼女を何とか引きずりおろそうと考えていたが、証拠が全くつかめずにいる。背景に他の組織(花姫)が関わっていた為ローズマリーでも手を出せずにいた。
「敗因はローズマリー様が鏡の前でざまぁの練習ばかりしていたからでしょう。ようは勢いです」
そんな練習ばかりしているならアリーシャと交流を深めるなどすればよかったのだ。侍女の付け加えにローズマリーはぽっと頬を赤らめる。
「そんな、………勢いだなんて。ようやくお茶会に招待するようになったばかりなのに」
別に同じ女なんだから問題ないだろう。いや、問題あった。
「ちなみにローズマリー様がこつこつ証拠集めしていた教員の資金着服の件ですが、すでにジベール様の耳に入り、教員たちは解雇となっております」
「そのざまぁ計画も消えてしまったの」
ローズマリーはわなわなと震えた。
頭の中でさっそうと現れてアリーシャをいじめる侍女、教師らをざまぁする計画であった。
(ここはローズマリーの頭の中に存在する世界)
「くっ、なんかざまぁされたざます。アリーシャ様申し訳ありません」
いじめていた侍女と教員たちはその場に崩れ自分の非を詫びた。
どうしていいかわらないアリーシャの前にローズマリーは優しく声をかける。
「もう大丈夫ですよ。アリーシャ様」
「ローズマリー様。でもどうしてあなたが私を助けてくれたの?」
今にも泣きそうな潤んだ瞳でアリーシャはうっとりとローズマリーをみつめてくる。
「実は私、以前からアリーシャ様のこと」
「そんな、私も実は………」
「これからは私のことをお姉さまとお呼びください」
「はい、お姉さま」
その時微笑まれたアリーシャのかわいらしさときたらローズマリーは幸せで爆発しそうであった。
「おめでとう、ローズマリー様、アリーシャ様。二人の花姫に祝福を」
周りの者たちは二人を盛大に拍手した。鐘が鳴り響き、ライスシャワーが降りかかる。
(そして現実世界へと戻る)
可愛い。想像しただけでアリーシャ様が可愛くて仕方ない。現実のアリーシャ様はもっと可愛いけど。
その辺に散らばったローズマリーの妄想の産物のアリーシャ画像は侍女たちが拾い片付けている。
「カメリアの花姫ってこのように笑う方だったかしら」
「っし、ローズマリー様の妄想よ。できる侍女というのは主人の異常癖にも動じず黙って片付けるものなのよ」
片付ける侍女たちはひそひそと話しているがローズマリーはそんなこと気にしていなかった。
よく考えればアリーシャの環境が改善されたので喜ばしいことである。
残る問題はヴィクター王太子であった。
王太子に関しては王妃の目をかいくぐり徹底的に教育する計画だった。ただ王妃は何気に勘が鋭くうまくいかない。
「はぁ、一体どうすればいいのかしら。鏡よ」
「ほら、鏡の前でいつまでもざまぁ練習していないで身支度整えてください。アリーシャ様が湖の庭の方へ散歩にでかけたという情報をキャッチしました」
侍女の耳元でひそひそと囁く若手の侍女の姿がそこにあった。
「わかったわ。ざまぁは頓挫してしまったけど、今度はアリーシャ様と仲良くなる計画を」
「その意気でございます。既にボート遊びの手配を行っております。自然に、エレガントにお誘いくださいませ」
ちなみに回帰前はローズマリーが着々とざまぁ計画を建てていた間に毒を盛られていた。
今回の世界ではローズマリーの生活が平和であらんことを。
◇ ◇ ◇
ちなみに本編にそんな鏡などない。
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