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「…その質問、後で答えてはいけませんか?」
何とか誤魔化そうとしたが、何を言っても彼は納得しないだろうと思い、俺は回答を先延ばしにした。
本当のことを話すには場が悪すぎる。
少なくとも彼らの前では明かせない。
「その、王族の秘密に関わることなので、彼らと言えど知られるわけにはいかないんです」
なので尤もらしいことを口にしてなんとかこの場をやり過ごそうとする。
「わかりました。では彼らには席を外してもらいましょう」
須藤君も自分が答えを聞けるならとそれを了承し、皆に部屋を出るよう告げる。
王族でありこの船の主でもある彼の命令は絶対なので、皆は後ろ髪を引かれるようではあったが逆らわずに部屋を出た。
ハーピスを除いて。
「あの、ハーピスさん?話、聞いてました?」
堂々と俺の横で腕を組んで立っているハーピスに頼むから出てくれと目で伝えれば、
「だって、王族ならいてもいいんでしょ?」
彼は壁から背を浮かせ、俺と須藤君を交互に見た。
それが確認のためだと正しく読み取った俺が頷けば、「でしょ?」と彼は再び壁に背を預ける。
「なら問題ないよ。俺、エルフ族では一応王子だから」
そして俺も知らないとんでもない爆弾を投下してくれやがった。
なにその設定、どっから来たの?
「え、エルフ族の、王子、ですか?」
須藤君も当然知らなかったわけで、驚いた顔でハーピスを見る。
急いで俺は『エルフ族の王子』と言うワードについて脳内を検索する。
そしてそれを思い出した。
「確か、一族随一の魔法の天才だけど変わり者でエルフの国の外に出たっていう第六くらいの王子がいたような…」
いつか仲間として出そうかなと思って作ったものの活かす機会がなく、そのままお蔵入りしたキャラクター。
名前もなく容姿も未定、どころか今俺が言った設定以外何もないはずの存在。
まさか、その設定がハーピスに引き継がれているというのか。
「あんたほんとよく知ってんね。それ、エルフ族でも一部しか知らない秘匿事項なんだけど」
ハーピスは俺の言葉に驚いているのか呆れているのかわからない顔でそのキャラクターがこの世界に存在していることを肯定した。
「でもそれは俺の兄貴の話。俺は父親にそれを連れ戻すようにって指示された第九王子だよ」
しかしそれは彼ではないらしい。
流石にメインキャラには統合されなかったかと思っていると、
「エルフ族って子沢山なんですね」
須藤君は関係ない所に感心していた。
まあ俺も思ったけども。
「ということで、俺も聞いていいよね?」
ハーピスは俺に向かい念を押すようにもう一度「ね?」と言う。
本当は駄目だが、ここまで言われて断ることは難しいし、もう言い訳が思いつかない。
それに、船は順調に航海している。
あまりのんびりしている時間はない。
「はあ、もうわかりましたよ。好きにしてください。ほんとは王族の秘密でもなんでもありませんし」
俺は重くなった気を吐き出すように大きくため息を吐く。
そしてじろりとハーピスを睨めつけながら強く言った。
「理解できなくても知りませんから。あと、幻滅しても知りませんから!!」
緊張と大声による酸欠で、はあはあと肩で息をしながら、不思議そうな顔をするハーピスと須藤君を改めて見て、
「そこにいるルイス王子が須藤ルイであるように、俺には三根純という前世がある」
この世界で初めてその名を口にした。
何とか誤魔化そうとしたが、何を言っても彼は納得しないだろうと思い、俺は回答を先延ばしにした。
本当のことを話すには場が悪すぎる。
少なくとも彼らの前では明かせない。
「その、王族の秘密に関わることなので、彼らと言えど知られるわけにはいかないんです」
なので尤もらしいことを口にしてなんとかこの場をやり過ごそうとする。
「わかりました。では彼らには席を外してもらいましょう」
須藤君も自分が答えを聞けるならとそれを了承し、皆に部屋を出るよう告げる。
王族でありこの船の主でもある彼の命令は絶対なので、皆は後ろ髪を引かれるようではあったが逆らわずに部屋を出た。
ハーピスを除いて。
「あの、ハーピスさん?話、聞いてました?」
堂々と俺の横で腕を組んで立っているハーピスに頼むから出てくれと目で伝えれば、
「だって、王族ならいてもいいんでしょ?」
彼は壁から背を浮かせ、俺と須藤君を交互に見た。
それが確認のためだと正しく読み取った俺が頷けば、「でしょ?」と彼は再び壁に背を預ける。
「なら問題ないよ。俺、エルフ族では一応王子だから」
そして俺も知らないとんでもない爆弾を投下してくれやがった。
なにその設定、どっから来たの?
「え、エルフ族の、王子、ですか?」
須藤君も当然知らなかったわけで、驚いた顔でハーピスを見る。
急いで俺は『エルフ族の王子』と言うワードについて脳内を検索する。
そしてそれを思い出した。
「確か、一族随一の魔法の天才だけど変わり者でエルフの国の外に出たっていう第六くらいの王子がいたような…」
いつか仲間として出そうかなと思って作ったものの活かす機会がなく、そのままお蔵入りしたキャラクター。
名前もなく容姿も未定、どころか今俺が言った設定以外何もないはずの存在。
まさか、その設定がハーピスに引き継がれているというのか。
「あんたほんとよく知ってんね。それ、エルフ族でも一部しか知らない秘匿事項なんだけど」
ハーピスは俺の言葉に驚いているのか呆れているのかわからない顔でそのキャラクターがこの世界に存在していることを肯定した。
「でもそれは俺の兄貴の話。俺は父親にそれを連れ戻すようにって指示された第九王子だよ」
しかしそれは彼ではないらしい。
流石にメインキャラには統合されなかったかと思っていると、
「エルフ族って子沢山なんですね」
須藤君は関係ない所に感心していた。
まあ俺も思ったけども。
「ということで、俺も聞いていいよね?」
ハーピスは俺に向かい念を押すようにもう一度「ね?」と言う。
本当は駄目だが、ここまで言われて断ることは難しいし、もう言い訳が思いつかない。
それに、船は順調に航海している。
あまりのんびりしている時間はない。
「はあ、もうわかりましたよ。好きにしてください。ほんとは王族の秘密でもなんでもありませんし」
俺は重くなった気を吐き出すように大きくため息を吐く。
そしてじろりとハーピスを睨めつけながら強く言った。
「理解できなくても知りませんから。あと、幻滅しても知りませんから!!」
緊張と大声による酸欠で、はあはあと肩で息をしながら、不思議そうな顔をするハーピスと須藤君を改めて見て、
「そこにいるルイス王子が須藤ルイであるように、俺には三根純という前世がある」
この世界で初めてその名を口にした。
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