雄っぱい野郎に迫られてます

5.雄っぱいに一目惚れ

　
「あっうぁ……お、まえ、デカすぎるからっ、ちっちゃくしろよぉ……っ」

「うっ！　か、カオル……あまり可愛い事を言わないでくれっ！」

「ひぁっ、だからっ、でかくすんなってバカダイチ……っ！」

　揺さぶられて下から突き上げられて粘稠性の卑猥な水音が風呂場に響く。
　マジか、俺今ダイチとセックスしてんの？
　初めてでこれってどうなんだ。相手は男、てかダイチだし、風呂場で正面から抱えられてするのってけっこうきついんだけど。
　普通初めては後ろからとか、せめてベッドでしたかった。
　いやムキムキ雄っぱい野郎とセックスしてる事自体がありえないんだけどな。

「んあっ！　やぁっあ、あ……っ」

　早く終わってくれと願っていたら、ダイチのものが中のバカみたいに感じてしまう所を突いて悲鳴に近い喘ぎ声が上がる。

「ふぁっ、あぅっあ、あ、あっ、だめっそこ、あぁあんっ……！」

　俺の声に反応するように中に入ったダイチのものがビクンと脈打って固くなり、そうすると更に中を強く擦られてまた声が上がる悪循環。
　ヒートアップする熱に訳が分からなくなってきて、ダイチの首に必死にしがみつきながら目の前のたくましすぎる胸に顔を埋めたら妙にホッとした。
　男の胸なのに、ムキムキ筋肉の胸なのに、何で俺は顔を埋めてホッとしてるんだろうか。
　頭の片隅でそう考えるも知ってしまった安心感を今更手放せなくて、これは俺のもんだとぐりぐり顔を押し付けたら頭上から「ぐうっ！」と苦しげな声が聞こえた。

「カオルが……っ、かわいすぎるっ！！」

「んっあぁっ……！！」

　突然最奥を強く突かれて、あまりの強さに視界に星が飛んだと思ったら、腹の中に熱が放たれる感覚を覚える。
　中に出されたのだと理解する前にその熱が妙に気持ちよくて、気がつけば俺も白濁を飛ばしていた。

「はぁ……はっ……んん……」

　達した余韻に浸っていたら、ダイチの大きな手が俺の顎を掴みキスしてきた。
　え、こいつ今片手で俺を抱き上げてんの？　なのにこの安定感って流石だな。筋肉の有効活用だ。
　とか言ってる場合じゃない。こいつ俺に中出ししやがった。

「……お、い……いい加減抜け…………」

「ん……もう少し……」

「もっ、キスもやめろって……あ、や、揺らすな……っ！」

　もう少し、とか言っときながら一向にダイチは俺を離す気配は無くて、出したばかりだと言うのにすでに復活したものがとんとんと俺の中を突いてくる。
　嫌だ嫌だと言いながらも俺はダイチの腰に足を絡めてしまって、ますますダイチを興奮させてしまう。

「ふぁ……あ、んっ……や、せめて、ベッドで……し、たいっ」

「よ、喜んでっ！！」

　やめろって言葉にはまったく反応しなかったくせに、ベッドで、と言う言葉にはそりゃもう嬉しそうに反応した。都合のいい耳だなおい。
　そんでもぉ……散々鳴かされた。ベッドの上だと更に好き勝手された。
　気を失う寸前まで鳴かされて、しかしこのまま気を失ったら朝まで突っ込まれたままにされそうだから最後の気力を振り絞って何とか抜かせる事に成功した。やれば出来るじゃないか俺。
　そんで、俺は今ダイチの腕の中。

「カオル、好きだ……」

「……知っとるわ」

　かすれた声で返事したら、ダイチはチュッとリップ音を残して額にキスをする。
　流石にもう俺が限界だと理解してるらしく、負担がかかることはしてこない。その気遣いをもっと早く欲しかったけどな。

「なぁ……カオルも俺が好きだろ……？」

「……」

　んな訳ねぇだろボケ！　と叫んで殴ってやりたいが、それが出来ない自分がいて、でもそんな事を素直に言えるはずもなく黙っていたら、それでもダイチは嬉しそうに抱きしめてきた。
　なんか悔しい。

「カオル……俺の名前を呼んでくれないか？」

「………ルンルン」

「………」

「………」

「いや、そこはダイチで頼む……」

「お前がルンルンでいいっつったんだろ」

　なんか全部ダイチの思い通りに事が進んでいるのが面白くなくて、俺は精一杯の抵抗を試みる。それは思った以上にダイチにダメージを与えたようだ。
　ザマァみろ好き勝手しやがって。

「じゃあ……じゃあせめて俺の何を好きになったのか教えてくれ！　俺はカオルの文句言いながらも俺を気遣ってくれる所とかちっちゃいのにしっかりしてる所とかちょっと失敗した時に泣きそうになってる所とかもう全部可愛くて好きだ！」

「ちっちゃい言うな！　お前がデカいんだよ」

　声がかすれてるくせに大声を出しちゃって俺はケホっと咳き込む。
　ダイチはそんな俺の背中をさすりながら「睨みつける時に上目遣いになるのも可愛い」と言ってきた。うるさいもう喋るな。
　お前の、ダイチの好きな所……ね。
　そんなの、俺が作って失敗したグラタンを美味い美味いと言って食ってくれた時からなんかもう好きになってたよ。でもそんなの俺がめちゃくちゃチョロい奴みたいじゃないか。
　だから……

「……お前の雄っぱいに一目惚れしたんだよ……」

　とだけ言って、そのたくましい雄っぱいに顔を埋めるのだった。

【end】


　～オマケ～

「さようならだ……」

　ダイチが俺を置いて静かに出ていった。
　きっと俺が悪いのだろう。
　俺が、カレーにピーマンを入れたから……いやこれ俺が悪いか？

「何で追いかけて来ないんだよぉっ！！」

　5分後に泣きながら帰ってきた。
　冷める前に食えよ。

【end】


　～オマケその②～

「カオル、昼ごはんは？」

「昨日食べただろ」

「出来れば毎日食べたいです」

　仕方がないのでピザトーストを作ってやり、ついでにダイチにも作り方を教えた。これぐらいなら自分でも作れるだろう。
　ゆで卵を作っておいてハムや玉葱やトマトやピーマンを切って準備してやればいやこれ自分で作った方が早いな。

「今度俺が作ってやるからな！」

「いややっぱ良いよ俺が作るから」

　こいつ野菜乗せなさそうだし。

【今度こそend】
　

　ここまでお付き合いいただきありがとうございました！