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58.まずは挨拶から?
しおりを挟む「よしまずは女豹のポーズだ」
「しませんよ!」
会って早々、やはり白伊先輩は白伊先輩だ。
とは言え断ったところで先輩が引くはずもなく、気がつけば押しに負けて俺は先輩のリクエストを聞き入れていた。
途中から俺は何で先輩に会いに来たんだっけと思いだしたがもう無だ、無の境地だ。何も考えてはいけない。
部屋が薄暗いのが唯一の救いで、きっと上手く撮れてないだろう事を望みながら後ろ姿や振り向くポーズ、そして最後は先輩と二人で写真を撮ってやっと終った。
「……満足しましたか?」
「まだ足りねぇがとりあえず終わっとくか。今度あの耳の付いたパーカーの写真また送れよ」
「嫌ですよ! 散々撮ったじゃないですか!」
「全部消えたから言ってんだろ……」
「えっ……良かった」
「良くねぇっ!」
朗報に喜んだが、先輩からは怒られた。
いったい俺の写真を何に使う気だ。やはり笑うためか悪趣味だぞ。
とりあえず落ち着いたのならば猫野と夢野に連絡させてほしいと言ったが、話が終わるまで待てと言われた。
二人に紹介したかったのだが、あまり大勢で群れるのは好きでは無いのだろう。
しかし心配しているだろうから『突然消えてごめん、すぐ戻るから』とだけ送っておいた。すぐ既読が付いた所を見るとやはりまだ探してるのだろう。ごめん心配かけて。
「おい……送り終わったか」
「はい終わりま──っ!?」
先輩の声にスマートフォンの画面から顔を上げたら口を塞がれた。
視点が合わないほど間近に先輩の顔があって、キスをされていると気付いた時には強く抱きしめられ逃げられなくなっていた。
「んっ……ふぁっ、んぅっ」
何度もされているとは言えそう簡単に慣れるものではない。
しかも久しぶりだと言うのにしっかり舌も入ってきて、あっという間に舌を絡め取られた。
落としたスマートフォンから通知音が続けて鳴っているが、気にしてられないほど口腔内を蹂躙される。
先輩が満足するまで口付けられた俺は、唇が離れる頃には先輩の腕にすがらないと立っていられないほど呼吸を乱していた。
「………もぉ……っ、何、するんですか……っ」
「ダチの挨拶だろこんなもん、いい加減慣れろ」
ろくに抵抗出来なくなっているのをいい事に、頬を舐められ指先で耳を弄られてゾワゾワとした感覚が背を駆け抜ける。
「ダチの挨拶……」
まだ少しぼぅっとする頭で先輩の言葉を考えるが、これが友人同士の挨拶だと言われても何度経験しようが慣れる自信が無い。
「……でも俺……やっぱり慣れそうに無いって言うか……」
「……まぁ慣れなくても良いけどよ……むしろそのほうが──」
「……何ですか?」
「何でもねぇ……」
「でも今──ひゃああっ!?」
慣れろと言われたり慣れなくて良いと言われたり、結局どうすれば良いのかと問いたいのに、先程から怪しく動いていた先輩の手があらぬ所に到達して悲鳴に近い声しか出なかった。
尻を、揉むように触られている。それに気のせいじゃなければ、尻を揉んでいる指先で器用にスカートをたくし上げている気配があった。
「……先輩、何でスカートたくし上げてるんですか……あと揉まないでください!」
「その為のスカートだろ」
「んな訳ないでしょ! あ、ちょっと……っ!」
「ちっ……パンツは男物かよ」
「当たり前じゃないですかっ!!」
どれだけ俺を変態にしたいんだ。
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