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山奈みちかは祈りだす

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今日も快晴、いい天気。
なんだかすごく久しぶりに喋った気がするけどそれは天の気のせいでしょう。
知らない人のために言うとすれば私は、モブになりたいのです。

「りあちゃん、今日はどこ行こっか」
「かすみ、前にあのクレープ食べたいって言ってたよね。そこはどう?」
「いいの?! やったー!」

わぁい、やったー。
今日も推しの二人は無事に放課後二人でどこかに行くようですねほんと尊い。尊さから光が出てるなら私はもう灰になってる。空に舞って二人の存在をより一層照らしてる。

「なんで私は灰になれないの‥‥!!」
「もう十分にハイになってるよみちかは」
「はっ、ゴンちゃん久しぶり‥‥」
「もうゴンちゃんでいいよ‥‥てか昨日も会ったでしょう」

ゴンちゃん、私のマイフレンド。共に推しを語り合うなんてことはしないけど、かす×りあのために傘を忘れてくれたりいろいろお世話になってます。

「そうだ、この前傘いらないって言って困らせちゃったでしょ? そのお詫びにどこか行こうよ」
「まぁ無事に帰れたわけだし気にはしてないけど‥‥みちかと遊べるならそれもいっかな」

おっと、二人が行くクレープ屋さんには近づかないようにしなければ。放課後クレープ屋さんなんて青春の象徴だもんね。もし近づいたら、それこそアイスみたいに溶けちゃう。

「なんか寒いこと考えてない‥‥?」

明日はまた「昨日は楽しかったね」って話が聞けるのかな。考えるだけでもうご飯三杯いけますよ私。
はぁ、尊い。

「りあちゃん、じゃあ今日はクレープ買っておうちで食べよっか」
「へ?」
「うち近いし、二人でゆっくりお話ししながら食べたいなって‥‥だめ?」

「あっっっ‥‥!」
「わぁ?! 急に鼻血なんか出してどうしたの!」
「だめ! 騒がないでゴンちゃん」
「目の前で友達がそんな鼻血出してたら騒ぐよね普通!!」

なんなの、なんなのその甘すぎる会話。あの可愛いかすみちゃんの「‥‥だめ?」なんてもう、いいよしか返せる未来がない。どこで覚えてきたのそんなの、可愛い。

「はぁ‥‥胸熱」
「暑いからって鼻血出したの?!」
「尊いからだよ、ゴンちゃん」
「何ひとつ理解できないんだけど!」

慌てふためく友達をよそに私は願いを込めて、また目を閉じた。
手を合わせて、祈るように。


「今後も、よろしくお願いします‥‥」


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