95 / 105
乗合馬車
しおりを挟む
「あ、乗ろう。ダタズさんに屋台の売り上げの半分もらったおかげで馬車代も手に入ったし。街を離れても別の街のギルドでも大丈夫だってことだし……急ごう!」
バーヌの手をとって馬車に乗り込む。
乗合馬車の乗客は、自分たちの他には10人くらい。服装からすると、冒険者が半分、商人が半分といったところだろうか。
「そうだ、奴隷から解放されたら、逆にユーキを僕の奴隷にして、好きなだけご主人様って呼んでやるんだ……ご主人様って僕がよんだら、ほっぺをひっぱれって命令すれば今まで通り……」
隣に座ったバーヌがまだ、ぶつぶつと何か言っている。
独り言なんだよね?何を言っているのかよくわからないけれど、ぶつぶつと何か言っているのは聞こえる。
「おお、金狼様が一緒とは心強い」
冒険者っぽい服装をした50代の痩せた男が嬉しそうな顔を見せる。
「はぁ?こいつが?奴隷じゃんっ」
50代の隣にいた、少年と呼べそうな10代後半の男の子がバーヌの手首の奴隷紋を指さして軽蔑した眼差しを向ける。
あ、嫌な感じ。いかにも奴隷を下に見てる。近づかないでおこう。
「まさか、お前は冒険者なのに金狼様を知らないのか?……ったく最近の若い者は……」
と、少年の隣の30代後半の冒険者がやれやれと首をすくめた。
「はっ、どんだけ立派な冒険者だったか知らないが、今は奴隷だろ?奴隷なんて冒険者以下の存在に様を付けるおっさんのがよっぽど気が知れない」
少年がふんっと、自分の主張が正しいと言わんばかりに声をひときわ大きくする。
がしっと、少年の後ろに座っていたガタイのよい女性冒険者が少年の頭をわしづかみにした。
「お前はペーペーだろう。F級か?ナインヘッドドラゴン討伐で最前線で戦っていたA級~C級の冒険者であればそんな口きけるはずないんだが」
ぐりぐりと、手に力を入れているのか、少年の顔がゆがむ。
「ああ、そうだな、あの”怪物”は、金狼なくしては討伐は無理だった。それどころか……あの場にとどめておくことも出来ず、街の一つ二つは壊滅しただろう」
少年の隣の30代の冒険者と50代の冒険者も女性冒険者の言葉に続ける。
「当然、わしらの命があるのも、金狼様のおかげだ」
「ああ、それから、君が準備してくれた造血効果のある変わった薬も助かったよ」
女性がふっと笑った。
少年が女性冒険者を睨み付ける。
「はっ、金狼のおかげ?違うだろう、奴隷に戦うように命令したそいつのおかげだったんだろ?だから、感謝すんなら、そいつに感謝すればいいんだ。なんで奴隷に感謝しなくちゃならないんだよっ」
うー。
どこまでもむかつくっ。
========
こういう生意気なくそg……ごにょ。
現実にもいますよね。
自分の主張が正しいと、浅はかさを披露している人。
さて、最後のお願いに参りました。というのは嘘なんですが、今月いっぱい、ファンタジー大賞読者投票期間となります。他の作品も読んだうえで「【続きはWEB】」を応援しようかなと思ってくださる方がいらっしゃいましたらよろしくお願いいたします。
投票してくださった方、ありがとうございます!嬉しいです!励みになります!えへへへ。
3作品まで投票できるようなのですので、一番好き!じゃなくても、3番目くらいには好きかも……という人がいたらいいなぁ。
バーヌの手をとって馬車に乗り込む。
乗合馬車の乗客は、自分たちの他には10人くらい。服装からすると、冒険者が半分、商人が半分といったところだろうか。
「そうだ、奴隷から解放されたら、逆にユーキを僕の奴隷にして、好きなだけご主人様って呼んでやるんだ……ご主人様って僕がよんだら、ほっぺをひっぱれって命令すれば今まで通り……」
隣に座ったバーヌがまだ、ぶつぶつと何か言っている。
独り言なんだよね?何を言っているのかよくわからないけれど、ぶつぶつと何か言っているのは聞こえる。
「おお、金狼様が一緒とは心強い」
冒険者っぽい服装をした50代の痩せた男が嬉しそうな顔を見せる。
「はぁ?こいつが?奴隷じゃんっ」
50代の隣にいた、少年と呼べそうな10代後半の男の子がバーヌの手首の奴隷紋を指さして軽蔑した眼差しを向ける。
あ、嫌な感じ。いかにも奴隷を下に見てる。近づかないでおこう。
「まさか、お前は冒険者なのに金狼様を知らないのか?……ったく最近の若い者は……」
と、少年の隣の30代後半の冒険者がやれやれと首をすくめた。
「はっ、どんだけ立派な冒険者だったか知らないが、今は奴隷だろ?奴隷なんて冒険者以下の存在に様を付けるおっさんのがよっぽど気が知れない」
少年がふんっと、自分の主張が正しいと言わんばかりに声をひときわ大きくする。
がしっと、少年の後ろに座っていたガタイのよい女性冒険者が少年の頭をわしづかみにした。
「お前はペーペーだろう。F級か?ナインヘッドドラゴン討伐で最前線で戦っていたA級~C級の冒険者であればそんな口きけるはずないんだが」
ぐりぐりと、手に力を入れているのか、少年の顔がゆがむ。
「ああ、そうだな、あの”怪物”は、金狼なくしては討伐は無理だった。それどころか……あの場にとどめておくことも出来ず、街の一つ二つは壊滅しただろう」
少年の隣の30代の冒険者と50代の冒険者も女性冒険者の言葉に続ける。
「当然、わしらの命があるのも、金狼様のおかげだ」
「ああ、それから、君が準備してくれた造血効果のある変わった薬も助かったよ」
女性がふっと笑った。
少年が女性冒険者を睨み付ける。
「はっ、金狼のおかげ?違うだろう、奴隷に戦うように命令したそいつのおかげだったんだろ?だから、感謝すんなら、そいつに感謝すればいいんだ。なんで奴隷に感謝しなくちゃならないんだよっ」
うー。
どこまでもむかつくっ。
========
こういう生意気なくそg……ごにょ。
現実にもいますよね。
自分の主張が正しいと、浅はかさを披露している人。
さて、最後のお願いに参りました。というのは嘘なんですが、今月いっぱい、ファンタジー大賞読者投票期間となります。他の作品も読んだうえで「【続きはWEB】」を応援しようかなと思ってくださる方がいらっしゃいましたらよろしくお願いいたします。
投票してくださった方、ありがとうございます!嬉しいです!励みになります!えへへへ。
3作品まで投票できるようなのですので、一番好き!じゃなくても、3番目くらいには好きかも……という人がいたらいいなぁ。
1
お気に入りに追加
2,849
あなたにおすすめの小説
辺境の契約魔法師~スキルと知識で異世界改革~
有雲相三
ファンタジー
前世の知識を保持したまま転生した主人公。彼はアルフォンス=テイルフィラーと名付けられ、辺境伯の孫として生まれる。彼の父フィリップは辺境伯家の長男ではあるものの、魔法の才に恵まれず、弟ガリウスに家督を奪われようとしていた。そんな時、アルフォンスに多彩なスキルが宿っていることが発覚し、事態が大きく揺れ動く。己の利権保守の為にガリウスを推す貴族達。逆境の中、果たして主人公は父を当主に押し上げることは出来るのか。
主人公、アルフォンス=テイルフィラー。この世界で唯一の契約魔法師として、後に世界に名を馳せる一人の男の物語である。
闇の錬金術師と三毛猫 ~全種類のポーションが製造可能になったので猫と共にお店でスローライフします~
桜井正宗
ファンタジー
Cランクの平凡な錬金術師・カイリは、宮廷錬金術師に憧れていた。
技術を磨くために大手ギルドに所属。
半年経つとギルドマスターから追放を言い渡された。
理由は、ポーションがまずくて回復力がないからだった。
孤独になったカイリは絶望の中で三毛猫・ヴァルハラと出会う。人語を話す不思議な猫だった。力を与えられ闇の錬金術師に生まれ変わった。
全種類のポーションが製造可能になってしまったのだ。
その力を活かしてお店を開くと、最高のポーションだと国中に広まった。ポーションは飛ぶように売れ、いつの間にかお金持ちに……!
その噂を聞きつけた元ギルドも、もう一度やり直さないかとやって来るが――もう遅かった。
カイリは様々なポーションを製造して成り上がっていくのだった。
三毛猫と共に人生の勝ち組へ...!
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
転生したらチートでした
ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
じいちゃんから譲られた土地に店を開いた。そしたら限界集落だった店の周りが都会になっていた。
ゆうらしあ
ファンタジー
死ぬ間際、俺はじいちゃんからある土地を譲られた。
木に囲まれてるから陽当たりは悪いし、土地を管理するのにも金は掛かるし…此処だと売ったとしても買う者が居ない。
何より、世話になったじいちゃんから譲られたものだ。
そうだ。この雰囲気を利用してカフェを作ってみよう。
なんか、まぁ、ダラダラと。
で、お客さんは井戸端会議するお婆ちゃんばっかなんだけど……?
「おぉ〜っ!!? 腰が!! 腰が痛くないよ!?」
「あ、足が軽いよぉ〜っ!!」
「あの時みたいに頭が冴えるわ…!!」
あ、あのー…?
その場所には何故か特別な事が起こり続けて…?
これは後々、地球上で異世界の扉が開かれる前からのお話。
※HOT男性向けランキング1位達成
※ファンタジーランキング 24h 3位達成
※ゆる〜く、思うがままに書いている作品です。読者様もゆる〜く呼んで頂ければ幸いです。カクヨムでも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる