83 / 105
奴隷にしてくれ!
しおりを挟む
「ルクマール、それ以上、何を、言うつもりだ?」
なぜか、烈火のごとくバーヌが怒り始めました。
どうしたのでしょう。
「ルクマール、じゃぁ、調書を作りたいから、ギルドへ一緒に行ってくれる?たぶん1週間はかかると思うけれど……」
「はぁ?一週間?」
「そうね。同じ話をギルド長、王都から来た調査員、ギルド本部の記録係と、最低でも3回から4回はしてもらうことになると思うし」
「じょ、冗談じゃねぇ。おい、金狼、ちょっと、待て、お前の仕事じゃないのか?お前がとどめ刺しただろう?」
バーヌが楽しそうにルクマールさんの奴隷紋を見せました。
「冒険者じゃないから、ギルドの話は知らない」
ルクマールさんがうっと言葉につまり、それから叫んでいます。
「ずりー、ずりーぞ、金狼!」
「行きましょう、ユーキ」
本当に嬉しそうにバーヌの尻尾が揺れています。
楽しんですね。ルクマールさんとのじゃれあいみたいな会話が、きっと。
もしかしたら冒険者時代からの顔見知りなのかもしれません。
「じゃぁな、灼熊のルクマール」
ひらひらと手を振って、一緒に出張ギルドを後にしました。
「まてー、俺も、俺も奴隷になる、ユーキ、俺をお前の奴隷にしてくれっ!な?」
は?
なんか、変なことを言っています。
「やだー、やだー、調書とか報告書とか、めんどくせー、お偉いさんに説明とかやりたくない、ユーキ、俺、冒険者辞める、奴隷になるーっ!」
振り返れば、フィーネさんたちが必死にルクマールさんを抑えて引きずっている姿が見えました。
「奴隷になったら、まずはギルドで調書を作るように命令しますから、それでもいいんですか?」
と、ちょっと意地悪を言ってみます。
もちろん、命令なんてする気はないですし、それ以前に奴隷にする気なんて少しもありません。
「うぐっ」
涙目のルクマールさんに手を振ります。
「嘘ですよ、またどこかで会ったら、今度はレバーフライじゃなくてとんかつか何か別の肉料理をごちそうしますから、頑張ってくださいね!」
「肉っ!」
肉の単語一つで、ルクマールさんの目の色が変わりました。
ふふ、楽しい人です。
「ユーキ、いつまでルクマール見てるんですか」
はい?
いつまでって、そんなに長い時間は見てないと思うんですけど?
「奴隷になりたいなんて、変なこと言ってたね、ルクマール。よっぽど調書が嫌なのかな……。奴隷なんて辞めたくても辞められない人がいっぱいいるのに……」
視線を落とすと、バーヌの奴隷紋が目に入ってきた。
ん?
あれ?
「ねぇ、バーヌ、そういえば、主人の同意があれば、奴隷って解放されるんだよね?奴隷ギルドに行って解放してもらいましょう!」
「は?」
バーヌが足を止める。
「僕が、いらないの?」
尻尾が力なく垂れています。
======
「きゅぅーん」
鳴き声が聞こえる
なぜか、烈火のごとくバーヌが怒り始めました。
どうしたのでしょう。
「ルクマール、じゃぁ、調書を作りたいから、ギルドへ一緒に行ってくれる?たぶん1週間はかかると思うけれど……」
「はぁ?一週間?」
「そうね。同じ話をギルド長、王都から来た調査員、ギルド本部の記録係と、最低でも3回から4回はしてもらうことになると思うし」
「じょ、冗談じゃねぇ。おい、金狼、ちょっと、待て、お前の仕事じゃないのか?お前がとどめ刺しただろう?」
バーヌが楽しそうにルクマールさんの奴隷紋を見せました。
「冒険者じゃないから、ギルドの話は知らない」
ルクマールさんがうっと言葉につまり、それから叫んでいます。
「ずりー、ずりーぞ、金狼!」
「行きましょう、ユーキ」
本当に嬉しそうにバーヌの尻尾が揺れています。
楽しんですね。ルクマールさんとのじゃれあいみたいな会話が、きっと。
もしかしたら冒険者時代からの顔見知りなのかもしれません。
「じゃぁな、灼熊のルクマール」
ひらひらと手を振って、一緒に出張ギルドを後にしました。
「まてー、俺も、俺も奴隷になる、ユーキ、俺をお前の奴隷にしてくれっ!な?」
は?
なんか、変なことを言っています。
「やだー、やだー、調書とか報告書とか、めんどくせー、お偉いさんに説明とかやりたくない、ユーキ、俺、冒険者辞める、奴隷になるーっ!」
振り返れば、フィーネさんたちが必死にルクマールさんを抑えて引きずっている姿が見えました。
「奴隷になったら、まずはギルドで調書を作るように命令しますから、それでもいいんですか?」
と、ちょっと意地悪を言ってみます。
もちろん、命令なんてする気はないですし、それ以前に奴隷にする気なんて少しもありません。
「うぐっ」
涙目のルクマールさんに手を振ります。
「嘘ですよ、またどこかで会ったら、今度はレバーフライじゃなくてとんかつか何か別の肉料理をごちそうしますから、頑張ってくださいね!」
「肉っ!」
肉の単語一つで、ルクマールさんの目の色が変わりました。
ふふ、楽しい人です。
「ユーキ、いつまでルクマール見てるんですか」
はい?
いつまでって、そんなに長い時間は見てないと思うんですけど?
「奴隷になりたいなんて、変なこと言ってたね、ルクマール。よっぽど調書が嫌なのかな……。奴隷なんて辞めたくても辞められない人がいっぱいいるのに……」
視線を落とすと、バーヌの奴隷紋が目に入ってきた。
ん?
あれ?
「ねぇ、バーヌ、そういえば、主人の同意があれば、奴隷って解放されるんだよね?奴隷ギルドに行って解放してもらいましょう!」
「は?」
バーヌが足を止める。
「僕が、いらないの?」
尻尾が力なく垂れています。
======
「きゅぅーん」
鳴き声が聞こえる
1
お気に入りに追加
2,849
あなたにおすすめの小説
辺境の契約魔法師~スキルと知識で異世界改革~
有雲相三
ファンタジー
前世の知識を保持したまま転生した主人公。彼はアルフォンス=テイルフィラーと名付けられ、辺境伯の孫として生まれる。彼の父フィリップは辺境伯家の長男ではあるものの、魔法の才に恵まれず、弟ガリウスに家督を奪われようとしていた。そんな時、アルフォンスに多彩なスキルが宿っていることが発覚し、事態が大きく揺れ動く。己の利権保守の為にガリウスを推す貴族達。逆境の中、果たして主人公は父を当主に押し上げることは出来るのか。
主人公、アルフォンス=テイルフィラー。この世界で唯一の契約魔法師として、後に世界に名を馳せる一人の男の物語である。
闇の錬金術師と三毛猫 ~全種類のポーションが製造可能になったので猫と共にお店でスローライフします~
桜井正宗
ファンタジー
Cランクの平凡な錬金術師・カイリは、宮廷錬金術師に憧れていた。
技術を磨くために大手ギルドに所属。
半年経つとギルドマスターから追放を言い渡された。
理由は、ポーションがまずくて回復力がないからだった。
孤独になったカイリは絶望の中で三毛猫・ヴァルハラと出会う。人語を話す不思議な猫だった。力を与えられ闇の錬金術師に生まれ変わった。
全種類のポーションが製造可能になってしまったのだ。
その力を活かしてお店を開くと、最高のポーションだと国中に広まった。ポーションは飛ぶように売れ、いつの間にかお金持ちに……!
その噂を聞きつけた元ギルドも、もう一度やり直さないかとやって来るが――もう遅かった。
カイリは様々なポーションを製造して成り上がっていくのだった。
三毛猫と共に人生の勝ち組へ...!
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
転生したらチートでした
ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
じいちゃんから譲られた土地に店を開いた。そしたら限界集落だった店の周りが都会になっていた。
ゆうらしあ
ファンタジー
死ぬ間際、俺はじいちゃんからある土地を譲られた。
木に囲まれてるから陽当たりは悪いし、土地を管理するのにも金は掛かるし…此処だと売ったとしても買う者が居ない。
何より、世話になったじいちゃんから譲られたものだ。
そうだ。この雰囲気を利用してカフェを作ってみよう。
なんか、まぁ、ダラダラと。
で、お客さんは井戸端会議するお婆ちゃんばっかなんだけど……?
「おぉ〜っ!!? 腰が!! 腰が痛くないよ!?」
「あ、足が軽いよぉ〜っ!!」
「あの時みたいに頭が冴えるわ…!!」
あ、あのー…?
その場所には何故か特別な事が起こり続けて…?
これは後々、地球上で異世界の扉が開かれる前からのお話。
※HOT男性向けランキング1位達成
※ファンタジーランキング 24h 3位達成
※ゆる〜く、思うがままに書いている作品です。読者様もゆる〜く呼んで頂ければ幸いです。カクヨムでも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる