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第十五話

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★★引き続きルイ殿下視点★★
 ダンスをしながら、二人は何かを話している。
 ここからでは二人の会話は分からない。
 ああ、エマリー。マーカスに何を微笑みかけているの。
 駄目だよ、そんな顔見せちゃ。
 マーカスが笑っているエマリーのおでこを指でつついた。
 なっ。
 思わず椅子から腰を浮かせる。
 どういうつもりだマーカス。
 ギリギリと奥歯を噛みしめる。
 エマリーが恥ずかしそうに頬を染める。
「……エマリー……」
 僕の我儘で婚約した。
 僕の我儘で、手放せない。
 エマリーは、婚約解消したいみたいだ。
 でも……手放せない……。
 エマリーが僕のことを嫌いだと言ってくれれば。
 もう、二度と僕に笑顔を見せてくれなくなれば。
 だれか、別の人が好きになったと……解放してくれと泣かれれば……。
 ぐっと、拳を握りしめる。
 エマリー。
 好きだよ。エマリー。
 お願いだよ。
 もうちょっと待っていて。
 エマリーの隣に並んでも恥ずかしくないように、成長するから。
 マーカスよりも、ずっと立派な大人になって見せるから。
 あと4年だよ。僕が成人するまで、あと4年……。
 ううん、成人する前に、きっとエマリーの身長と並んで見せる。いいや、追い越すよ。
 それから、勉強でもエマリーに負けないようにする。
 泣きそうだ。
 泣いてしまいそうだ。
 どうして、僕はエマリーよりも5年も遅くに生まれたのだろう。
 ああ、エマリー。眠り姫の物語のように、眠って僕の成長を待ってくれればいいのに。
 そうしたら、僕は棘だろうがドラゴンだろうが、ものともせずに眠っているエマリーのもとに駆けつけるのに。
 成長した僕を、エマリーに一足飛びに見せられるのに。
 ダンスを終えて戻って来たエマリーが僕に微笑む。
「殿下、大丈夫?気分が悪いなら、退室する?」
 すぐに、エマリーの顔から笑顔が消えて、心配そうな顔で僕の顔を覗き込んだ。
 泣きそうになっていた。だから、気分が悪いと思ったのだろう。
 ああ、確かに気分は悪い。マーカスとのダンスは非常に気分が悪いものだった。
 でも、違う、そうじゃないんだ。
「大丈夫だよ。エマリー」
 隣の椅子に腰かけたエマリーの手を握る。
「一人で不安だった?ごめんね」
 ……。
 僕が手を握っても、エマリーは子供と手をつないでいる位にしか思ってくれない。
「そうだね、不安ばかりだ……」
 エマリーに嫌われたくない。
 だけれど、それ以上に。
 エマリーを手放せない。
 例え嫌いだと言われても、きっと、僕はエマリーの手を離すことはできないんだよ……。





==============
おはようございます。今日は朝に更新できた。
ルイ殿下視点の続きです。あ、お忘れの方のために一応書いとくと
16歳のエマリーの誕生日なので、5歳下のルイ殿下は11歳です。
ルイ殿下より2歳年下の妹は現在9歳。それから、エマリーの一つ上のマーカスが17歳。
えーっと、それから、この世界
15歳で社交界デビュー、15歳が成人、15歳から学園、18歳で卒業
女性の結婚は庶民は成人後からラッシュ。
貴族は学園卒業後からラッシュ。
20歳までにはほぼ結婚。それ過ぎると行き遅れ。
男性の場合は、女性+3~5歳くらいが適齢期。
男性でも25歳過ぎるとそろそろやばいと噂される。28歳くらいだと結婚するつもりがないのかと変な目で見られ始める。そんな世界観です。

さて、そろそろラストスパート。いやでもさ、火曜日から書き始めて、まだ1週間たってないんですねー。
随分長い間書いてた気がする……。
本当は、もうちょっと色々とあれやこれやも書き足せるとよかったんですけどね……。
マーカスの弟は何歳なんだろう……
「なんだよ、お前、あんな年増が好きなのか?」
とか言っちゃいそうなやばいおガキ様かもしれん……。

それでは、あと少しだけお付き合いください。
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