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第八話

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「あー、悔しい、エマリーと一緒に学園に通いたかった。なんで、貴族だけが通うことが許された王立高等学園だけは飛び級が許されてないんだ!」
 まぁ、それはですね、歳の近い人たちが主従関係を結んだり、恋愛結婚したりとか、いろいろとね、学ぶ以外の目的があるので。
 って、知ってますよね?
 知っているから、そのルールを捻じ曲げてまで僕も通うと言わないんですよね。
 学園に入学すると、1学年上に、隣国の第二王子が留学してきていた。
 めっちゃ、背が高い。
 なんていうか、ヒールはいてる私が見上げないと顔が見えないくらいに。
「本当に背が高いんですよ。ビックリしました。あの国の男性は皆、あんな感じなのでしょうか」
 と、恒例の東屋でのお茶会で話題にしたら、ルイ殿下が席を立ってどこかへ行ってしまった。
 あの国のことについて急いで調べてくれるのでしょうか?
 初めて、隣国の第二王子……名前をマーカス様とおっしゃるんですが、マーカス様と会ってから、なにかと一緒に行動することが増えた。
 そのことを報告するたびに、ルイ殿下はむっとすることが多く、数か月してからは話題にすることはやめた。
 でもって、隣国の第二王子なので、ある日王宮でルイ殿下一家と食事をしたそうだ。
「やっぱり、僕みたいな子供よりも、彼のような人がエマリーは好きなの?」
 独り言のようにルイ殿下がつぶやく。
「え?彼のようなって、誰のこと?」
「……何でもない。なんでもないよ……」
 ルイ殿下が、いつの間にか飲めるようになったコーヒーをごくりと飲み込む。
「どうして、僕は、まだ子供なんだろう……」

 16歳の誕生日。誕生日を祝う舞踏会が我が家で開かれた。
「ずるいですわ!なんで、またルイばっかり!」
 ルイ殿下は11歳だけれどまたも特例として舞踏会へ参加が認められた。
 まぁあれよ。1回、一番の大舞台である王宮主催の舞踏会でやらかしたから、もう誰も驚きはしないでしょう。
 15歳の1年間は、他に舞踏会に出ることはなかった。
「僕以外のエスコートで出るなんて絶対にダメだからね!婚約者がいるのに、婚約者以外のエスコートなんて、おかしいでしょう!」
 とルイ殿下がかたくなに私のエスコートの座を譲らなかったからだ。
 確かに、他の方は皆、婚約者がいる人は婚約者と一緒に参加している。
 子供だからとエスコートを別の人に譲ったとなれば、皇太子とのプライドが傷つくのかもしれない。
 ……私自身あまり舞踏会が好きというわけでもないので、招待状には丁寧にお断りの返事を出しておいた。
 断れない、断りにくい相手はいないんですけどね。公爵家だから。しかも理由は皇太子のエスコートでしか出席したくないということだから。



====================
ところで、年齢の話。
人生、50年設定です。50年×1.7=85歳
ということで、だいたい1.7倍した数字で考える感じです。

15歳成人は、25歳……18歳で30歳。今も25~30歳あたりが結婚適齢期……
庶民は15歳から結婚していき、貴族は学園卒業後に結婚って感じが多い。
20歳になると34歳、ちょっと結婚が難しくなりはじめ23歳ともなると、39歳。で、行き遅れの年増と言われてしまうわけです。

もちろん、現代であれば、39歳で行き遅れという人もいないでしょう。
実際私の知り合いでも、38歳でお見合い、39歳で結婚40歳で出産とかいますし。
現代というよりも、感覚としては昭和。そう、昭和の後期くらいかな?30までには結婚!みたいな感じ。
30過ぎたら行き遅れ、みたいな。いや違う、もしかしたら、昭和後期って、バブル?
バブルんときって、クリスマスケーキって時代?
25日がクリスマス、26歳以降は、「売れ残り」(クリスマスケーキは25日過ぎると売れ残りだから)って揶揄されるような時代でしたっけ?
ってすると、昭和後期だと、20代前半までに結婚しなきゃ行き遅れって言われてたの?
まぁ、なんかよくわからないので、……
と、とりあえず現代の感覚ともちょっと違うし、昭和ともちょっと違うのか……。
あっちの世界の話なんで、うん。一応、イメージしやすいように現代の年齢との比較を書いときました。
流石に、その、13歳で結婚みたいな、いくら異世界でもそれはちょっとと思ったので、15歳にしました。
日本でも16歳になれば女性は結婚できるため、さほど違和感ないかなぁって……。13歳はいかん
という、謎のこだわり。
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