上 下
65 / 111

★★浩史視点★★街についた

しおりを挟む
★★浩史視点★★
 さぁ、街についたぞ。
 俺の勇者伝説の始まりだ。
 町の入り口には、よく小説であるような門番みたいな者は立っていない。犯罪者でも素通りじゃないか。
 王都でもないかぎり、そんなもんなのか?
 いや、待てよ?
 入り口に百葉箱みたいなものが設置されている。あの中に魔道具でも入っていて、出入りする人の犯罪歴など自動でスキャンできるとか?
 まぁいい。門番がいなかったのは、想定外だ。
 門番にギルドと神殿の場所を尋ねるつもりだったが問題ない。
「すまん、ちょっと道を尋ねたいんだが」
 道を歩いていた冒険者と思われるいで立ちの男に声をかける。
 日本にいたころには、とても怖くて声をかけられないような、スキンヘッドのガタイのいい男だ。
 目が細くて、ほほにひきつった古い傷跡が残っている。
「あ?お前、よそ者か?」
「ああ。今この町に着いたところだ。それで、ギルドがどこにあるのか教えて欲しい」
「ギルド?ギルドに何の用だ?何か依頼でも出しに行くのか?」
 男が、俺の姿を上から下まで眺めて尋ねた。
「いや、冒険者登録をしに行く」
 そして、ステータスを確認する。
「ぶははっ、なんだ、何の冗談だ?」
 げらげらと、男が笑い出した。
 む。これが、新人をからかったり手を出したりする先輩冒険者の洗礼イベントか!
 うーん。こうもテンプレイベントが発生するってことは、ここはもしかしたら俺の知らないゲームの世界なのか?ゲームの世界に転移ものも、定番だしな。
「冗談じゃない」
「は?冗談じゃないって?じゃなきゃ、冒険者を馬鹿にしているのか?誰でもできる簡単な仕事じゃねぇぞ!子供のころから小さな依頼をコツコツと受け、訓練を積み体を鍛え、技を習得してランクを上げていくもんだ」
 スキンヘッドの男が、細い目を、少しだけ開いて俺の顔をにらみつけてきた。
「知っているさ、お前こそ、俺を馬鹿にしていないか?俺を誰だと思っている」
 勇者だぞ。異世界から召喚された勇者様だ。まぁ、今はまだ覚醒前でちょっと力は出せないけどな。
「知るわけねぇだろ。お前、いくつだ。もう20歳は過ぎてるだろ。そんな年齢から冒険者をやる馬鹿なんていねぇよ。鍛えてるわけでもねぇ、ヒョロヒョロの体して」
 どんっと、スキンヘッドが俺の右肩をついた。
 うおうっ、なんて馬鹿力だ。
 トントンと、後ろに二歩よろめく。だが、倒れたりしないぞ。どうだ。
「悪いことはいわねぇ、冒険者になるのはやめておけ」
 スキンヘッドが俺に背を向けて立ち去ろうとしたのを、肩をつかんで引き留める。



======================-
どうも。本当に、浩史みたいなやつ……腹が立つよね。
なんでこんな男と付き合ってたのかなぁ、リョウナ……って、思うけど、
「なんで別れないの?」って男と付き合ってる女って世の中多いじゃん?
ほんとう、なんで?っていうの、多いじゃん。

スキンヘッドはいい人です。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺のスキルが無だった件

しょうわな人
ファンタジー
 会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。  攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。  気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。  偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。  若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。  いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。 【お知らせ】 カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」  お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。  賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。  誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。  そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。  諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

【完結】最強ロリ聖女のゆるゆりグルメ紀行

吉武 止少
ファンタジー
 幼いころから聖女として魔物溢れる森で騎士たちを癒していたマリアベルは、無実の罪で陥れられて置き去りにされてしまう。  メイドのノノと逃げ出したマリアベルは美味しいものを食べながら他国でのんびり暮らそうとするが…… 「んっ……おいひい……」 「ぐっ!?」「きゃわわ」「とうとい……!」 「あ、けがした人が……!」 「け、けがが治った!」「聖女様……?」「天使だ……!」  これは最強ロリ聖女が美味しいものを食べながら幸せになるお話。 【第一部完結保証】第一部完結まで毎日投稿します。 【R15は保険です】

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

異世界に来たようですが何も分かりません ~【買い物履歴】スキルでぼちぼち生活しています~

ぱつきんすきー
ファンタジー
突然「神」により異世界転移させられたワタシ 以前の記憶と知識をなくし、右も左も分からないワタシ 唯一の武器【買い物履歴】スキルを利用して異世界でぼちぼち生活 かつてオッサンだった少女による、異世界生活のおはなし

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

処理中です...