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「大丈夫ですか、お嬢様。まだ体調がすぐれないのですか?やはり王都の空気が合わないのでしょうか。先ほども息苦しそうにしていましたね」
「それはクッキーに入っていたそばのせい」
 メイは知ってるはずなのに首を傾げる。
 実際に体調が悪くなるのに……これも私の記憶違いだというの?
 違う、絶対に違う!
 そうだ……!
 メイの手を離れて、机の一番下の引き出しを開ける。
「ダメですよ、ミリヤお嬢様、カリアお嬢様の物を勝手に触っては……」
 たしなめる声が聞こえる。
 違う、全部私の物で、勝手に触っているのはカリアの方だ。
「あった、ほら、日記帳!」
 メイに見せる。
 鍵付きの日記帳だ。本当は領地に持っていきたかったけれど忘れて行ってしまったもの。
「だめです、早く戻して」
「これは私のよ!」
「ミリヤ様」
 我儘を言ってごねていると思われたのかメイが少し厳しい声を出す。
「ほら、鍵は私が持っているの。だって、私のだもの」
 誰かに見られないようにと鍵は紐に通して首からぶら下げていた。……肝心の日記帳を持っていくのを忘れたから領地では使い物にならなかったのだけど。
「まぁ、ミリヤお嬢様、鍵を持ち出すなんて、そんな意地悪をしていたんですね?ちゃんと返して謝るのですよ、メイも一緒に謝ってあげますから」
 優しい言葉を口にはするけれど、メイは相変わらず私の言うことはこれっぽっ地も信じてくれない。
 どうして……。なんで……。
 まるで、同じ人だけど別の人みたいだ。
 メイの言葉は無視して、鍵を使って日記帳を開く。
 日記は6歳の誕生日の1週間あとの日付から始まっている。おぼつかない文字で書き綴られた日々の出来事。
「ほら、私の字でしょう?」
 メイが日記を覗き込んでいるので声をかけた。いいえ、カリア様の文字ですと言われてしまうのではないかと思いつつページをめくる。
 領地に出る数日前のページをめくると、少し色の落ちた白い花が挟まっている。
「あ、押し花になってる」
 メイとお母様の誕生日にしおりを作ってプレゼントしようと庭で花を選んだ。
 お母様の好きな薔薇の花はまだ咲いていなかったので、アネモネの花を摘んで本に挟んだ。
『薔薇じゃなくてよろしいのですか?ってメイが言ったけど、薔薇はお母様にアネモネでつくった押し花のしおりはメイにあげるんだ。まだ内緒だけど』
 あ、しまった。内緒だったのに、メイに読まれちゃった……。
 顔をあげると、メイが怖い顔をしている。
「メイ?」
 メイは私から日記帳を取り上げた。パタンと少し乱暴に日記帳を閉じ、鍵をガチャガチャとかけ、鍵を私の首にかけた。
「さぁ、領地へ戻りましょう。まだ体調がすぐれていないのです。カリアお嬢様に乱暴を働いたのもそのせいだと伝えましょう」
 メイが私の手を引いて、見覚えのない私の部屋としてあてがわれた部屋のドアを開いて押し込んだ。
「メイ、私は乱暴を働いてなんていない、軽く肩を押しただけで……。あの子がくるくるとベッドの上を転がって自分で落ちたの……信じて?」
 メイは私の言葉に返事もせずに、運び込んだばかりの旅行鞄を開いた。



===========
いやぁ、書いていて腹が立つね。カリア。でも7歳だしなぁ……。10歳くらいにすればよかったかなぁ……。
うーん。まぁいいか。
しかし、7歳でもこんなことするだろうなぁってことを、義妹系とかって、17歳くらいでやらかすんだよなぁ。幼いよねぇ……

と、やっぱり年齢変えました!10歳にしました!
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