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★毒

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★皇太子視点でございます
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「ロバート、騎士団の調査に入れ」
 まったく、本当に、どういうことだろうか。
 リアには驚かされることばかりだ。
「どうも騎士団員におかしな者が紛れ込んでいる」
 ロバートが首を傾げた。
「おかしな者とは?」
「……騎士に到底ふさわしくない者だ。いったい、どういう手を使って騎士団にもぐりこんだのか……。単に、騎士になりたいからと金を積んで裏口から入っただけならいいが……他に何か意図がある可能性も考えられる」
 ときどきそういう者がいるのも事実だ。
 騎士団にはいり活躍すれば騎士爵……貴族になる可能性が出てくる。
 貴族の次男、三男は長男が家督を継げ元貴族の子息というだけで貴族ではなくなる。跡継ぎのいない貴族の養子になるか、功績をたて叙爵されるか、騎士になり騎士爵を賜るしか、貴族でいられなくなるのだ。そりゃ必死に騎士になろうとするだろう。
 だが、騎士が守るのは王族だ。
 実力のない者が王族を守れるわけがない。だからこそ、厳しい試験を突破した精鋭たちで構成される。
 ……はずなんだがなぁ。
 女性に手を上げるような騎士道精神を全く学んでいないような者が紛れ込むとは。
 精神の問題だけではないんだよな。
 剣の腕……あれはいったいなんだ。あんなの、いざというときに何の役にも立たないじゃないか。
 それに比べて、リアの剣筋の美しいこと。
 相手が剣を抜いた時点ですぐに助けに入らなければと思ったのに、あまりにも立ち回りが美しすぎて見入ってしまった。
 流れるように剣をよけ、後ろにいた男の剣を奪う。そして、3度だけ相手が剣をふるったのみ。あとは彼女の独壇場だった。
 あの、小柄な体で……相手との体格差、力の差をものともせずに地面に倒してしまった。ものの数秒で。
 あれだけの実力があれば、騎士の中でも何人が彼女に勝てるか……とは、正直思うが。
 思うが、勝てないまでも騎士ならばある程度の時間は稼げるだろう。その間に王族を逃がすというのが定石だ。
 それなのに……。
 侯爵家3男のあの男。
 いったい、あれは何だ。
 いざという時、王族を逃がす時間を稼ぐどころか、王族が逃げる足を引っ張りそうだぞ。
「まさか……それが狙いか?」
 だとすれば、王弟派の策略という可能性も考えられる。
「ロバート、秘密裏に調査を。騎士の実力を測る大会かなにか催すか……とにかく全ての騎士の実力を知る必要がある。どれくらいの人間が騎士として相応しい力をもたぬのに騎士として在籍しているのか……」
 いったいその者たちはどういう手段……だれの手引きで騎士団に入ることができたのか。
 王弟派とよばれる者たちが多く手引きをしているのだとすれば……。一掃する必要が出て来るだろう。
 不自然じゃない方法で大量に騎士を排除する方法を考えないといけないな。
 厄介なことだ。
 ……いっそ、リアに力を借りるか?
 女に負けるような人間は騎士にふさわしくないと言えば、誰も反論できない気がするな。
 いやいや。
 もしそんなことをしたら、俺はリードルに殺される未来しか見えない。
 あいつ、義妹めちゃくちゃ大事にしてるもんなぁ。
 まぁ、分かるよ。分かる。
 俺も、リアちゃん甘やかしたいもんな。
 リストを返そうとリアちゃんの教室に向かって歩いてたら、あの場面に遭遇したんだけど。
 リストなら何も直接手渡しせずとも、届けさせれば済むんだけど。
 リアちゃんに直接渡したかったんだよな。
 なーんか、会いたくなっちゃうんだよね。
 ……あいつらがいなければ、人目がないあの裏道で2人きりで会えたのに。
 やっぱりあいつら許さないでおこう。徹底的に締め上げてもらう。
 ……とりあえず、リストを返しそびれちゃったから、またリアちゃんのところに行かなくちゃね。




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