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恋愛へのあこがれ

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「殿下は……その、結婚に愛は求めますか?好きな人と結婚して自分も愛されたいですか?」
 殿下の目が少しだけ揺れた。
「……ねぇ、リアちゃん、リアちゃんは俺が君のこと好きだと言えば、俺を愛してくれる?」
 殿下の愛を乞うような切ない声に、まるで親の愛情を求める子供のように思えた。
「……私、正直恋愛のことはよくわからないんです……ただ……家族になれば、家族のことは愛します」
 義弟妹のことも、夫のこともリードルとエリエッタのことも。皆、愛しい。
「ああ……。リードルやエリエッタのことを、リアちゃんはとても大切にしているよね。……いいなぁ、そういう愛も」
 殿下がちょっと遠い目をした。
「俺さぁ、結婚って義務だと思って。それ以上でもそれ以下でもなくて。愛とかなんて期待してなくて……俺も、好きになる自信なんて無くて……」
「殿下は優しい人ですね。好きにならないと相手に申し訳ないと思っているんですね……。恋愛感情を持てないことに罪悪感を覚えるんですね……それはきっと、王妃様と陛下が愛し合っているのを見て育ったからでしょうか」
 陛下たちのことなどよく知らないけれどなんとなくそう思った。
「でも、幸せの形は……色々あるんです。私も……いえ、リードルとエリエッタのお義母様は後妻ですが、夫との間に恋愛関係は無かったですが、家族として幸せに暮らしていましたから……。お互いを思いあえる関係であれば、そこに胸を焦がすような情熱が無くても……幸せなんじゃないでしょうか」
 殿下と私との距離がさっきより近くなってません?真っすぐ伸ばしていた殿下の腕が降り曲がっている。
 ちょ、逃げ場がさらになくされているのは何故?
 気に障ること言った?
「ほ、ほら、えっと、友達……例えば殿下、リードルのこと好きって言ってたじゃないですか?恋愛とかでない好きでも人って嬉しいし満たされるし、あの……」
「リードル?……ああ、そうだ。確かに。そばにいてほしいと思うのは何も恋人ばかりじゃないよな……」
 殿下の腕が壁から離れたと思ったら、私の背中に回った。
 ひぃー、逃げ場ゼロ。
 さらに何か問題発言しちゃいました?
「家族になれば愛してもらえるかな……」
 それは誰に?
 リードルに?私かエリエッタと結婚すればリードルは義兄という家族になるけれど……。
 リードルも家族は大切にするだろうから。
 でも。もうすでにリードルは殿下のこと大切な人だと思っているはずですよ。2年間届いた手紙には直接的な言葉では書いてないけれど、殿下を大切にしているのは伝わる内容でしたもの。
 まぁでも……。
「あのリストですが……。殿下の周りに来る生徒の……」
 愛に飢えているのなら、教えちゃってもいいかなって。



=============
お見合い結婚って、不幸になった人がクローズアップされがちだけど、お見合い結婚で幸せになった人もいっぱいいるし、恋愛結婚だって、不幸になった人と幸せになった人がいるのに……。
なんで、お見合い結婚は恋愛結婚に比べて下みたいな見方があるんだろうかなって思うわ。
結婚したいけれど、自分で相手を見つけられないけれど、見合いは恥ずかしいみたいな風潮は邪魔よね……。

と、見合い結婚だった両親の子供の私は思うわけですよ。私不幸な子じゃないよ?
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