44 / 67
リアと呼ばれること
しおりを挟む
「休みの日に、一緒に買い物に行きましょうか、エリエッタ」
「本当?お義母様?行く!行きます!」
「ぼ、僕もっ」
「リードルは確か生徒会の仕事があったはずでしょう?」
エリエッタがリードルの顔を見て笑っている。
「エリエッタ、それから学園ですが……1カ月過ごして分かったことです。校舎内では悪い人はいないみたいです。だからそんなに不安がって私にべったりしてなくてもいいわよ」
「え?お母様……?」
「そろそろ私も、女性トップとしての仕事もしないといけないはずですし……」
青薔薇会のメンバーと会って、情報交換しなくちゃですし。
「それなら私もご一緒いたします!」
「いえ、エリエッタ。あなたに任せたいことがあるの。……どうやら、学園に通っている女生徒たちは、お互いにお茶会を開いて行き来しているようなの。社交界デビューして舞踏会へ足を運ぶ前に、お茶会で皆様と親しくしておいた方が色々教えていただけるはずです。あなたに、辺境伯令嬢として誰のお茶会に足を運べばいいか、お茶会を開くならだれをお招きすればいいかなど、考えていただきたいのです」
エリエッタがちょっと考えるそぶりを見せる。
「それは、重大事案ですわね……ヘタなお茶会に参加するわけにはいきません(その家の子息がハエのようにお義母さまの周りを飛び回りだしては一大事)虫よけ準備はしなければ……」
ん?エリエッタって、そんなに虫は苦手じゃなかったと思いますが……。
庭でのお茶会で虫が飛び回ると確かに落ち着かないし。なるほど。色々もう考え初めているのね。
次の日。
目覚めると、リードルの顔が目の前にあった。
今日はリードルはしっかり目が開いている。
「おはよう、リア。愛してるよ」
「おはよう。リードル」
もしかして、今日から一緒に鍛錬すると話をしたから早起きして私が起きるのを待ってくれたのかしら?
でも、何でベッドに入ってるの?
私が寝ているの見たら、二度寝したくなっちゃった?
上体を起こしてリードルの頬に軽くキスをする。
おはようの挨拶だ。
リードルが私の腕を引っ張った。上体を支えていた腕を引っ張られたせいで、そのまま体がベッドの中に再び沈む。
ちゅっ。
リードルが私の頬にお返しのおはようの挨拶。
「ねぇ、リア。リアは僕のこと愛してる?」
リードルの青い目に私の姿が映っている。
……学校では、この1カ月の間にリアと呼ばれるのには慣れてきた。
だけれど、やっぱり家の中だと変な感じがする。
お義母様と呼ばれないのにはなれないし……。
少しだけ、私の可愛い義息子が知らない人みたいな気になってしまう。そんなことはないのに。親子じゃなくなったみたいな距離を感じて……。寂しくなる。
子離れしなくちゃいけないと思っていても……やっぱり寂しい。
「本当?お義母様?行く!行きます!」
「ぼ、僕もっ」
「リードルは確か生徒会の仕事があったはずでしょう?」
エリエッタがリードルの顔を見て笑っている。
「エリエッタ、それから学園ですが……1カ月過ごして分かったことです。校舎内では悪い人はいないみたいです。だからそんなに不安がって私にべったりしてなくてもいいわよ」
「え?お母様……?」
「そろそろ私も、女性トップとしての仕事もしないといけないはずですし……」
青薔薇会のメンバーと会って、情報交換しなくちゃですし。
「それなら私もご一緒いたします!」
「いえ、エリエッタ。あなたに任せたいことがあるの。……どうやら、学園に通っている女生徒たちは、お互いにお茶会を開いて行き来しているようなの。社交界デビューして舞踏会へ足を運ぶ前に、お茶会で皆様と親しくしておいた方が色々教えていただけるはずです。あなたに、辺境伯令嬢として誰のお茶会に足を運べばいいか、お茶会を開くならだれをお招きすればいいかなど、考えていただきたいのです」
エリエッタがちょっと考えるそぶりを見せる。
「それは、重大事案ですわね……ヘタなお茶会に参加するわけにはいきません(その家の子息がハエのようにお義母さまの周りを飛び回りだしては一大事)虫よけ準備はしなければ……」
ん?エリエッタって、そんなに虫は苦手じゃなかったと思いますが……。
庭でのお茶会で虫が飛び回ると確かに落ち着かないし。なるほど。色々もう考え初めているのね。
次の日。
目覚めると、リードルの顔が目の前にあった。
今日はリードルはしっかり目が開いている。
「おはよう、リア。愛してるよ」
「おはよう。リードル」
もしかして、今日から一緒に鍛錬すると話をしたから早起きして私が起きるのを待ってくれたのかしら?
でも、何でベッドに入ってるの?
私が寝ているの見たら、二度寝したくなっちゃった?
上体を起こしてリードルの頬に軽くキスをする。
おはようの挨拶だ。
リードルが私の腕を引っ張った。上体を支えていた腕を引っ張られたせいで、そのまま体がベッドの中に再び沈む。
ちゅっ。
リードルが私の頬にお返しのおはようの挨拶。
「ねぇ、リア。リアは僕のこと愛してる?」
リードルの青い目に私の姿が映っている。
……学校では、この1カ月の間にリアと呼ばれるのには慣れてきた。
だけれど、やっぱり家の中だと変な感じがする。
お義母様と呼ばれないのにはなれないし……。
少しだけ、私の可愛い義息子が知らない人みたいな気になってしまう。そんなことはないのに。親子じゃなくなったみたいな距離を感じて……。寂しくなる。
子離れしなくちゃいけないと思っていても……やっぱり寂しい。
26
お気に入りに追加
2,122
あなたにおすすめの小説

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

私は逃げます
恵葉
恋愛
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。
そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。
貴族のあれやこれやなんて、構っていられません!
今度こそ好きなように生きます!
政略結婚で継母になった嫌われ令嬢です。ビジネスライクで行こうと思っていたのに、溺愛だなんてどうなっているのでしょうか?
石河 翠
恋愛
かつて日本人として暮らしていた記憶のある主人公。彼女は夫とも子どもともうまくいかず、散々な人生を送っていた。生まれ変わった世界でも家族とは縁が薄く、成人してそうそうに子持ちの訳あり男性の元に嫁がされる。
最初から期待なんてしない。家政婦どころか、ゲームのNPCとして淡々と過ごそうと思っていたところ、いつの間にか溺愛されていて……。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:22495556)をお借りしております。

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

私を溺愛している婚約者を聖女(妹)が奪おうとしてくるのですが、何をしても無駄だと思います
***あかしえ
恋愛
薄幸の美少年エルウィンに一目惚れした強気な伯爵令嬢ルイーゼは、性悪な婚約者(仮)に秒で正義の鉄槌を振り下ろし、見事、彼の婚約者に収まった。
しかし彼には運命の恋人――『番い』が存在した。しかも一年前にできたルイーゼの美しい義理の妹。
彼女は家族を世界を味方に付けて、純粋な恋心を盾にルイーゼから婚約者を奪おうとする。
※タイトル変更しました
小説家になろうでも掲載してます

竜人のつがいへの執着は次元の壁を越える
たま
恋愛
次元を超えつがいに恋焦がれるストーカー竜人リュートさんと、うっかりリュートのいる異世界へ落っこちた女子高生結の絆されストーリー
その後、ふとした喧嘩らか、自分達が壮大な計画の歯車の1つだったことを知る。
そして今、最後の歯車はまずは世界の幸せの為に動く!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

すり替えられた公爵令嬢
鈴蘭
恋愛
帝国から嫁いで来た正妻キャサリンと離縁したあと、キャサリンとの間に出来た娘を捨てて、元婚約者アマンダとの間に出来た娘を嫡子として第一王子の婚約者に差し出したオルターナ公爵。
しかし王家は帝国との繋がりを求め、キャサリンの血を引く娘を欲していた。
妹が入れ替わった事に気付いた兄のルーカスは、事実を親友でもある第一王子のアルフレッドに告げるが、幼い二人にはどうする事も出来ず時間だけが流れて行く。
本来なら庶子として育つ筈だったマルゲリーターは公爵と後妻に溺愛されており、自身の中に高貴な血が流れていると信じて疑いもしていない、我儘で自分勝手な公女として育っていた。
完璧だと思われていた娘の入れ替えは、捨てた娘が学園に入学して来た事で、綻びを見せて行く。
視点がコロコロかわるので、ナレーション形式にしてみました。
お話が長いので、主要な登場人物を紹介します。
ロイズ王国
エレイン・フルール男爵令嬢 15歳
ルーカス・オルターナ公爵令息 17歳
アルフレッド・ロイズ第一王子 17歳
マルゲリーター・オルターナ公爵令嬢 15歳
マルゲリーターの母 アマンダ
パトリシア・アンバタサー エレインのクラスメイト
アルフレッドの側近
カシュー・イーシヤ 18歳
ダニエル・ウイロー 16歳
マシュー・イーシヤ 15歳
帝国
エレインとルーカスの母 キャサリン帝国の侯爵令嬢(皇帝の姪)
キャサリンの再婚相手 アンドレイ(キャサリンの従兄妹)
隣国ルタオー王国
バーバラ王女
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる