月の光で悪役令嬢～陽の光で八男 あ、王子、近寄らないでくれます？

157 謎っ！

　発狂死フラグ、真っ黒王子が、口から……。
「ふふふ、フレッド、お前、なんか、いいな。そういうの、僕、好きかも」
　真っ黒さが薄れ、人間味のあるとこ。ああ、なんか、いいかも。
「は？」
　フレッドが嫌そうな顔をする。
「あー、わかるわ。なんか、素が出てるみたいで、なんていうの？兄弟みたいだよな！」
　マージがバンバンと私とフレッドの肩をたたく。
「マージは、いつも素っぽいけどね」
　ニヤッと笑うと、フレッドも笑った。
「兄弟か。リザーク、じゃぁ、さっきのマージの大きくなれないぞは親戚のおじさんじゃなくて、兄貴の言葉みたいだったんじゃないのか？マージ兄さん」
　マージがふっと笑う。
「うーん、じゃぁ、俺が長男で、フレッドが次男でリザークが三男か？」
「ちょ、なんだよそれ！同じ年なんだし、しっかりしてる順でいえば、僕が長男で、マージが三男じゃないの？」
「体格的に言えば、俺が長男っ！リザーク三男っ！」
「くくく、二人のじゃれあいをたしなめる、僕が長男かな」
　フレッドが笑いながら私とマージの会話に割り込んできた。
「ずるいよフレッド！」
　と、会話していると、いつの間に来たのか、お盆を持ったサーシャが口を開いた。
「仕方がありません。私が、長男になりましょう」
「「「長女だろ！」」」
　もちろん、３人で突っ込みを入れる。
　なんか。
　死亡フラグ回避のために、距離を置きたいと思っていたけれど。
　やっぱり、楽しい。
　高等部に入るまでは……仲良くしてもいいよね。
　……いつの間にか、この場所が……すごく好きだ。
「何が楽しいんだ？ダンス大会はあきらめたのか？」
　Cクラスの生徒が通り過ぎざまに聞こえるように声を出す。
「ろくにダンスも踊ったことない奴らが、ダンスの授業すらほかのクラスよりも少なけりゃあきらめるしかないだろう」
　ん？ダンスの授業が少ない？
「そりゃそうだなぁ。もとからFクラスのダンスなんて誰も期待してないもんな。残り物のみすぼらしい衣装に、みっともなく音楽とずれるダンス」
「ああ、毎年恒例の見世物だろう。棒立ちになるのは当たり前。……賢明な選手は出場辞退するもんよ」
「そうそう、出場辞退しやすいように、言い訳を用意してくれてるってのになぁ」
「そうそう。ダンスの授業不足って言い訳な」
　ん？
　ん？
　Fクラスはほかのクラスよりもダンスの授業が少ない？
　……でも、それはFクラスが棄権してもいいような言い訳を用意するため？
　あれ？差別だと怒ること、それともそういう積み重なった歴史から用意された気遣いだとありがたがること？
　っていうか、真実がどうなのか、ただの噂話じゃな分からない。
　本当にダンスの授業が少ないのか。
　数学の授業に思わずダンスの練習をさせてくれとお願いしたように、ほかのクラスも本来ダンスの授業じゃない時間にダンスの練習をさせてもらっているだけかもしれないし……。


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どもども。
リザークも、みんなといるの楽しいなっていう、気持ちに素直になった。うんうん。


書いてる私も楽しいよ。読んでる皆さんも楽しんでいただけるといいなぁ。