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「うっ、うう、フレッド、リザークがいじめる……」
「マージ、残念だが、リザークの言う通りだ。このクラスで……いや、きっとこの学年で一番ダンスが上手いのは、サーシャとリザークに間違いない。これほど素晴らしいお手本がいるんだ。学ばない手はないだろう」
 と、フレッドが笑いをこらえた顔で言う。
「性別が逆なら、選手になれたのに……」
 と、別の生徒がぼそりとつぶやいた。
 ああ、そうさ!
 もう、このさい、恥だとか、なんだとか、金繰り捨てたよ。
 クラスのみんなが本気で頑張ろうとしてるんだから。
 自分にできる目いっぱいの支援……。
 それは、ママーンに幼き頃より叩き込まれ、兄たちに鍛え上げられたダンスを皆に伝授すること!
 ……男の私が、女子パートを、皆に……教える……。
 うわーん……。家では今日から男パートしか練習しないんだっ!来年になったら、男パートでマージとフレッドをぎゃふんと言わせてやるんだ!
 ちゃんと今日からダンスの授業始まったし。丁寧に教えてくれるいい先生だから、きっと、来年には……いや、ダンスの道は長いからなー、1年じゃ無理かもしれないけど、卒業までには、絶対、マージとフレッドをぎゃふんと言わせてやるっ!見てろよ。
 今はこの屈辱を甘んじて受け入れる。
「あ、サーシャごめんな。勝手にその……男役やらせちゃって……」
 そうだ。これはしっかり謝っておかないと。
「ふふ、大丈夫ですわ。リザークと踊るのは嫌いじゃないですし」
 にこりと微笑まれた。
 あれ?男役いやじゃないのかな?
 私だって、みなと同じようにきれいなドレスを着て、くるくる回りたいっ!とか思わない?
 ……まぁ、思わないか。私も、女の姿んときも、特にドレス着て早く舞踏会で踊りたいなんてこれっぽっちの思わないし。
「あ、あの……私、家が美容院で……」
 おずおずと一人の生徒が声をあげる。
「衣装のルールをきちんと確認したら、衣裳部屋にあるドレスとアクセサリーを用いることというルール以外は自由だと聞いて……」
「俺も確認した。衣装に手を入れるのは可能だってな。まぁ、サイズ合わせしたりしないとダメだから当たり前だけどな。だけど衣裳部屋にない布を足したりはダメなんだろ、でかいとそれだけでふりだよなぁ」
 え?そうなの?
 Fクラス、サイズ残ってるのかな。衣裳部屋に。ひどいルールだなぁ。
「あ、靴は自前で大丈夫だって聞いたので、代表の人は持っている靴を一度見せてもらえると嬉しいです。衣装などとのバランスも見たいので」
 と、誰かが言えば、フレッドがにこっと笑う。
「むしろ、衣装が決まってから衣装に合わせて靴は用意するよ」
 は、出た!金持ち発言っ!鼻につくぜっ!
 とか思ったら。
「サイズが合うなら、私の靴を貸すこともできますわ!一度どんな靴を持っているのかリストを持ってきますわ!」
 とサーシャ。
「じゃぁ、私も。少ししか持ってないけれど、足に合えば使って」
 おや?金持ち発言、鼻につくぜと、誰も思わないので?まぁ、王子だしなぁ。それくらい当然だと思っているのか。

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