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122 鬼コーチのリザークです。キリリ

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「マージは、ダイナミックな動きが人目を引いていいけど、ちょっと頭がぐらぐらしすぎっ!本を乗せて歩く練習でもしろ!と言いたいところだけど……本を乗せて踊るなんて無理だろうから、ちょっと待ってて」
 何かいいものないかとガサゴソして、見つけた。小さな帽子。
「ほら、これ乗っけて。こうして動く分には落っこちないけど、こうしたら落っこちるだろ。落とさないように動く練習っ!」
 と、マージの頭に帽子を乗せる。
「お?おお、おおお?」
 早速マージがダンスのステップを始める。
「いや、無理だろ、落ちるだろ?」
 と、5秒で根を上げたので、サーシャの頭の上に帽子を乗せる。
「見本お願い」
「了解」
 マージがサーシャの特訓を受け始める。
「それから、そこの3人!」
 ダンスの腕前は下から数えたほうが早い代表選手の女生徒一人と男子生徒2人を指さす。
「は、はいっ」
「姿勢が悪いです。猫背を直す意識をして」
 そう。ダンスの上手い下手……ステップが上手なのかどうか……よりも、まず見た目。
 背筋がピンと伸びていると、それだけで美しさが5割……どころか8割増しくらいになるんだよね。
「ね、猫背?」
「ほら、こうして胸を張る」
 と、注意してもしても、意識しているときはいいんだけど踊り始めるとすぐに猫背のことを忘れる。
 ……まぁ、ダンスも体が覚えきってないみたいなのでしかたがないかなぁとは思う。ステップ間違えないようにとそちらに意識が行くと、どうしても、猫背までは意識が行かなくなっちゃうよね……。
 って、仕方がないじゃないっ!これはあかんやつや!
 ダンスの腕前で負ける以前の問題。
 ……ふ、ふふ。仕方がありません。大リーグボール養成ギプスてきなあれを用意しましょうか。ばねもゴムもないけれど、まぁ、それらしいものは作りますよ。作りますとも!
「あ、ごめんなさい、もう帰る時間が……」
 サーシャがはっと声を上げる。
 外は薄暗くなっている。やばい。本当だ。日が沈む。
「お先に失礼いたしますわ」
 サーシャが慌てて教室を出て行った。
「ボ、ボクも。じゃぁ」
 と、サーシャの後を追うように教室を出る。
 ったく、まさかこんなに居残りばっかりして、日が沈む危険に遭遇することが多い学園生活が待ち受けていようとは、誰が考えたであろう。
 ……あれ?
 これ、もしかして……Fクラスだから?SクラスやAクラスだったら、こんなことになってなかったんじゃ……。
「やっちまった感……」
 ぐぅっ。あかん、また時間切れ。
 慌てて近くの誰もいない教室に駆け込み身をひそめる。
 ああ、そういえば、前はこの状態で陰謀を耳にしたんだよな。
 えーっと、とりあえずクラスと学年が分かるタイとバッチを外す。
 さてと。変身完了。今日は誰かの陰謀聞くこともなかったよー。そりゃそうか。陰謀だらけの学校とかマジいやですよ。
 殺人事件だらけの探偵漫画よりはましかもしれないけど……。あとな、恋愛イベントだらけの恋愛ゲームも迷惑だよな。本人以外……。主に悪役令嬢な立場からすると……。

========
今更……なにを……。
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