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118 ひゅーひゅー

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「ごめん……男らしくなくて……」
 泣きそうなサーシャの顔を見て自分が嫌いになった。
 死亡フラグ回避できればいいって……。
 そのために男になる呪いをかけてもらった。
 男でいるときは、でも本当は女だし……とかもしかして私はそれを逃げ口実にして適当に生きてきたんじゃないかって。
 騎士になる気はないしって……。上の学校に進学する気はないし……って。
 何もかも手を抜いて、本気になんてならなくて……。
 それって、でも、よく考えれば本気で生きている人にすごく失礼なことだったんじゃないかって。
「ボク、もっと……男らしくなるよ……」
 本当は女だからって、女みたいと言われても正体がばれないか不安になるだけであっけらかんとしてるのはおかしいんだよね。
 男としての心構えがなってないんだ。男なら……。女みたいと言われたらもっと悔しがらないといけないような気がする。
「サーシャに認めてもらえるくらい、男らしくなるからな!」
 にこっと笑ってサーシャの手を取る。
「おい、リザーク、それ、告白か?」
 マージが驚いた声を出す。
「は?告白?」
 きょとんとマージの顔を見る。それを言うなら、決意だろ?
「きゃー、リザーク君、サーシャのことっ」
「おお、すげー、あんなにきっぱりと告れるなら男らしいじゃん」
 まてまて、クラスメートよ。私はサーシャに告白などしていない。
「君に認められる男になる……なんて、告白だろ?」
 フレッドが頭を抱えた。
 まじかーっ!
「い、いや、その、サーシャ、そういうことじゃなく……」
 って、待て。ここで、告白じゃないとか否定するのも、乙女心を傷つけるんじゃないの?
 クラスのみんなの前で……ちょ、どうしたら……。
「分かってますわ、リザーク。ありがとう。女じゃなくて、ちゃんと性別を超えた友達として私のこと……思ってくれてるんですわね」
 にこっとサーシャが笑う。
 嬉しそうだ。
「お?振られた?」
 マージ、お前は黙ってろ!
「そうです。リザーク、もっと男らしくなってください。私も、頑張って男らしくなりますから!一緒に男らしい騎士を目指しましょう!」
 はいー?
 いやいや、サーシャは男らしさを目指さなくても……。
「まぁ!男装の麗人をサーシャさんは目指すのですか?」
「ぜひわたくしと踊ってくださいませ!」
 ん?
 ん?ん?クラスの女子たちにサーシャが人気になった。
「な、なんだと!どうして、本物の男よりも人気なんだ!俺が踊ってやるぞ、ほら、手が空いてるっ!」
 マージが両手を広げてダンスの相手を募集するも、誰も来ず。
 ……。
 哀れ、マージ。
「ちっ。練習にならないだろっ!しゃーない、リザーク、踊るぞ!」
 って、マージ、お前、空気読め!
 男らしくなると宣言した私に、女パートを踊らさせるなっ!
「ぷーっ、くっくっく」
 フレッドが腹を抱えて笑っている。
 ちょっとまて、なんなんだ、これ。
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