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116 れっつだーんすをだーんしと

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「二人が勝手におどりだしただけで、今、みんな休憩中なんだけどね?」
 ちらりと女性徒を見れば、ああ、確かに。
 忘れてた。……ってことは、なんだ。ほかのダンス経験者たち誰も踊ってないってことはだ……。
 私と、マージだけが踊ってたってことか。
「って、フレッドも休憩すればいいだろ」
「時間がもったいないですし、それに、リザークはお兄様たちのダンスを見て目が肥えているんでしょう?何かアドバイスしてほしいんだけど」
 ……わかったよ。
「仕方がないな。じゃぁ、僕が相手するよ」
 ふぅー。
 早急に、男子パートを覚えないと。
「ん?マージと踊っていた時とは足運びが違うみたいだね?」
「ああ、マージはダイナミックな踊りをするみたいだし、それに合わせてボクも動きを派手にした。ちょっと優雅さに欠けるけれど、ああいう踊りも見ているのは楽しいだろ?」
 フレッドが感心したようにつぶやく。
「なるほど。では、僕と踊る時は」
「王道。より優雅に、滑るように滑らかに」
 フレッドがニッと笑う。
 くるりとフレッドに回されると、パシッと私の手を取った人物がいた。
「ずるいですわ。私はまだ誰とも踊っていませんのよ。リザーク、次は私と踊ってください」
 そうでした。7組とあぶれた女子1人で、サーシャはまだ一度も踊ってなかったんだ。
「あ、だったらフレッドと踊るといいよ。さすがにダンスも完ぺきだ。ボクは全然踊れないから」
 サーシャは私の手を取ったままくるりと踊り始める。
「リザークは、マージとフレッドとは踊れても私とは踊れないっていうんですか?友達なのに……」
 いやいや、まてまて。
 だから、男パートは苦手なんだって。
「いや、あの、足を踏んだらごめんね……」
 だからといって、女性からの申し出を断るのは男として最低なので、踊りますけど。
 本当に苦手なんだよ。
「あ、ごめん」
「大丈夫です」
 踏んだ。
 見事に踏んだ。
 マジで申し訳なくて、全然男パートできなくて、ぎくしゃくで……。
 でもって、サーシャもずいぶんぎくしゃくした動きをしている。
 そういえば、手を差し伸べた礼の取り方とかも、女性として扱われたことが少ないから……と、慣れてない動きだった。
 ダンスも、あまり踊ったことがないのかな?
 ……だとすると、フレッドくらい上手な人間相手なら、ちゃんとリードしてくれるだろうに。
 ごめんね、サーシャ。……せめて、女子パートならこのリザベーナに任せときな!
 母様の厳しいレッスンにどれだけつき合わされたことか……。いや、だって……。せっかく女の子を生んだのに……うううってさ、口に出して言わなくても、剣を振っている姿を見ると悲しそうな顔をするんだよ……。
 そりゃ、申し訳ない気持ちにもなって……。
「お母さま、ダンスを教えてくださいませ」
 とか、言っちゃうでしょう。言っちゃうよね?
 ああああ、なんだよ、飛んで火にいる夏の虫な私じゃないか……。
 とかなんか考えて踊っていたら、いつの間にか次の曲に代わっていた。
 おっと。……ん?
 あれ?


========
フレッド、おまえ……。
そして、サーシャ、君ねぇ……。
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