99 / 159
98 先生の資質
しおりを挟む
「もう一つ見解をうかがってもよろしいでしょうか?」
フレッドが手を上げた。
うん、ちゃんと挙手してるあたり、抜かりない。何を聞くつもりだろう?
「我々、Fクラスは、先生方のおっしゃったとおりクラス分けテストで点を取れませんでした。7クラスのなかで最下位というのは事実です」
ちょ、フレッド、何言ってんだよ。これから順位を上げていくんだろうっ!
「教師からは出来損ないだの屑だの言われるようなクラスです」
裁判官の表情はフードに隠れて見えないけれど、後ろに控えている人たちの何人かがちょっと視線を逸らす。
ああ、もしかしてこの学校から高等部へ進んだ人達なのかもしれない。で、過去を思い出したみたいな?
「生徒に向かってそのような発言をしていると言うのは事実か?」
はい。事実です。
が、教師は誰も口を開かない。卑怯者め!
「審議し、事実であれば改善を求めるように指導するが?」
フレッドが首を横に振った。
「いいえ、真実かどうかということはどうでもいいです。僕が知りたいのは、そんなFクラスの生徒よりも、計算ができない者たちが果たして教師の資格があるのかと、それを問いたいんです」
教師たちの顔色が変わった。
「なるほど。確かに、Fクラスの生徒のほうがはるかに計算が早く正確だったようだ」
慌てて教師の一人が声を上げる。あ、挙手してますね。立派立派。
「計算に関しては事実かもしれませんが、教師は計算の速さだけをウリにしているわけではありません。計算のスピードは、計算機を使えば補えます。我々教師は、それ以外の数学的な考え方を教えるのが役割で……」
呪われし裁判官が補佐官に指示を飛ばす。
「何か問題を」
「はい、では、5人の兵に6キロの麦を与えた場合、3小隊で行動するにはどれだけの麦が必要になるか」
補佐官の問い。なんだ簡単じゃん。5人で6キロなら10人で12キロ。その3倍だろう。36。
「36キロ」
あ、しまった。また挙手もせずに発言しちゃった。
皆の視線が集まる。ごめん、ごめんって、挙手制度、慣れてなくて……独り言ももともと多いたちなので……。
しゅんっと頭を垂れる。
「次」
裁判官の言葉に補佐官が口を開く。
「ある品物の値段を1個につきいくらか値上げすると、一日の売り上げ個数がいくらかの五倍の数減る。今現在、ある品物の値段が80ゴールドで、売り上げ個数は700個である。現状は56000ゴールドの売り上げだ。これを1日60000ゴールドにするには、1つの値段をどう設定すればよいか」
いくらかって言うのをxに設定して、式を作ればいいんじゃね?
80円の品をx円値段を上げて、あ、円で考えちゃった。そうすると、個数が700-5x個でしょ。それを駆けてイコールが60000。
ん?んんん?
これ、2次方程式じゃない?
あー、……これはさすがに。
「だめだ……」
暗算ではできない。
「ふふ、ほら、Fクラスの生徒には解けないようですよ、ですが、私どもは解くことができます!お時間をいただければ!」
そりゃね、まだ中学レベルの問題なんだもん。教師なら解けるでしょう。ってか、お時間?
=====
問題文は無料プリントを参考にさせていただきました。
自由に使ってねって書いてあったけど、参考サイトとしてアドレス書いた方がよいのだろうか?規約にはなかったので、簡単に報告のみするだけしときます。
フレッドが手を上げた。
うん、ちゃんと挙手してるあたり、抜かりない。何を聞くつもりだろう?
「我々、Fクラスは、先生方のおっしゃったとおりクラス分けテストで点を取れませんでした。7クラスのなかで最下位というのは事実です」
ちょ、フレッド、何言ってんだよ。これから順位を上げていくんだろうっ!
「教師からは出来損ないだの屑だの言われるようなクラスです」
裁判官の表情はフードに隠れて見えないけれど、後ろに控えている人たちの何人かがちょっと視線を逸らす。
ああ、もしかしてこの学校から高等部へ進んだ人達なのかもしれない。で、過去を思い出したみたいな?
「生徒に向かってそのような発言をしていると言うのは事実か?」
はい。事実です。
が、教師は誰も口を開かない。卑怯者め!
「審議し、事実であれば改善を求めるように指導するが?」
フレッドが首を横に振った。
「いいえ、真実かどうかということはどうでもいいです。僕が知りたいのは、そんなFクラスの生徒よりも、計算ができない者たちが果たして教師の資格があるのかと、それを問いたいんです」
教師たちの顔色が変わった。
「なるほど。確かに、Fクラスの生徒のほうがはるかに計算が早く正確だったようだ」
慌てて教師の一人が声を上げる。あ、挙手してますね。立派立派。
「計算に関しては事実かもしれませんが、教師は計算の速さだけをウリにしているわけではありません。計算のスピードは、計算機を使えば補えます。我々教師は、それ以外の数学的な考え方を教えるのが役割で……」
呪われし裁判官が補佐官に指示を飛ばす。
「何か問題を」
「はい、では、5人の兵に6キロの麦を与えた場合、3小隊で行動するにはどれだけの麦が必要になるか」
補佐官の問い。なんだ簡単じゃん。5人で6キロなら10人で12キロ。その3倍だろう。36。
「36キロ」
あ、しまった。また挙手もせずに発言しちゃった。
皆の視線が集まる。ごめん、ごめんって、挙手制度、慣れてなくて……独り言ももともと多いたちなので……。
しゅんっと頭を垂れる。
「次」
裁判官の言葉に補佐官が口を開く。
「ある品物の値段を1個につきいくらか値上げすると、一日の売り上げ個数がいくらかの五倍の数減る。今現在、ある品物の値段が80ゴールドで、売り上げ個数は700個である。現状は56000ゴールドの売り上げだ。これを1日60000ゴールドにするには、1つの値段をどう設定すればよいか」
いくらかって言うのをxに設定して、式を作ればいいんじゃね?
80円の品をx円値段を上げて、あ、円で考えちゃった。そうすると、個数が700-5x個でしょ。それを駆けてイコールが60000。
ん?んんん?
これ、2次方程式じゃない?
あー、……これはさすがに。
「だめだ……」
暗算ではできない。
「ふふ、ほら、Fクラスの生徒には解けないようですよ、ですが、私どもは解くことができます!お時間をいただければ!」
そりゃね、まだ中学レベルの問題なんだもん。教師なら解けるでしょう。ってか、お時間?
=====
問題文は無料プリントを参考にさせていただきました。
自由に使ってねって書いてあったけど、参考サイトとしてアドレス書いた方がよいのだろうか?規約にはなかったので、簡単に報告のみするだけしときます。
0
お気に入りに追加
3,173
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
【完結】悪役令嬢に群がるヒロイン親衛隊! 虐めて欲しいと言われても、そんな趣味はございません
との
恋愛
ヒロイン親衛隊が何故か私の周りを彷徨いてる。
えっ? いじめて欲しい?
蔑んで欲しい?
踏んづけてって・・
お陰で私の婚約者がドン引きしてるじゃないですか?
ヒロイン、違うとこでハーレム作って何してるの? 働こうよ、お願い。
ーーーーーー
完結迄予約済みです。
特に際立った変態は出てきません。微笑ましい変態達だと・・
R15は念の為
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
運命の歯車が壊れるとき
和泉鷹央
恋愛
戦争に行くから、君とは結婚できない。
恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。
他の投稿サイトでも掲載しております。
[完結]18禁乙女ゲームのモブに転生したら逆ハーのフラグを折ってくれと頼まれた。了解ですが、溺愛は望んでません。
紅月
恋愛
「なに此処、18禁乙女ゲームじゃない」
と前世を思い出したけど、モブだから気楽に好きな事しようって思ってたのに……。
攻略対象から逆ハーフラグを折ってくれと頼まれたので頑張りますが、なんか忙しいんですけど。
転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。
乙女ゲーのモブデブ令嬢に転生したので平和に過ごしたい
ゆの
恋愛
私は日比谷夏那、18歳。特に優れた所もなく平々凡々で、波風立てずに過ごしたかった私は、特に興味のない乙女ゲームを友人に強引に薦められるがままにプレイした。
だが、その乙女ゲームの各ルートをクリアした翌日に事故にあって亡くなってしまった。
気がつくと、乙女ゲームに1度だけ登場したモブデブ令嬢に転生していた!!特にゲームの影響がない人に転生したことに安堵した私は、ヒロインや攻略対象に関わらず平和に過ごしたいと思います。
だけど、肉やお菓子より断然大好きなフルーツばっかりを食べていたらいつの間にか痩せて、絶世の美女に…?!
平和に過ごしたい令嬢とそれを放って置かない攻略対象達の平和だったり平和じゃなかったりする日々が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる