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86 リザークの剣術教室、生徒はサーシャ、やじうまはあいつら

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「だろ?リザークは騎士にあこがれてるって、俺の思った通りだ」
 どや顔のマージ。おい、どや顔で知ったかぶってるけど、私は騎士にこれっぽっちもあこがれなんて持ってない。いや、立派な人達だと尊敬はしてるけどな。
「お願いします。リザーク、今の剣術を私に教えてくださいませ」
 サーシャがさらに頭を深々と下げた。
「私……本当は、少しだけ騎士になるのは無理なんじゃないかってあきらめかけてたんです。だけど、やっぱり、諦められない」
 サーシャが顔を上げる。
 まっすぐな瞳が、私の目を見ている。
「絶対、約束を守って……一緒に……」
 強い意志を感じる瞳。
 誰かと一緒に騎士になろうって約束したのかな。それとも、亡くなった祖母との約束みたいなやつかな。どちらにしても、相当な決意を感じる。
「もちろん、ボクに教えられることは教えるよ。ただ、ボクも完全に身に着けているわけじゃない。何度も何度も見て、見よう見まねでしているだけだから、うまく教えられるかも分からない。とりあえず、もう一度やってみせるよ」
 といって、木刀を構える。
「マージ」
「え?俺?いや、またやられ役?」
 マージがげんなりした。
「いや。もう、ボクの手の内は明かしただろ?回避できるように工夫して打ってきていいから」
「おう、そうだな。いつまでもやられっぱなしにならねぇからな!」
 すまん。マージ、ぼこぼこにしちゃいました。
「うええええっ」
「泣くな、マージ、だんだんやりにくくなってる。確実に成長してる。たった1時間余りでこの成長はすごい!」
 マージが涙をぬぐう。
「だよな、俺、すげーよな!よし、次こそ!」
 いなす。
 そして、背中にぽこん。
「ちょっとやってみる?」
「はい。マージ、よろしくお願いしますわ」
 サーシャに代わる。
 サーシャが、私の動作を繰り返し見ていたので、マージが動くタイミングに合わせて木刀を動かす。
 が、やはり見ただけで再現できるわけもなく……。
「えーっと、サーシャ、ごめん。説明もうまくできないけど、今度はボクに打ち込んでみて」
 サーシャの木刀が私に向けられる。うわーい。早い。
 マージより早いよ。ちょ、合わせられない。
 1回除ける。
「あ、よけた」
 マージの声。
「レディーファーストとかそういうつもりでしたら、遠慮はいりませんわ!」
 サーシャがむっとしてもう一度木刀を振る。
「いや、違う、マージよりも剣筋が読みにくくてタイミングが……」
 サーシャの剣を受けて、距離を取る。
「うええええっ」
 マージ、泣くな。
「だけど、マージほど剣圧がない。受けるのは簡単だ」
 マージが復活してる。もう、外野、うるさいっ!フレッドは、そんなマージを見て腹を抱えて笑ってるし。
「ボクの剣も軽いよ」
 今度はサーシャにフェイトを一つ入れて木刀を振り下ろす。
 もちろん、フェイントには引っかからずに、サーシャは私の木刀を受けた。
 まぁ、避けずに受けてもらうためのフェイントだからね。
「今のが、ボクの剣の重さ。じゃぁ、サーシャもう一度打ち込んでみて、できればまっすぐお願いできる?」
 サーシャの剣筋難しいからリクエストすれば、その通りに打ち込んでくれた。はい。これならいなせる。
「!」
 剣をいなした途端に、サーシャが驚いた顔で振り向く。


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