上 下
72 / 159

71 受験勉強と、普通の勉強と……  

しおりを挟む
「じゃぁ、同じ問題を用意し」
「持ってきました!」
 じゃーんと出すサーシャ。
「俺も作ってきたぜ!スペシャルバージョンだ!」
 と、100マスどころか240マスくらいあるのを取り出すマージ。
「クラスみんなでできるようにたくさん用意してきましたよ。ちょっと手伝ってもらいましたけど」
 フレッドはさすが王子てきな気遣いで、クラスメイトの問題も準備したようだ。すごい量。誰に手伝ってもらったんだろう。
 フレッドが用意した問題は生徒たちに飛ぶように売れた。いや、売ったわけじゃないけど。すんごいやる気。
「じゃ、勝負な、勝負。よーい」
 あ、はい。やっぱり強制参加ですか。うぐぐ。
「どんっ」
 8、7、6、10、12、13、9……ほいほいほいーいっと。
 次の数字見ながら計算した数字をかきこむ。っていうか、書く時間もったいないくらいだ。ああ、覚醒だよ。
 なんだろう、そうか。私も問題と模範解答作りでかなり昨日は100マス計算やったもんなぁ。頭が計算脳になってる。
「できた」
「ぐあー、負けた!」
「さすがリザークですわ。私も早くなったと思ったのですが」
「もう1回やりましょう」
 ガラリと、ソフィア先生が教室に入ってきた。
「おはようございます、皆さん、えーっと、授業を始めますよ?」
 いや、100マス計算の途中でストップするのはこう、気持ち悪いのは分かるけど、おーい、みんな。先生戸惑ってるから。手を止めて顔を上げようか?ほ、ほら先生、無視されたと思ったみたいで涙目になって……。
「まずは、計算練習をしましょうか。テストは足し算と引き算です。問題数も、クラス分けテストよりは多くなりますから、スピードもないといけません」
 フレッドがびしっと手を上げた。
「先生、計算練習は各自時間のある時に行います。計算以外の対策を授業では進めてください」
 ソフィア先生が一瞬言葉に詰まる。
「えーっと、ではまず全体的な注意事項から話をしますね。用紙が配布されたら、問題を解く前に名前を必ず書いてください」
 皆の目がマージに向けられる。
「それから、1問でも多く回答するために、難問は後回しにして簡単な問題から取り組んでください」
 こんどはフレッドに注がれる。
「それから、今回のテストは、足し算と引き算しか出ません。問題文を呼んで足すか引くか分からなくても、とりあえず出てきた数字を足すか引くかして答えを書いてください。運が良ければ二分の一の確率で当たります」
 ふおう、空欄は無くそうっていうのはわかるけど、うん、まぁ、そうだね。足し算か引き算しか出てこないんだもんな。
「合わせて、全部でなどの単語が出てくれば足し算、残りはおつりはなどの単語が出てくれば引き算」
 思わずつぶやいたつぶやきに、サーシャが食いつく。
「ああ、そうですわね。問題文を読むことが苦手な人もいるでしょう。そういう目印になる単語が出てきたときに、何算の可能性が高いか徹底的に調べてみましょう。その単語を目印にして計算してしまえば全文読む必要は無くなりますわ」
 あー、答えさえあっていれば意味など考えないっていう受験スタイルになってきたぞ……。
 本来は、テストで点数を取るのが目的ではなく、なぜその式になってその答えになるのかの過程が、過程がな、大事なんじゃよ?
「リザーク、たしかお兄さんに過去の問題を教えてもらったと言っていなかったか?」
 ああそういえば。
「覚えている限りは書きだしてもらいました。数字は違っているかもしれないということですが……」
 なんせ7人も兄がいるので。
「私も、お姉ちゃんに聞いてくる!」
「僕も!」
 と、次の日にはもっとたくさん過去問が集まりました。
しおりを挟む
感想 229

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

えっ、これってバッドエンドですか!?

黄昏くれの
恋愛
ここはプラッツェン王立学園。 卒業パーティというめでたい日に突然王子による婚約破棄が宣言される。 あれ、なんだかこれ見覚えがあるような。もしかしてオレ、乙女ゲームの攻略対象の一人になってる!? しかし悪役令嬢も後ろで庇われている少女もなんだが様子がおかしくて・・・? よくある転生、婚約破棄モノ、単発です。

【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!

春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前! さて、どうやって切り抜けようか? (全6話で完結) ※一般的なざまぁではありません ※他サイト様にも掲載中

逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ

朝霞 花純@電子書籍化決定
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。 理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。 逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。 エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

処理中です...